講演情報

[P-11-02]重度感覚障害を呈した右視床出血患者に対し、TENS使用下での感覚入力、動的トレーニングが有効であった一例

*上村 玲央奈1、新保 千尋1、榎畑 純二1、永濱 智美1 (1. 社会医療法人恒心会 恒心会おぐら病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

視床出血、感覚障害、経皮的電気神経刺激(TENS)

【倫理に関する記述】
 本報告は患者から紙面にて同意を得、当院倫理審査委員会による承認(2025-B20)を得て実施した。

【はじめに】
視床は感覚伝導路の重要な中継核であり、視床出血後には重度の感覚障害を呈しやすく、Hiraokaらの報告によると視床出血後の約半数は歩行獲得が困難であると述べられている。
感覚障害に対しては、経皮的電気神経刺激(TENS)の有効性や、足底への感覚刺激により下肢荷重の非対称性が改善することが報告されている。しかし、これらの介入は主に感覚入力の改善に着目したものであり、歩行能力の獲得には荷重下での立位や歩行練習といった動的なトレーニングも重要であると考えられる。今回、視床出血後に重度の感覚障害を呈した患者に対し、TENS併用下での動的トレーニングを実施し、歩行能力向上に至った症例を報告する。
【方法】
症例は60歳代男性で、X年Y月Z日右視床出血を発症し、第71病日に大河原式短下肢装具を装着し1本杖歩行自立となったが、本症例の主訴として、「装具・杖を使用せずに歩行ができるようになりたい」との要望であった。本症例は重度感覚障害を呈しており、歩行動作において麻痺側荷重や重心移動の拙劣さを認めていた。そこでTENS(ESPURGE・伊藤超短波社製)や足底刺激に加え、動的トレーニングを併用した介入を実施した。
介入前評価は下肢Brunnstrom recovery stageⅥ、表在・深部感覚は3-4/10であった。歩行は接触介助レベル、歩行周期全般を通じ後方重心であり、麻痺側荷重、重心移動が不足し、上肢の筋緊張亢進を認めていた。
理学療法介入として足底刺激はボールやバランスディスクを使用し、座位から立位と段階的に実施した。動的トレーニングは、裸足にて立位やスクワット動作による重心移動練習、歩行練習を実施した。介入中は、麻痺側足底へ電極を貼付。患者が痛み・不快刺激とならない程度に、13-20mAの強度で刺激入力を行った。期間は4週間とし、評価項目は、TUG、10m歩行速度、Functional Balance Scale (FBS)、ModifiedFallsEfficasyScale(MFES)、体重計を用いて左右の荷重比を評価した。TUG、歩行速度は介入前後とも装具着用、杖なしで測定した。
【結果】
介入前→介入後を示す。表在・深部感覚に変化は認めなかった。TUGは12.42秒→12.66秒、10m歩行速度は快適速度で0.69m/s →0.83m/s、努力速度で0.84m/s→0.90m/s、FBSは44点→52点、MFESは114点→140点と改善を認めた。左下肢荷重は15㎏→35㎏と増加を認めた。歩行は杖なしで自立となり、後方重心や麻痺側荷重が改善し、上肢の筋緊張の軽減を認めた。
【考察】
感覚障害は歩行などの動作獲得に影響するとされるが、感覚入力に対する理学療法の効果としては、一定の見解が得られていない。今回、足底に対するTENSや物品を用いた感覚入力を実施し、段階的に動的トレーニングとして麻痺側への重心移動を促したことが、下肢の筋出力向上や荷重の非対称性の改善が得られ、歩行能力の向上に繋がった可能性がある。今後は重心動揺計なども定量的な評価と歩行パラメータとの関連性の検証が必要と考える。

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