講演情報

[P-12-04]頸髄損傷後の重度痙性に対するITB療法が運転動作自立に寄与した一症例

*山田 将史1、佐々木 翔健1、原口 徹朗1、本村 楓1、木山 良二2 (1. 加治木温泉病院、2. 鹿児島大学医学部)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

ITB療法、頸髄損傷、外来リハビリテーション

本発表は、所属施設倫理審査委員会の承認を得たものである。本人家族には口頭説明の上、同意を得た。

【はじめに】 
脊髄損傷患者において重度の痙性は姿勢保持や基本動作を阻害し、ADL自立を制限する要因となる。髄腔内バクロフェン療法(ITB療法)は重度痙性に対する治療法の一つである。今回、頸髄損傷後に重度痙性を呈し坐位動作が不安定であった症例に対しITB療法を導入し、動作の安定性向上および自動車運転再開に至ったため報告する。
【症例紹介】 
40歳代男性。倒木事故によりC6-7レベルの頸髄損傷を受傷し224日経過。ASIA分類B。回復期病院退院後も両下肢・体幹に伸筋優位の重度痙性(MAS3-4)を認めた。肩関節MMT5、肘伸展・手関節背屈MMT3、それ以下MMT0。体幹安定性は低く、上肢支持なしでの座位保持は困難であった。移乗は側方アプローチで軽介助、転落は週1-2回認めた。動作安定および運転再開を目的に外来リハを開始した。
【経過】
外来ではPT・OT各1時間を週2-3回実施。物理療法とストレッチを併用し動作練習を行ったが、痙性はMAS3-4で推移し安定した練習は困難であった。外来開始90日後、他院にてITB療法施行。約2週間後に外来再開。導入後は一時的に変動を認めたが、MAS1-1+で安定した。右肘伸展はMMT4まで改善、その他筋力変化なし。座位保持は上肢支持なしで60秒可能となり、移乗は自立した。転落頻度は2-3か月に1回へ減少した。移乗および車椅子積み込み動作が自立し、施行90日後に運転を再開した。現在は自立通院し就労も再開している。
【考察】
ITB療法導入後、痙性の軽減と安定化により座位保持および移乗動作が改善した。転落頻度の減少から動作の安定性向上が示唆された。痙性軽減により過剰な筋収縮が減少し、反復した動作練習が可能となったことが運転動作獲得に寄与した可能性が示唆された。また筋緊張変化に応じた継続的な評価と課題調整が動作安定性向上に関与した可能性が示唆された。
【まとめ】
重度痙性を呈した頸髄損傷症例に対しITB療法を導入し、座位保持および移乗動作の改善とともに運転自立に至った。ITB療法とリハビリテーションの併用は機能改善に寄与する可能性が示唆された。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン