講演情報

[P-14-01]左右非対称性から考察した両側脛骨疲労骨折の理学療法介入の一症例

*太田原 一貴1,3、常盤 直孝1,2、大迫 亜矢1、福満 義人1、山本 惠太郎1 (1. やまもと整形外科 リハビリテーション部、2. フィジカルケア宮崎、3. デイジー)
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キーワード:

左右非対称、疲労骨折、理学療法

本症例に、本報告の趣旨と内容を口頭および文書で説明し、書面にて同意を得た。

【目的】
脛骨疲労骨折はランニングなどの反復負荷により生じる骨ストレス障害の一つであり、下肢アライメントや荷重動作などのバイオメカニクス的要因が発症に関与すると報告されている。一方、人体には構造的・機能的な左右非対称性が存在し、これが下肢の荷重分布や運動連鎖に影響を及ぼす可能性がある。本症例では、Postural Restoration Institute® (以下 PRI)コンセプトに基づいた人体の左右非対称性に着目し、評価および理学療法介入を行い、その臨床的意義について報告する。
【症例紹介】
10代女性、高校陸上部に所属する中距離ランナー。X年12月にMRI検査にて両側脛骨中下1/3内側より骨膜高信号(右>左)を認め、両側脛骨疲労骨折の診断を受ける。同月に理学療法を開始。初期評価では日常生活で痛み、圧痛あり。静的立位ではスウェイバック姿勢、片脚立位ではknee-inと足部外転位を認め、左で著明であった。PRI評価Adduction Drop Test(以下ADT)が両側陽性、Pelvic Ascension Drop Test(以下 PADT)両側陽性、Hruska Adduction Lift Tests(以下HADLT)右1点、左2点。評価結果より、立脚戦略での荷重応答不良が反復ストレスの要因と考え、適切な左右での立脚獲得によるランニング復帰を目的に介入を行った。
【経過】
理学療法は、両側脛骨疲労骨折と診断された日をYとし、当日より介入を開始。走る、飛ぶなどの運動制限を行い、圧痛消失、シングルレッグポップテスト15回、生活上での痛み消失まではランニングを禁止した。PRIエクササイズを中心に介入を進めていき、Y+33日目でADT両側陰性。Y+47日目でPADT両側陰性。Y+75日目にHADLT両側3点、圧痛、生活上での痛み消失、シングルレッグポップテスト15回可能となり、1分ラン+2分歩行を5セットから開始。痛みがなければ段階的にセット数および時間を上げていった。Y+77日にMRI検査にて左脛骨の高信号は消失し、右は骨膜部に軽度残存を認めるまで回復し、疼痛症状もほぼ軽減した。
【考察】
本症例では左右非対称な立脚戦略により荷重応答が低下していたと考えられた。評価結果より左下肢では右下肢と比較して荷重受容が不十分となっており、床反力を効率的な推進力へ変換できず、代償的な足部での蹴り出しが必要となっていた可能性がある。一方右下肢では支持機能が優位となり、Alexandreらは股関節内転角度の増加が脛骨の曲げストレスを増大させると報告している。そのことから右では荷重時の股関節内転が左より増大していた可能性がある。このような左右スタンス機能の不均衡に伴う脛骨への回旋および曲げストレスの増大が、両側疲労骨折の発生に関与した可能性が考えられる。これらを踏まえ、左右のスタンス機能を考慮した理学療法を実施した結果、自覚症状ならびMRI検査にて両脛骨の所見の改善が認められた。

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