講演情報

[P-10-03]島嶼地域病院における心不全未発症入院患者のリスク層別化と予防的介入の可能性

*堤 康平1 (1. 社会医療法人玄州会光武内科循環器科病院リハビリテーション部)
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キーワード:

心不全、予防的リハビリテーション、リスク層別化

研究対象は過去の診療録及び評価データを用いた後ろ向き研究であり,対象者への新たな侵襲や負担は生じない.収集したデータは匿名化し,研究用IDを用いて管理することで個人が特定されないようすること,収集したデータは研究目的以外で使用しないよう十分に配慮した.また,この研究は倫理委員会の承認を得て実施した.

【目的】
 心不全は高齢化に伴い増加しており,発症後の治療のみならず発症前段階からの予防的介入の重要性が指摘されている.島嶼地域では医療資源が限られており,心不全発症後の継続的管理には一定の制約がある.そのため入院患者の段階で将来的な心不全発症リスクを評価することは重要と考えられる.
 本研究では心不全未発症入院患者を対象にリスク層別化を行い,臨床指標との関係およびリハビリテーション介入の可能性について探索的に検討した.
【方法】
 当院入院患者558例を対象とした.再入院症例については重複解析を避けるため直近入院のみを採用した.年齢,Alb,eGFR,ADL,内服管理などのデータが揃った270例を解析対象とした.心不全発症リスクの層別化には岡田らが報告した心不全発症予測スコアを参考にした(Okadaら).同スコアは年齢,BMI,eGFR,Alb,ADL,内服管理,BNPなどから構成されるが,本研究ではBNPが全例で測定されていないためBNPを除いた項目を用いて探索的にリスク評価を行った.
【結果】
 解析対象270例のうち,低リスク群94例(34.8%),中リスク群156例(57.8%),高リスク群20例(7.4%)であった.リスクが高い群ほど高齢者の割合が高く,Alb低値およびADL低下例を多く認める傾向がみられた.また内服管理が困難な症例は高リスク群で多く認められた.さらに低リスク群においてもeGFR60未満の症例が41例(43.6%)認められた.
【考察】
 慢性腎臓病は心血管疾患および心不全発症の重要な危険因子とされており,eGFR低下は将来的な心血管イベントと関連することが報告されている(Ene-Iordacheら).また日本人心不全患者においてもeGFR低下は死亡および再入院リスクと関連することが示されている(Hamaguchiら).
 本研究では低リスク群と分類された患者においても腎機能低下を有する症例が43.6%認められ,臨床的に低リスクと評価された患者においても潜在的な心血管リスクを有する可能性が示唆された.さらに高齢者ではADL低下などの身体機能低下が心血管イベントと関連することが報告されており(Araiら),機能評価は心不全予防の観点から重要であると考えられる.
 島嶼地域では医療資源が限られることから,入院患者段階で予防的リハビリテーション介入を検討することは,重症化予防の観点からも有用である可能性が示唆された.
【まとめ】
 心不全未発症入院患者においてリスク層別化を行うことで,将来的な心不全発症リスクを有する可能性のある患者群を抽出できる可能性が示唆された.臨床指標およびADLに基づく評価は心不全予防の観点から重要であり,入院患者段階での予防的リハビリテーション介入の必要性が示唆された.

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