講演情報

[O-9-04]人事評価の運用再設計による行動変容の促進
―個人目標実践シートを用いた評価モデルの検証―

*村浦 広樹1 (1. 佐伯中央病院リハビリテーション部)
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キーワード:

行動変容、人事評価再設計、個人目標実践シート

本研究は所属施設の倫理規程に基づき実施した。アンケートは無記名・任意回答とし、回答の有無や内容による不利益が生じないことを事前に説明した。収集データは統計的に処理し、研究目的のみに使用した。

【目的】
多くの医療・介護領域の組織において,人事評価制度は導入されているものの,点数評価や処遇決定を主目的とした形式的運用に留まり,人材育成機能が十分に発揮されていないことが課題とされている。特に,評価が日常業務と乖離し,職員の行動変容につながりにくい点が指摘されている。本研究の目的は,人事評価の運用を再設計し,「個人目標実践シート」を用いた評価・フィードバックモデルを構築することで,職員の行動変容および評価に対する認識への影響を検証することである。
【方法】
対象は当院リハビリテーション部職員46名とした。介入として、「個人目標実践シート」を用いた評価運用の再設計を実施した。具体的には、①評価基準の行動定義化、②安全遵守(減点)と成長行動(加点)による二層構造の評価設計、③評価者間のばらつきを是正するキャリブレーション会議の導入、の3点を行った。評価指標として,導入前後におけるアンケート(評価の公平性,面談の有用性,行動変容)を比較した。アンケートの5段階評価は肯定的回答と否定的回答の2群に分類し,導入前後の比較にはχ²検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
「公平に評価されている」と回答した割合は導入前63%から導入後70%へ増加したが,有意差は認めなかった(χ²検定,p>0.05)。一方,行動変容については,「改善あり」と回答した割合が導入前57%から導入後83%へ増加し,有意差を認めた(χ²検定,p<0.01)。「面談が有意義」とする割合は83%から81%と同水準であったが,「非常に有意義」は35%から41%へ増加した。
【考察】
本取り組みにより,人事評価は過去の査定から将来の行動を規定する運用へと機能転換し,職員の行動変容に寄与した可能性が示唆された。特に,行動定義化による評価の透明性向上と,キャリブレーションによる評価基準の統一が,日常的なフィードバックを促進し,具体的行動への落とし込みにつながったと考えられる。一方で,評価の公平性に関しては改善傾向を示したものの有意差には至らず,評価基準のさらなる精緻化が課題である。
【まとめ】
人事評価の運用再設計により、評価は過去の査定から未来の行動を規定する仕組みへと転換し、職員の行動変容を有意に促進した。本モデルは汎用性が高く、組織内で自律的に人材育成を促進する評価運用の有効な手法となり得る。

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