講演情報

[O-8-04]脊椎椎体骨折患者におけるModified Falls Efficacy Scaleと在院日数および身体機能との関連について

*土田 早紀1、新保 千尋1、遠藤 翔1、永濱 智美1、榎畑 純二1 (1. 恒心会おぐら病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

脊椎椎体骨折、Modified Falls Efficacy Scale、在院日数

本研究は恒心会おぐら病院倫理委員会の承認(承認番号:2025-B16)を得て実施した

【はじめに】脊椎椎体骨折における治療は保存療法が中心となるが、疼痛や活動制限によりADL能力の低下をきたすことが問題となる。当院では脊椎椎体骨折に対し、クリニカルパスを導入し、治療および理学療法介入の標準化を図っているが、症例に応じて在院日数が遷延化する症例が存在する。脊椎椎体骨折後の在院日数には、認知機能低下やADL能力の低下が関連するとされている。しかし、骨折受傷における心理的要因も回復過程に関連することが考えられる。そのひとつとして、転倒に対する自己効力感は回復を阻害し、在院日数にも関連する可能性がある。そこで、本研究では当院回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)を退院した症例を対象に、転倒に対する自己効力感と在院日数、身体機能との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は2023年1月~2024年12月に脊椎椎体骨折を受傷し、当院回復期病棟を経て退院した者とした。包含基準は65歳以上、後壁損傷の無い保存加療となった者とした。除外基準は、受傷前に歩行が不可であった者、入院中に脳血管疾患や肺炎などの治療を必要とした者、認知機能低下を認めた者(HDS-Rにて20点以下)、安静期間など計画が変更となった者とした。評価項目は、転倒に対する自己効力感はModified Falls Efficacy Scale(MFES)を使用し入院後3日以内に実施した。ADL評価は退院時の運動・認知FIM、入院から退院までの在院日数、歩行能力(受傷前・退院時)とし、患者特性の情報として年齢、性別、BMI、介護度、HDS-Rを後方視的に調査した。統計解析はMFESと在院日数、退院時運動FIMに対しスピアマンの順位相関係数を用いて相関分析を実施した。また先行研究を参考に110点以上を転倒に対する自己効力感の高い群(高MFES群)、110点未満を転倒に対する自己効力感の低い群(低MFES群)とし、対応のないt検定、カイ二乗検定を用いて比較検定を実施した。統計解析はSPSSver31を使用し、有意水準を5%とした。
【結果】包含基準を満たした対象者は87名(平均年齢80.8±6.7歳、女性69名)であり、高MFES群は45名(51.7%)、低MFES群は42名(48.3%)であった。相関分析にて、MFESと退院時運動FIMに正の相関を認めた(rs=0.434)。また、MFESと在院日数に負の相関を認めた(rs=-0.369)。比較検定にて、高MFES群は低MFES群よりも在院日数が短く、退院時運動FIMが高値で有意差を認めた。また、高MFES群は低MFES群よりも受傷前および退院時に歩行補助具を使用しない割合が有意に多く、介護認定を有する割合は有意に少なかった。
【考察】脳卒中患者や大腿骨近位部骨折患者を調査した先行研究において、転倒に対する自己効力感は身体活動量やADL能力、在院日数にも関連する因子とされている。本研究においてもMFESは退院時の運動FIMや在院日数関連を認めた。転倒に対する自己効力感の低下は、離床や歩行動作などにおける回避行動を呈することが考えられ、その要因から、不活動を生じやすくなり、ADL能力低下や在院日数の延長に関連することが示唆される。しかし、本研究においてMFESは入院時にのみ実施しており、その後の経時的な経過を調査できていない。今後、MFESなどの経時的な変化に加え、多変量解析などの分析による関連因子の検討が今後の課題である。

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