講演情報
[O-8-03]股関節伸展可動域における筋性制限因子の寄与度分析
―L8直交表を用いた実験計画法による検討―
*大平 高正1、奥村 晃司2、羽田 清貴2、岡本 雄嗣3、枝村 和也4、阿部 稔5、甲下 修士6、牟田口 瞬8、穴見 圭汰朗7、山田 桂輔9、片岡 維新10 (1. 訪問看護リハステーション大分駅南、2. 社会医療法人玄真堂 かわしまクリニック リハビリテーション科、3. 医療法人源算会 猿渡整形外科スポーツリハクリニック リハビリテーション科、4. 医療法人平成会 サンライズ酒井病院 リハビリテーション科、5. 特定医療法人社団春日会 黒木記念病院 リハビリテーション部、6. 独立行政法人 国立病院機構大分医療センター リハビリテーション科、7. 国立大学法人 大分大学医学部附属病院 リハビリテーション部、8. わたなべ整形外科クリニック リハビリテーション部、9. 医療法人聡明会 児玉病院 リハビリテーション科、10. 医療法人平成会 介護老人保健施設サンライズ・ビュー リハビリテーション部)
キーワード:
局所振動療法、関節可動域制限因子、実験計画法
本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施し、対象者には研究内容を説明した上で同意を得た。
【はじめに】股関節伸展可動域(股伸ROM)は動作において重要であり、その制限因子の評価は運動指導や治療戦略の立案において重要である。特に筋性制限の把握は臨床上重要であるが、従来のストレッチでは筋の選択的伸張が困難であり、制限因子となる筋を特定することは容易ではない。先行研究において、局所振動刺激により筋緊張が抑制されることを確認している。そこで局所振動刺激を用いて股伸ROMの制限因子の同定を試みた。また、実験計画法を用いることで実験回数の効率化を図った。本研究の目的は、股伸ROMに影響すると考えられる筋が、股伸ROM変化量にどの程度寄与するかを、L8直交表を用いた実験計画法により定量的に検討することである。【方法】対象は健常成人19名(男性17名、女性2名、平均年齢27±4歳)とした。股関節疾患および腰痛の既往を有する者は除外した。実験は多施設で行った。実験デザインはL8直交表(2水準)を用いた多因子実験とした。対象因子は、中殿筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、大腰筋、腸骨関節包筋、腰方形筋の6因子とし、各因子について「介入あり」「介入なし」の2水準を設定した。各被験者は直交表に基づき8条件を1回ずつ実施した。介入前にROMを測定した後、直交表に基づいて各筋に対し5秒間の局所振動刺激を行った。刺激にはREVIVE2(創通メディカル社製)を使用し、刺激条件は振幅2~4 mm、周波数30 Hzとした。介入後に再度ROMを測定し、介入前後の股伸ROM変化量を解析対象とした。各因子の主効果は、各水準における平均股伸ROM変化量の差として算出した。また、分散分析により平方和を求め、各因子の寄与率を算出した。【結果】各因子の介入あり/なしにおける平均股伸ROM変化量および主効果は以下のとおりであった。中殿筋:3.2°/4.4°,主効果-1.2°、大腿直筋:4.2°/3.4°,主効果+0.8°、大腿筋膜張筋:4.3°/3.3°,主効果 +0.9°、大腰筋:4.6°/3.0°,主効果 +1.6°、腸骨関節包筋:4.1°/3.5°,主効果 +0.6°、腰方形筋:3.8°/3.8°,主効果 +0.0°であった。最大の主効果を示したのは大腰筋であり、股伸ROM変化量に対する影響が最も大きかった。一方、腰方形筋の主効果はほぼ0であり影響は乏しかった。また、中殿筋では負の主効果を示し、介入によりROMが低下する傾向が認められた。各筋の寄与率は、大腰筋4.4%、中殿筋2.4%、大腿筋膜張筋1.5%、大腿直筋1.1%、腸骨関節包筋0.7%、腰方形筋0.0%であり、誤差は89.9%であった。【考察】大腰筋が最も高い主効果および寄与率を示し、股伸ROM制限に対する主要な筋性因子である可能性が示唆された。一方、腰方形筋の影響は極めて小さかった。しかし、各因子の寄与率は全体として小さく、誤差項が約90%と非常に大きかった。これは、個体間差や単回測定による測定誤差が結果に大きく影響したためと考えられる。また、本研究では各条件を1回のみ実施しており、再現性の検討には限界がある。今後は、測定回数の増加や筋硬度・筋活動などの指標を加えることで、間接的要因も含めてより詳細な制限因子の解析が必要と考えられる。【まとめ】関節可動域の筋性制限因子の特定に、局所振動療法と直行表を用いた実験方法は有用である可能性が示唆された
【はじめに】股関節伸展可動域(股伸ROM)は動作において重要であり、その制限因子の評価は運動指導や治療戦略の立案において重要である。特に筋性制限の把握は臨床上重要であるが、従来のストレッチでは筋の選択的伸張が困難であり、制限因子となる筋を特定することは容易ではない。先行研究において、局所振動刺激により筋緊張が抑制されることを確認している。そこで局所振動刺激を用いて股伸ROMの制限因子の同定を試みた。また、実験計画法を用いることで実験回数の効率化を図った。本研究の目的は、股伸ROMに影響すると考えられる筋が、股伸ROM変化量にどの程度寄与するかを、L8直交表を用いた実験計画法により定量的に検討することである。【方法】対象は健常成人19名(男性17名、女性2名、平均年齢27±4歳)とした。股関節疾患および腰痛の既往を有する者は除外した。実験は多施設で行った。実験デザインはL8直交表(2水準)を用いた多因子実験とした。対象因子は、中殿筋、大腿直筋、大腿筋膜張筋、大腰筋、腸骨関節包筋、腰方形筋の6因子とし、各因子について「介入あり」「介入なし」の2水準を設定した。各被験者は直交表に基づき8条件を1回ずつ実施した。介入前にROMを測定した後、直交表に基づいて各筋に対し5秒間の局所振動刺激を行った。刺激にはREVIVE2(創通メディカル社製)を使用し、刺激条件は振幅2~4 mm、周波数30 Hzとした。介入後に再度ROMを測定し、介入前後の股伸ROM変化量を解析対象とした。各因子の主効果は、各水準における平均股伸ROM変化量の差として算出した。また、分散分析により平方和を求め、各因子の寄与率を算出した。【結果】各因子の介入あり/なしにおける平均股伸ROM変化量および主効果は以下のとおりであった。中殿筋:3.2°/4.4°,主効果-1.2°、大腿直筋:4.2°/3.4°,主効果+0.8°、大腿筋膜張筋:4.3°/3.3°,主効果 +0.9°、大腰筋:4.6°/3.0°,主効果 +1.6°、腸骨関節包筋:4.1°/3.5°,主効果 +0.6°、腰方形筋:3.8°/3.8°,主効果 +0.0°であった。最大の主効果を示したのは大腰筋であり、股伸ROM変化量に対する影響が最も大きかった。一方、腰方形筋の主効果はほぼ0であり影響は乏しかった。また、中殿筋では負の主効果を示し、介入によりROMが低下する傾向が認められた。各筋の寄与率は、大腰筋4.4%、中殿筋2.4%、大腿筋膜張筋1.5%、大腿直筋1.1%、腸骨関節包筋0.7%、腰方形筋0.0%であり、誤差は89.9%であった。【考察】大腰筋が最も高い主効果および寄与率を示し、股伸ROM制限に対する主要な筋性因子である可能性が示唆された。一方、腰方形筋の影響は極めて小さかった。しかし、各因子の寄与率は全体として小さく、誤差項が約90%と非常に大きかった。これは、個体間差や単回測定による測定誤差が結果に大きく影響したためと考えられる。また、本研究では各条件を1回のみ実施しており、再現性の検討には限界がある。今後は、測定回数の増加や筋硬度・筋活動などの指標を加えることで、間接的要因も含めてより詳細な制限因子の解析が必要と考えられる。【まとめ】関節可動域の筋性制限因子の特定に、局所振動療法と直行表を用いた実験方法は有用である可能性が示唆された
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