講演情報
[O-7-02]地域在住要支援高齢者の生活空間に関連する因子の検討-探索的横断研究-
*保坂 公大1,2、内之浦 真士1、西村 政次郎1、大田尾 浩3、柴田 元1 (1. 医療法人かぶとやま会 久留米リハビリテーション病院、2. 西九州大学大学院 生活支援科学研究科 保健医療学専攻、3. 西九州大学 リハビリテーション学部)
キーワード:
要支援高齢者、生活空間、介護予防
本報告に関する利益相反はない。すべての対象者には研究内容について口頭および書面にて十分な説明を行い,自由意思による同意を得た。本研究は,医療法人かぶとやま会久留米リハビリテーション病院倫理審査委員会の承認(承認番号:21-001)を受けて実施された。
【目的】
健康寿命の延伸と要介護化の予防が重要とされる中,高齢者の移動範囲や社会参加を示す指標としてライフスペースが注目されている。Life Space Assessment(LSA)の低下は,ADLや認知機能の低下,死亡リスクと関連することが報告されている。しかし,要支援高齢者を対象にLSAの関連要因を検討した研究は少ない。そこで本研究は,要支援認定を受けた地域在住高齢者を対象に,LSAと関連する要因を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
本研究は横断研究である。介護予防事業で単独事業所の通所サービスを利用する要支援高齢者65名を対象とした。65歳未満および欠測値のある者は除外した。LSAを従属変数,CS-30,片脚立位時間,歩行速度,HDS-R,疼痛生活障害評価尺度(PDAS)の総得点,下肢の疼痛部位数を独立変数,要支援区分,性別,年齢を共変量とした重回帰分析(強制投入法)を行った。結果の頑健性を確認するため,Bootstrap(1000回)法を実施した。モデル適合度は決定係数(R²),残差の自己相関はDurbin–Watson統計量,多重共線性は分散拡大係数で評価し,残差プロット,Shapiro–Wilk検定,Cookの距離を用いて回帰分析の前提を確認した。関連が示唆された因子は追加解析を行い,PDASの20項目とLSAの関連をSpearmanの順位相関係数で検討し,Benjamini–Hochberg法(FDR補正)を行った。統計解析にはEZR(version 2.9-1)を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
最終解析対象は63名(平均年齢83.3±6.3歳,女性79.4%)であった。残差診断の結果、モデルの仮定に違反はなく,Shapiro–Wilk検定は正規性からの逸脱はなかった(p=0.08)。Cookの距離は0.02~0.15の範囲であった。重回帰分析の結果,歩行速度(β=0.53,p=0.001)とPDAS総得点(β=−0.25,p=0.037)がLSAと関連した(R²=0.41,p<0.001,Durbin–Watson=2.18)。Bootstrap法の結果,歩行速度との関連は堅持していたが,PDAS総得点との関連は境界的であった。PDASの項目別解析では,「家事」「友人訪問」「公共交通機関の利用」「外食」「重い物の運搬」「立位保持」「平地歩行」(ρ<−0.3)と,「ジョギング」「買い物」(ρ<−0.4)で負の相関を認め,FDR補正後も有意であった(p<0.05)。
【考察】
地域在住の要支援高齢者の歩行速度とPDAS総得点はLSAと関連していた。歩行速度は移動能力を反映し,生活空間の維持・拡大に重要であることが再認識された。また,PDAS総得点もLSAに関連する可能性を示し,買い物,公共交通機関の利用,友人訪問などの外出活動における疼痛生活関連障害はLSAと負の関連を示した。これらは,実際の移動を伴う活動であり,活動中や活動後に生じる疼痛が外出行動の制限につながる可能性を示唆する。よって,要支援者の生活範囲には,疼痛の強度のみでなく,「どの活動において」「どの時点で」生じるかという視点で評価することが重要である。
【結語】
要支援高齢者の歩行速度と疼痛による生活関連障害は,生活空間と関連していた。これらの評価に基づき,歩行能力の維持と外出活動を妨げる疼痛への対応を行うことが必要である。
【目的】
健康寿命の延伸と要介護化の予防が重要とされる中,高齢者の移動範囲や社会参加を示す指標としてライフスペースが注目されている。Life Space Assessment(LSA)の低下は,ADLや認知機能の低下,死亡リスクと関連することが報告されている。しかし,要支援高齢者を対象にLSAの関連要因を検討した研究は少ない。そこで本研究は,要支援認定を受けた地域在住高齢者を対象に,LSAと関連する要因を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
本研究は横断研究である。介護予防事業で単独事業所の通所サービスを利用する要支援高齢者65名を対象とした。65歳未満および欠測値のある者は除外した。LSAを従属変数,CS-30,片脚立位時間,歩行速度,HDS-R,疼痛生活障害評価尺度(PDAS)の総得点,下肢の疼痛部位数を独立変数,要支援区分,性別,年齢を共変量とした重回帰分析(強制投入法)を行った。結果の頑健性を確認するため,Bootstrap(1000回)法を実施した。モデル適合度は決定係数(R²),残差の自己相関はDurbin–Watson統計量,多重共線性は分散拡大係数で評価し,残差プロット,Shapiro–Wilk検定,Cookの距離を用いて回帰分析の前提を確認した。関連が示唆された因子は追加解析を行い,PDASの20項目とLSAの関連をSpearmanの順位相関係数で検討し,Benjamini–Hochberg法(FDR補正)を行った。統計解析にはEZR(version 2.9-1)を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
最終解析対象は63名(平均年齢83.3±6.3歳,女性79.4%)であった。残差診断の結果、モデルの仮定に違反はなく,Shapiro–Wilk検定は正規性からの逸脱はなかった(p=0.08)。Cookの距離は0.02~0.15の範囲であった。重回帰分析の結果,歩行速度(β=0.53,p=0.001)とPDAS総得点(β=−0.25,p=0.037)がLSAと関連した(R²=0.41,p<0.001,Durbin–Watson=2.18)。Bootstrap法の結果,歩行速度との関連は堅持していたが,PDAS総得点との関連は境界的であった。PDASの項目別解析では,「家事」「友人訪問」「公共交通機関の利用」「外食」「重い物の運搬」「立位保持」「平地歩行」(ρ<−0.3)と,「ジョギング」「買い物」(ρ<−0.4)で負の相関を認め,FDR補正後も有意であった(p<0.05)。
【考察】
地域在住の要支援高齢者の歩行速度とPDAS総得点はLSAと関連していた。歩行速度は移動能力を反映し,生活空間の維持・拡大に重要であることが再認識された。また,PDAS総得点もLSAに関連する可能性を示し,買い物,公共交通機関の利用,友人訪問などの外出活動における疼痛生活関連障害はLSAと負の関連を示した。これらは,実際の移動を伴う活動であり,活動中や活動後に生じる疼痛が外出行動の制限につながる可能性を示唆する。よって,要支援者の生活範囲には,疼痛の強度のみでなく,「どの活動において」「どの時点で」生じるかという視点で評価することが重要である。
【結語】
要支援高齢者の歩行速度と疼痛による生活関連障害は,生活空間と関連していた。これらの評価に基づき,歩行能力の維持と外出活動を妨げる疼痛への対応を行うことが必要である。
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