講演情報

[O-8-01]回復期脳梗塞患者における入院時評価を用いた在宅復帰予測モデルの構築

*鐵見 竜司1、新島 剛2 (1. 済生会八幡総合病院、2. 関西中央福祉会 平成リハビリテーション専門学校 理学療法学科 学科長)
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キーワード:

回復期脳梗塞患者、在宅復帰予測、決定木分析

本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:226)。個人情報は連結可能匿名化し、研究データは厳重に管理した。

【目的】
回復期脳梗塞患者の在宅復帰予測に関する先行研究は、退院時評価や入院中の機能変化量を用いたものが多く、入院早期からの層別化に課題がある。本研究は入院時評価のみを用いて、決定木分析により予測モデルを構築し、多変量ロジスティック回帰分析でその妥当性を検証することを目的とした。
【方法】
対象は2017年1月から2022年11月までに当院回復期リハビリテーション病棟に入院した脳梗塞患者310名(入院前施設入所者を除く)。自宅復帰を在宅復帰群、その他を非復帰群とした。独立変数として年齢、性別、入院時FIM(運動FIM:mFIM、認知FIM:cFIM)、発症からリハビリテーション開始日数、在棟日数を設定し、従属変数を復帰可否として決定木分析(CART法)を実施した。決定木で得られたカットオフ値で変数を二値化し、多変量ロジスティック回帰分析により独立した予測因子を検証した。さらに多項ロジスティック回帰分析により各変数の相対リスク比を算出した。有意水準は5%とした。
【結果】
在宅復帰群258名(83.2%)、非復帰群52名(16.8%)。決定木分析の予測精度は83.5%であった。交差検証を行った結果、予測精度は82.3%と算出され、モデルの妥当性が確認された。第一分岐変数として入院時mFIMが選択され、カットオフ値は46.5点であった。46.5点超群(218名)の復帰率94.5%に対し、46.5点以下群(92名)は56.5%であった。多変量ロジスティック回帰分析では、入院時mFIM46.5点以下が有意な独立予測因子として抽出され(p<.001)、非復帰に対するオッズ比は9.961(95%CI: 4.747-20.901)であった。多項ロジスティック回帰分析では、入院時mFIM(RRR=7.26、p<0.001)と在棟日数(RRR=0.22、p<0.001)が有意な独立予測因子として抽出された。認知FIMは有意傾向(p=0.062)に留まり、年齢は有意な関連を示さなかった。
【考察】
本研究により、入院時mFIM46.5点が在宅復帰可否を判別する重要な予測指標であることが示された。交差検証を行った結果、予測精度は82.3%と算出され、モデルの妥当性が確認された。多変量解析においてmFIM46.5点以下群は非在宅復帰のオッズが約10倍高く、年齢、性別、認知機能とは独立した予測因子であった。年齢の影響が有意でなかったことは、暦年齢よりも入院時の機能的状態が転帰を規定することを示唆する。在棟日数の負の関連は、機能回復に時間を要する重症例ほど非在宅復帰となりやすいという臨床実態を反映している。本モデルの臨床的意義は、入院時点での予後層別化により早期から個別化された介入計画が可能となる点にある。mFIM46.5点以下の群では入院初期から集中的機能訓練、家屋環境調整、介護保険サービス導入などの包括的支援を優先的に検討できる。本研究の限界として、単施設データであること、サンプル不均衡があることが挙げられる。しかし本モデルは入院時評価のみで実施可能であり、限られた医療資源の効率的配分に寄与する実用的な予測ツールとなり得る。
【まとめ】
入院時mFIM46.5点が在宅復帰予測の重要な指標であり、オッズ比約10倍の予測力を持つことが示された。交差検証により予測精度82.3%が確認され、モデルの妥当性が裏付けられた。本モデルは入院時評価のみで実施可能であり、早期からの個別化された介入計画立案に寄与する実用的予測ツールである。

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