講演情報
[P-1-03]脳卒中片麻痺患者の平地歩行と勾配歩行における筋活動の違いについて
*烏山 悠季1、矢頭 裕一1、原 修平1、草野 嵩一郎1、川原 靖弘2 (1. 社会医療法人三佼会宮崎病院、2. 放送大学大学院文化科学研究科)
キーワード:
片麻痺、勾配歩行、筋活動
被験者にはヘルシンキ宣言に基づいて本研究の目的や方法や研究による利益・不利益などを書面にて説明し、同意書への署名により同意を得た。参加は自由意思に従うもので、得られたデータや個人情報は匿名加工情報対応表を用いて厳重に管理した。
【目的】長崎県は坂道が多い地域であり、多くの地域高齢者は自宅周囲の坂道によって外出の機会が奪われ、社会的フレイルの要因の一つとなっている。当院回復期病棟の患者の中にも自宅周辺に坂道が多く、退院後の生活についての不安や恐怖心等の訴えが聞かれたり、自立できないことで外出の機会が減少する症例も少なくはない。今回の研究は、当院入院中の患者を対象とし、勾配歩行(上り・下り)と平地歩行の筋活動の違い比較・検証することとした。
【対象】当院回復期病棟に入院した脳卒中片麻痺患者5名(すべて男性、平均年齢72.6±5.3歳)を対象とし、病棟内移動が自立、MMSE 24点以上、評価や歩行を阻害する著明な高次脳機能障害がない者とした。下肢Brunnstrom stageはⅣ1名、Ⅴ4名であり、右片麻痺2名、左片麻痺3名とした。
【方法】表面筋電図の導出にはワイヤレスEMGロガーⅢを用い、麻痺側の大殿筋、大腿直筋、内側広筋、半腱様筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭の計測を行ない、10-500Hzのバンドパスフィルタをかけ、平地の最大値(安定区間3周期)で正規化した。歩行周期の導出には薄型9軸ワイヤレスモーションセンサV2を用い、第3腰椎に装着した。計測環境としては当院屋上にある傾斜約9.7〜10.5°、距離約10.3mの坂道と平地10.0mを使用し、上り、下り、平地の順でそれぞれ独歩快適歩行速度での計測を行なった。
【結果】表面筋電図によるRMSの値を平地歩行、上り、下りの順で示す。大殿筋(39.93±8.58、45.37±21.93、41.17±13.76)、大腿直筋(36.19±6.67、35.67±19.17、28.59±13.23)、内側広筋(37.38±8.19、34.63±18.88、38.31±22.45)、半腱様筋(32.71±10.10、36.46±24.10、30.87±14.49)、前脛骨筋(39.79±6.12、50.64±5.86、40.90±10.50)腓腹筋(32.29±14.01、34.42±26.32、26.02±14.26)となった。また、ピーク値は平地歩行と比較し大殿筋は上り、下り共に減少、内側広筋は下りで減少、前脛骨筋は上り、下り共に増加となった。
【考察】健常者における坂道歩行においては上り坂では大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、前脛骨筋、腓腹筋の筋活動が増加し、下り坂では大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋の活動が増加するとされている。今回の結果から、対象患者では下り坂歩行時の大腿直筋、半腱様筋、腓腹筋の筋活動の低下を認めた。これらの筋は下り坂歩行の際に、遠心性収縮を伴いながら膝関節や足関節の安定性に寄与しているが、片麻痺患者は筋出力の調整障害や痙縮、感覚障害等により求心性収縮よりも遠心性収縮のコントロールが難しいことが多く、片麻痺患者では特に下り坂歩行の際に、膝関節や足関節の安定性が低下すると考える。
【まとめ】長崎のような坂道が多い環境では遠心性収縮を用いた訓練の実施や退院後に行う自主訓練の指導が他の地域よりも重要であり、外出機会を増やすことに繋がるのではないかと考える。
【目的】長崎県は坂道が多い地域であり、多くの地域高齢者は自宅周囲の坂道によって外出の機会が奪われ、社会的フレイルの要因の一つとなっている。当院回復期病棟の患者の中にも自宅周辺に坂道が多く、退院後の生活についての不安や恐怖心等の訴えが聞かれたり、自立できないことで外出の機会が減少する症例も少なくはない。今回の研究は、当院入院中の患者を対象とし、勾配歩行(上り・下り)と平地歩行の筋活動の違い比較・検証することとした。
【対象】当院回復期病棟に入院した脳卒中片麻痺患者5名(すべて男性、平均年齢72.6±5.3歳)を対象とし、病棟内移動が自立、MMSE 24点以上、評価や歩行を阻害する著明な高次脳機能障害がない者とした。下肢Brunnstrom stageはⅣ1名、Ⅴ4名であり、右片麻痺2名、左片麻痺3名とした。
【方法】表面筋電図の導出にはワイヤレスEMGロガーⅢを用い、麻痺側の大殿筋、大腿直筋、内側広筋、半腱様筋、前脛骨筋、腓腹筋内側頭の計測を行ない、10-500Hzのバンドパスフィルタをかけ、平地の最大値(安定区間3周期)で正規化した。歩行周期の導出には薄型9軸ワイヤレスモーションセンサV2を用い、第3腰椎に装着した。計測環境としては当院屋上にある傾斜約9.7〜10.5°、距離約10.3mの坂道と平地10.0mを使用し、上り、下り、平地の順でそれぞれ独歩快適歩行速度での計測を行なった。
【結果】表面筋電図によるRMSの値を平地歩行、上り、下りの順で示す。大殿筋(39.93±8.58、45.37±21.93、41.17±13.76)、大腿直筋(36.19±6.67、35.67±19.17、28.59±13.23)、内側広筋(37.38±8.19、34.63±18.88、38.31±22.45)、半腱様筋(32.71±10.10、36.46±24.10、30.87±14.49)、前脛骨筋(39.79±6.12、50.64±5.86、40.90±10.50)腓腹筋(32.29±14.01、34.42±26.32、26.02±14.26)となった。また、ピーク値は平地歩行と比較し大殿筋は上り、下り共に減少、内側広筋は下りで減少、前脛骨筋は上り、下り共に増加となった。
【考察】健常者における坂道歩行においては上り坂では大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、前脛骨筋、腓腹筋の筋活動が増加し、下り坂では大腿四頭筋、ハムストリングス、腓腹筋の活動が増加するとされている。今回の結果から、対象患者では下り坂歩行時の大腿直筋、半腱様筋、腓腹筋の筋活動の低下を認めた。これらの筋は下り坂歩行の際に、遠心性収縮を伴いながら膝関節や足関節の安定性に寄与しているが、片麻痺患者は筋出力の調整障害や痙縮、感覚障害等により求心性収縮よりも遠心性収縮のコントロールが難しいことが多く、片麻痺患者では特に下り坂歩行の際に、膝関節や足関節の安定性が低下すると考える。
【まとめ】長崎のような坂道が多い環境では遠心性収縮を用いた訓練の実施や退院後に行う自主訓練の指導が他の地域よりも重要であり、外出機会を増やすことに繋がるのではないかと考える。
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