講演情報

[P-10-01]高齢心不全患者におけるリハ前後の身体機能・ADLと再入院に関する検討

*河崎 靖範1 (1. 熊本リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法科)
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キーワード:

高齢心不全、リハビリテーション、再入院

本研究はヘルシンキ宣言に則り、データ抽出後、集計分析した後は個人情報を除去し、施設内の倫理委員会の審査を経て承認を得た(承認番号2025-45)。

【目的】高齢心不全患者は増加傾向にあり、再発を繰り返すことで身体機能およびADL低下を来しやすい疾患である。心不全リハの有効性が報告され急性期から慢性期にかけて重要な治療介入とされている。しかし、高齢心不全患者におけるリハ前後の身体機能やADL、さらに退院後の生活状況や再入院との関連を検討した報告は少ない。今回、当院で入院リハを実施した心不全患者を対象にリハ介入前後の身体機能およびADLの変化、さらに病前ADLへの回復状況や退院後のサービス利用、再入院との関連について検討することを目的とした。

【方法】対象は、2020.4.1~2025.3.31(5年間)に心不全で当院に入院し、心リハを実施した114名(年齢84±10歳、男女比56/58、リハ実施日数36±23日、運動麻痺合併症例16%)とし、急性期病院への転院例および死亡退院例は除外した。評価項目はリハ開始時および終了時の6分間歩行試験(6MD:m)、10m歩行時間(秒)、膝伸展筋力(HHD左右平均値:kgf)、FIM得点(点)とし、さらに病前ADL(MSWによる要介護度情報)と退院時FIM得点を比較した。加えて、退院後の在宅サービス(通所・訪問リハ、通所介護、訪問看護)利用状況及びそれまでの再入院回数を調査した。

【結果】リハ開始時から終了時において、6MD(60→140m)は有意に延長した(p<0.01)。10m歩行時間(17.8→16.3秒)は有意に短縮し(p<0.05)、膝伸展筋力(15.7→17.8kgf)は有意に向上した(p<0.05)。FIM得点(75→90点)は有意に改善した(p<0.01)。要介護度に基づく病前ADLと退院時FIMの比較では、自立の割合が減少し、監視レベルは大きな変化がなかった。一部介助レベルは減少した一方で、中等度以上の介助を要する患者は増加した。病前ADLにまで回復した患者は85%であり、15%は何らかのADL低下を残して退院していた。退院後の在宅サービス利用状況は、通所・訪問リハいずれかまたは両方を利用していた患者が40%、通所介護または訪問看護を利用していた患者が20%、サービス未利用が40%であった。入院回数は初回入院が83%、2回目以上の入院が17%であった。

【考察】本研究の結果、心不全患者においてリハ介入により運動能力、歩行能力、筋力、ADLのいずれも改善することが示された。これは適切な包括的心リハが、身体機能の維持向上に寄与することを示唆する。一方で病前ADLへの完全回復率は85%であった。高齢心不全患者では、加齢や併存疾患などが機能回復を妨げる要因と考えられる。また、退院後の通所・訪問リハ利用率は40%にとどまり、リハ継続が十分に行われていない現状が明らかとなった。心不全は慢性疾患であり、退院後の生活指導やリハ継続が不十分な場合、再入院リスクが高まることが報告されている。本研究でも再入院率は17%であり、在宅における支援体制の強化が求められる。

【まとめ】心不全患者に対するリハは、身体機能およびADLの改善に有効であった。しかし、病前ADLまでの回復には限界があり、退院後のリハ継続率も低いことが示された。心不全患者の機能維持および再入院予防のためには、在宅における医学管理とリハを含めた生活指導が重要である。

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