講演情報
[P-11-04]"心を動かし、活きるを支える"
〜重症くも膜下出血術後患者に対する退院支援〜
*白石 豊章1、廣原 円1、本山 成美1、本田 祐一1、安藤 真次1、竹村 仁1 (1. 臼杵市医師会立コスモス病院)
キーワード:
重症くも膜下出血、精神活動賦活化、退院支援
本発表はヘルシンキ宣言に基づき、対象者及び御家族へ十分な説明を行い、同意を得て実施した。
【はじめに】
くも膜下出血(以下SAH)発症後、塞栓コイル術、V-P シャント術、気管切開術、胃瘻造設術を施行され、発症後5か月で当院転入院した症例に対し、運動療法と並行して精神活動賦活化および気管カニューレ抜管に取り組んだ結果、FIMの改善は軽度であったが、移乗動作・発語・嚥下など生活に直結する機能が向上し、自宅退院に至った一症例を報告する。
【症例紹介】
70代女性。職業は訪問介護員。元々社交的な性格だった。202X年Y月、勤務中にSAH発症し、塞栓コイル術施行。P.O3日:第3側脳室血腫除去術、P.O20日:気管切開術施行。その後正常圧水頭症に対して、P.O1か月:V-Pシャント術施行。P.O1.5か月:回復期リハビリテーション病院転院し、P.O4か月:胃瘻造設術を経て、P.O5か月:当院地域包括ケア病棟へ転入院となった。
【入院時評価】
GCS:E4VTM5、Br‐stage:右Ⅱ-Ⅱ-Ⅲ、四肢拘縮(特に右上肢、両側内反尖足)、FIM26点(運動13点、認知13点)、基本動作やADLは全介助レベルであった。意思表示は頷きや首振りにて可能だが、離床には消極的であった。一方で「家に帰りたい。声が出るなら抜管したい」との希望があり、家族も自宅退院と抜管を望んでいた。
【介入内容】
①精神活動賦活化:うつ傾向に対し入院3日後よりアマンタジン塩酸塩錠開始。運動療法とともに知人や家族との面会機会を増やした。
②気管カニューレ抜管:医師・ST等と協働し、呼吸リハビリテーションを実施。気切部閉鎖時間を段階的に延長し、適宜血ガス測定しながら抜管まで進めた。
③ADL拡大:本人の訴えを傾聴しながら、離床時間を延長し、移乗介助量の軽減に向けて起立・立位・歩行練習を実施した。
【結果】
GCSやBr-stage、拘縮に著しい改善を認めなかったが、FIM39点(運動16点、認知23点)へ改善。移乗は一部介助、歩行器での介助歩行20m程度可能となった。内服と運動療法に加え、面会機会の増加により精神活動が賦活化され、抜管後は挨拶や訴えを単語レベルで表出できるようになった。嚥下機能も改善し、ゼリー等の経口摂取が「お楽しみ」程度で可能となった。
退院前家屋訪問にて、環境調整・介護サービス調整・家族への介助指導を実施し、入院2か月で自宅退院となった。
退院1か月後に退院後訪問を実施したが、家族の支援やショートステイを利用しながら、体調変化なく安定した自宅生活を継続していた。
【考察】
重症SAH患者に対して、本人の希望である「家に帰りたい」「話したい」を実現するために多角的なアプローチを行い、本人の意欲を引き出す関わりを継続したことで、FIMの改善は軽微であっても、移乗・発語・嚥下など実生活に直結する機能が向上し、自宅退院へ繋げることができた。発症5か月を経過し、回復過程が緩徐となる期間であっても、精神活動賦活化や継続的な運動療法を実施することで、患者および家族のQOLの向上に寄与できることが示唆された。
【はじめに】
くも膜下出血(以下SAH)発症後、塞栓コイル術、V-P シャント術、気管切開術、胃瘻造設術を施行され、発症後5か月で当院転入院した症例に対し、運動療法と並行して精神活動賦活化および気管カニューレ抜管に取り組んだ結果、FIMの改善は軽度であったが、移乗動作・発語・嚥下など生活に直結する機能が向上し、自宅退院に至った一症例を報告する。
【症例紹介】
70代女性。職業は訪問介護員。元々社交的な性格だった。202X年Y月、勤務中にSAH発症し、塞栓コイル術施行。P.O3日:第3側脳室血腫除去術、P.O20日:気管切開術施行。その後正常圧水頭症に対して、P.O1か月:V-Pシャント術施行。P.O1.5か月:回復期リハビリテーション病院転院し、P.O4か月:胃瘻造設術を経て、P.O5か月:当院地域包括ケア病棟へ転入院となった。
【入院時評価】
GCS:E4VTM5、Br‐stage:右Ⅱ-Ⅱ-Ⅲ、四肢拘縮(特に右上肢、両側内反尖足)、FIM26点(運動13点、認知13点)、基本動作やADLは全介助レベルであった。意思表示は頷きや首振りにて可能だが、離床には消極的であった。一方で「家に帰りたい。声が出るなら抜管したい」との希望があり、家族も自宅退院と抜管を望んでいた。
【介入内容】
①精神活動賦活化:うつ傾向に対し入院3日後よりアマンタジン塩酸塩錠開始。運動療法とともに知人や家族との面会機会を増やした。
②気管カニューレ抜管:医師・ST等と協働し、呼吸リハビリテーションを実施。気切部閉鎖時間を段階的に延長し、適宜血ガス測定しながら抜管まで進めた。
③ADL拡大:本人の訴えを傾聴しながら、離床時間を延長し、移乗介助量の軽減に向けて起立・立位・歩行練習を実施した。
【結果】
GCSやBr-stage、拘縮に著しい改善を認めなかったが、FIM39点(運動16点、認知23点)へ改善。移乗は一部介助、歩行器での介助歩行20m程度可能となった。内服と運動療法に加え、面会機会の増加により精神活動が賦活化され、抜管後は挨拶や訴えを単語レベルで表出できるようになった。嚥下機能も改善し、ゼリー等の経口摂取が「お楽しみ」程度で可能となった。
退院前家屋訪問にて、環境調整・介護サービス調整・家族への介助指導を実施し、入院2か月で自宅退院となった。
退院1か月後に退院後訪問を実施したが、家族の支援やショートステイを利用しながら、体調変化なく安定した自宅生活を継続していた。
【考察】
重症SAH患者に対して、本人の希望である「家に帰りたい」「話したい」を実現するために多角的なアプローチを行い、本人の意欲を引き出す関わりを継続したことで、FIMの改善は軽微であっても、移乗・発語・嚥下など実生活に直結する機能が向上し、自宅退院へ繋げることができた。発症5か月を経過し、回復過程が緩徐となる期間であっても、精神活動賦活化や継続的な運動療法を実施することで、患者および家族のQOLの向上に寄与できることが示唆された。
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