講演情報

[O-9-01]症例検討会発表に対する不安要因を踏まえた地区研修会の実践とその効果の検討

*尾上 裕哉1,2、福榮 竜也1,2、鈴東 伸洋1,3、神田 勝利1,4、東海林 麻里子1,4、岩森 俊1,5 (1. 公益社団法人 鹿児島県理学療法士協会、2. 霧島市立医師会医療センター、3. クオラリハビリテーション病院、4. 鹿児島第一医療リハビリ専門学校、5. 介護老人保健施設グレースホーム)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

症例検討、不安要因、発表行動

【倫理に関する記述】
 本報告は教育活動に関する実践報告であり、倫理的配慮として個人情報の保護に十分留意し、対象者からデータ使用に関する同意を得た。

【はじめに】
 地区レベルで開催される理学療法士(以下、PT)の症例検討会は、日常臨床の課題を共有する場であり、地域における教育機能として重要である。しかし、症例検討の方法論に関する学習機会は十分とは言えず、心理的障壁の存在が地区レベルでの発表希望者数の減少に影響している可能性がある。今回、症例検討会の発表に対する不安要因に着目した地区研修会を実施した。その結果、症例検討会の発表に対する心理的障壁および発表行動に前向きな変化がみられた可能性が示唆されたため報告する。
【方法】
 鹿児島県士会主催の地区研修会参加者を対象に、研修会の前後2回にわたりWebアンケートを実施した。解析対象者は34名(女性5名、年齢39.3±11.0歳)だった。アンケート項目は、発表に対する不安要因と発表可否の2点とした。不安要因の設問は「症例検討や講師(実技・座学)等の発表ができない不安要因は何ですか?」とし、選択肢は発表手順や方法論の理解、自信の欠如・失敗への不安、興味、価値認識、作業負担要因、環境要因、心身要因の7項目から該当するすべての選択を求めた。この結果を事前に講師へ共有し、講義内容の構成に反映した。また、発表可否については、「症例検討や講師(実技・座学)の発表ができますか?」という設問に対し、2者択一で回答を求め、研修前後での変化を評価した。統計解析はMcNemar検定(正確確率検定)を用いて研修前後の発表可否の回答結果についての変化を検討した。また、症例検討会発表者数の変化について記述的に整理した。 
【アンケート結果および実践】
 研修前の不安要因として,自信の欠如・失敗への不安および環境要因各11名(32.4%)が多く,次いで作業負担要因6名(17.6%)、発表手順や方法論の理解不足4名(11.8%)であった。これらを踏まえて講義内容を構成した。発表可否の設問について、研修前に発表できると回答した者は12名(35.3%)、研修会後は16名(47.0%)であり、研修前後の変化について、有意差は認められなかった(p=0.219)。不一致6例のうち改善は5例、悪化は1例であった。なお,症例検討会の発表者は昨年度2名から本年度5名へ増加した。
【考察】
 研修前後の発表可否の回答の変化について有意差は認められなかったが、不一致例では改善例が多く、研修後には症例検討会の発表者数は増加した。研修会において、事前に把握した不安要因を講義に反映したことにより、発表行動の前向きな変化がみられた可能性がある。一方で、不一致例が少なく、統計学的検出力が十分でなかった可能性が考えられる。
【まとめ】
 PTに対して症例検討会の方法論の学習機会を設けることは、発表に対する意識の変容につながり、前向きな行動に変化する可能性がある。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン