講演情報

[P-12-03]回復期重度脳卒中患者に対する「ウェルウォークWW-2000」を用いた歩行訓練がADL向上に寄与した1症例

*本田 洋輔1、竹田 豊1、倉爪 康裕1、外薗 昭彦2 (1. 潤和会記念病院 リハビリテーション療法部、2. 潤和会記念病院 リハビリテーション科)
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キーワード:

回復期重度脳卒中、ウェルウォーク、ADL

本件はヘルシンキ宣言に基づき対象者の保護には十分留意し,対象者,ご家族には本件の主旨を十分に説明し,書面にて同意を得た.部内の倫理委員会,所属長に承認を得た.

【はじめに】重度脳卒中患者に対し歩行リハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク」(以下,WW) を使用した歩行訓練はADL向上のための有用な手段となる可能性が示唆されている. 今回,重度麻痺に加えPusher現象および呼吸管理により多大な介助を要した症例に対し,早期からWWで立位・歩行訓練を実施し,活動性およびADL改善に至った経過を報告する.
【症例紹介】本症例は左視床出血を発症した60代男性. 急性期に意識障害のため人工呼吸器管理となり気管切開を施行された.第40病日に当院へ転院.[初期評価(第40病日)]身長170cm,体重78.7kg,BMI27.1,認知・高次脳機能の評価は全期間を通し実施困難,BRS㊨上肢Ⅰ手指Ⅰ下肢Ⅰ,TCT0/100点,BBS0/56点, SCP6/6点,FIM18/126点.
【経過】回復期の介入当初,重度のPusher現象によりリクライニング車椅子への移乗は2~3人介助を要し,活動性低下に起因するサルコペニア肥満を認めた.介助量過大に加え,気管切開術後の呼吸・全身状態管理により十分な運動量確保が困難であり,頭頸部・体幹の支持性向上およびPusher現象改善を目的にWWを用いた立位・歩行訓練を導入.到達目標は移乗介助量軽減および標準型車椅子への離床とした.失語症により意思疎通困難であり,嚥下障害に伴う呼吸状態の不安定さを認めたため,医師指示のもと十分にリスク管理を実施.
 第48病日より麻痺側下肢にロボット脚を装着,体幹支持ハーネスにより転倒防止を図り,セラピスト2名体制(①後方から体幹伸展保持と重心移動,②気管カニュレ管理に加え頭頚部保持と非麻痺側下肢の振り出し介助)で実施. 免荷・介助量を段階的に調整しながら姿勢制御を促進した.約2ヶ月の集中訓練により頭頸部および体幹の伸展保持も一部可能となり第93病日に気管カニュレ抜管,第121病日に昼食のみ経口摂取開始.Pusher現象も改善し長下肢装具装着での1人介助にて立位・歩行訓練が可能となった.しかし,依然として日中の活動性および筋肉量低下を認めた. [中間評価(第121病日)]体重/BMI:78.3kg/27.1,BRS上肢Ⅱ手指Ⅱ下肢Ⅱ, TCT12点,BBS1点, SCP4.5点, FIM30点. 
 第148病日には体幹機能向上に伴い座位姿勢安定が得られたため標準型車椅子での離床と車椅子自己駆動を一部獲得.食事に関しては毎食自己摂取へ移行.活動性向上に伴い体重も減少し,最終的に重介助を要した移乗動作は1人介助まで改善.第218病日に施設退院となった. [最終評価(第218病日)]体重/BMI:68.9kg/24.8,BRS上肢Ⅱ手指Ⅱ下肢Ⅲ,TCT25点,BBS5点, SCP3.0点, FIM34点.
【考察】WWでの早期歩行訓練がADL向上に寄与した要因として以下の3点を挙げる.第1に,安全懸架下での反復的な抗重力伸展活動が頭頚部・体幹および非麻痺側を含めた全身の機能改善を促した点である.第2に,直立姿勢の強制と視覚フィードバックを用いた姿勢制御の再学習によりPusher現象が軽減した点である.第3に,リズム性運動による脊髄レベルのCPG活性が歩行・呼吸同期(LRC)を介して脳幹の呼吸・嚥下中枢へ波及し,呼吸安定と嚥下機能改善を促進した可能性がある.これらはWWによる高頻度な歩行訓練を起点とした機能改善の連鎖として捉えられる.
【研究の意義】重度障害を呈する症例においてもWWを用いた立位・歩行訓練はADL改善に寄与する可能性がある. 今回は一症例の報告であり,今後症例数を集積し検討する必要がある.

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