講演情報

[P-13-01]FADIRテスト陽性例における超音波動態観察から得られた知見

*樋口 友紀1、福田 謙典2 (1. 医療法人三和会 本多整形外科 リハビリテーション科、2. Lupo Seravie)
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キーワード:

股関節インピンジメント、FADIRテスト、外閉鎖筋

本研究はすべての対象者にヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行い、書面を用いて研究の内容および意義を説明し、同意を得た上で実施した。

【目的】大腿骨寛骨臼インピンジメントは、大腿骨と寛骨臼の形態異常が主要因とされてきたが、近年では軟部組織に起因する病態も報告されている(N.Sankar et al., 2013)。今回、FADIRテストにおいて鼠径部痛を訴える症例に対して股関節他動内旋運動時の軟部組織動態を超音波画像診断装置(以下エコー)にて観察し比較した。FADIR陽性側(以下症状側)と非症状側での軟部組織動態の相違はFADIRテストにて再現された鼠径部痛と関連している可能性が示唆されたため、考察を踏まえて報告する。

【方法】対象はFADIRテストにて鼠径部痛が誘発され、外閉鎖筋に圧痛所見を認めたこと、1回20分、週2回のエコーアシスト下運動療法を実施した11例(男性5例、女性6例、平均年齢58.8歳)であり、治療前、治療直後、1、2、3カ月後にNRSと屈曲位内旋可動域を計測し、Friedman検定およびBonferroni補正を用いて経時的変化を分析した。方法は股関節90°屈曲位にて股関節後方より外閉鎖筋を抽出し、他動内旋運動時の組織動態を症状側・非症状側で比較した。

【結果】治療前と比較して、NRSは2か月以降で有意に減少し(P<0.01)、屈曲位内旋可動域は1カ月以降で有意な改善を示した(P<0.05)。FADIRテスト時の外閉鎖筋の動態観察において、非症状側では大腿骨頭の後方突出を許容するだけの外閉鎖筋の形態変化が観察されたが、症状側では非症状側と比較して股関節他動内旋に伴う外閉鎖筋の形態変化が極めて乏しく、骨頭のObligate Translationが観察された。また、Translationするタイミングと同期して主訴と一致する鼠径部痛が出現した。したがって、徒手にて同筋の柔軟性改善を実施したところ、股関節他動内旋時の組織動態は非症状側同様へと変化しており、FADIRテスト時の疼痛は消失し屈曲位内旋可動域も改善した。

【考察】今回FADIRテストにて再現された鼠径部痛は、陰性時には他動股関節内旋時の軟部組織動態が非症状側と類似しており、疼痛との関係を示唆する結果となった。 肩関節において、軟部組織の硬さに起因するobligate translationがインピンジメントを助長することが報告されているが、股関節においても同様に骨の形態異常のみならず、外閉鎖筋の硬さがobligate translationを生じさせ股関節前方インピンジメントを惹起している可能性が考えられる。

【まとめ】FADIRテストは関節内病変の検出に有用であるとされているが、感度が高く関節内外病変を区別することは難しい現状にある。したがってFADIRテスト陽性例においても関節外由来の鼠径部痛を疑う一要因としてエコーを用いた外閉鎖筋の動態観察が極めて有用である可能性が考えられる。

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