講演情報

[P-1-01]C8脊髄損傷に脳幹出血を合併した症例における排泄動作障害      
   ―摘便動作における感覚障害の影響について―

*児玉 雄作1、永濱 智美1、榎畑 純二1、重信 恵三2 (1. 社会医療法人恒心会 恒心会おぐら病院 リハビリテーション部、2. 社会医療法人恒心会 恒心会おぐら病院 リハビリテーション科)
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キーワード:

脊髄損傷、感覚障害、排泄動作

本症例報告は,所属機関の倫理委員会の承認(承認番号:2025-B19)を得て実施した。対象者には,本症例報告の概要について文書および口頭にて十分な説明を行い,本症例報告への同意を得て同意書への署名を取得した。また,個人情報の保護に十分配慮した。

【はじめに】
 自律神経過反射は,脊髄損傷患者に生じうる重篤な合併症であり,膀胱・直腸刺激などを契機に急激な血圧上昇を呈し,脳出血を来すことが報告されている。一方,脊髄損傷に脳卒中を併存した症例における機能障害やADL回復過程の詳細な報告は少なく,特に排泄動作に着目した報告は限られている。今回,C8脊髄損傷既往患者に橋出血を合併し排泄動作に困難を認めたため,感覚障害が排泄動作に与える影響について検討した。
【症例紹介】
 36歳男性。既往にC8脊髄損傷(ASIA Impairment Scale:A)があり,受傷前は車椅子にてIADLまで自立し,排便は自己摘便にて自立していた。今回,排便中に右上肢の痺れと構音障害が出現し,橋出血と診断された。保存的治療後,リハビリ目的で当院入院となった。
【評価と介入】
 初期評価では,握力は(右10/左30)kg,右上肢に表在感覚障害(Semmes Weinstein Monofilament Test:以下SWTにて感覚過敏・痺れ),深部感覚障害(母指探しテストⅡ度)と協調性低下(指追い試験:右1点),それに伴う巧緻性低下(Nine Hole Peg Test:以下9HPT:実施困難(0個))を認めた。初期は,感覚過敏を主として右手での把持や操作時の不快感・困難感を訴え,排便動作獲得への移行時期には,9HPT:23秒と巧緻性は回復しているにもかかわらず感覚障害に起因する触知困難感を訴え,摘便動作に支障を来した。以上の経過より,手掌の感覚障害の関与が示唆されたため,早期治療介入として,感覚障害に対して痺れ同調TENS(電気刺激),巧緻動作訓練,感覚再教育を実施し,摘便動作への移行時期からは,更に便の性状や肛門の位置把握を目的とした示指の感覚訓練,鏡を用いた視覚的代償を伴う課題指向型の摘便訓練等を実施した。加えて,病棟との連携を深め内服により便性状の調整を図った。
【結果】
 結果として,SWTによる感覚改善に伴い触知困難感の軽減を認め,摘便動作への訓練介入により自己にて摘便動作が可能となった。
【考察】 
 本症例より,感覚障害は摘便動作における触知および操作の双方に影響し,評価・介入において考慮すべき要素であると示唆された。

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