講演情報

[P-13-02]右寛骨臼周囲骨切り術(PAO)術後の一例
~理学療法に対する合併症リスク管理~

*空 咲良1、久多良木 詩織1、小原 聖也1 (1. 独立行政法人地域医療機能推進機構 宮崎江南病院)
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キーワード:

Periacetabular Osteotomy、合併症予防、歩行獲得

【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき本人に発表の趣旨を説明し同意を得た。

【目的】
寛骨臼周囲骨切り術(Periacetabular Osteotomy: PAO)は関節温存術であり、異常な関節圧力や関節不安定性を改善し変形性股関節症の進行を予防するが、腸腰筋の反復収縮による恥骨骨切り部位のインピンジメント、恥骨疲労骨折や偽関節などの合併症が報告されている(Disantis et al., 2022; Malviya et al., 2015)。本邦では施行施設が限られており、術後理学療法に関する報告は少ない。本報告は、変形性股関節症に対してPAOを施行した一例において、術後合併症予防を含めた理学療法管理と歩行再獲得過程について検討することを目的とした。
【症例紹介】
症例は50歳代女性で20歳代に臼蓋形成不全と指摘された。XX年に歩行距離増加や長時間での座位姿勢保持にて右股関節の疼痛を認め他院受診し、右変形性股関節症と診断された。その後、歩行時痛の増悪、階段昇降困難となりXX年+1年後に前方進入での右PAOが施行された。術後20日目にリハビリ加療目的にて当院に転院となり、同日より理学療法が開始された。自宅退院、事務職への復職を希望していた。
【経過】
プロトコルは、術後6週は免荷かつ股関節屈曲90°制限、その後1週毎に1/3荷重、2/3荷重とし、術後9週より全荷重であった。術後3週時評価では、右大腿前面・外側の痺れはNumerical Rating Scale(NRS) 6、股関節可動域(右/左)は、屈曲90°/115°、伸展0°/10°、徒手筋力テストは非術側下肢3レベル、日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOAスコア)11点であった。術後3〜6週の理学療法では、疼痛管理、腰背部リラクゼーション、股関節周囲筋の等尺性運動、制限内での股関節可動域運動を中心に実施した。偽関節やインピンジメントのリスクを考慮し、過度な股関節可動域練習や腸腰筋の単独収縮は避け、筋力トレーニングは殿筋群の等尺性運動を中心として再教育を図った。術後6週以降は、股関節可動域制限なしでの関節可動域練習、股関節周囲筋筋力増強運動、部分荷重を開始した。荷重開始後の疼痛増悪はみられなかったが、歩行時の恐怖心や骨盤動揺を認めた。座位・立位での荷重練習や筋力増強運動、片脚立位を段階的に導入したことで、骨盤動揺は軽減され両松葉杖歩行から片松葉・1本杖歩行獲得へと繋がった。術後10週評価では右大腿前面・外側の痺れはNRS 2、股関節可動域(右/左)は屈曲100°/120°、伸展5°/10°、徒手筋力テスト(右/左)は股関節屈曲2/5、伸展3/4であったが、その他は非術側を含めて4〜5レベルへ改善した。JOAスコア72点、10m歩行時間は片松葉にて13.3秒であり術後合併症なく片松葉、1本杖レベルで自宅退院となった。
【考察】
本症例は股関節疼痛出現から手術施行までに期間があり、右下肢荷重逃避や活動量低下による両下肢筋力低下が考えられた。PAO術後は組織治癒と機能回復に基づく段階的負荷管理が重要とされている。今回合併症のリスク管理として、過度な股関節可動域練習や腸腰筋の単独収縮を回避し、免荷中は単関節での等尺性運動、荷重後は閉鎖性運動連鎖を中心として段階的に進めた。その結果、合併症の出現や疼痛の増悪なく、良好な歩行機能獲得に有効であった可能性が示唆された。

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