講演情報
[P-14-04]カウンタームーブメントジャンプ着地時の足部位置制御と投球コントロールとの関連
*南屋 崇斗1、坂口 弘城1、羽田野 佑弥1、遠矢 拓己1、松田 友秋2、中村 好成1 (1. 医療法人社団創成会 なかむら整形外科クリニック、2. 医療法人朋詠会 獅子目整形外科病院)
キーワード:
カウンタームーブメントジャンプ、足部位置制御、投球コントロール
本研究はヘルシンキ宣言の倫理原則に基づき,当院倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認日:令和7年10月6日).対象者には研究の目的および方法について十分に説明し,書面による同意を得た上で実施した.なお,本研究において開示すべき利益相反はない.
【目的】
投球障害に対するリハビリテーションでは,運動連鎖の観点から上肢運動に影響を及ぼす下肢機能の特徴を把握することが重要である.投球動作においては,フットコンタクト以降のステップ脚股関節運動が骨盤回旋や体幹・上肢動作の支持に重要な役割を果たすことが報告されている(内田ら,2018).一方,ジャンプ課題は運動能力の指標として広く用いられ,その中でもカウンタームーブメントジャンプ(CMJ)は代表的な評価方法の一つとして用いられる(笹代ら,2014).CMJにおける下肢の運動制御は投球動作の正確性や再現性,および安定性などに影響を及ぼす可能性が考えられるが,このような観点で検討した報告は我々が渉猟した範囲では確認できなかった.そこで本研究は,CMJ着地時の足部位置変化と投球コントロールとの関連性を探索的に検討し,今後の検証的研究につながる基礎的知見を得ることを目的とした.
【方法】
対象は高校野球投手7名(平均年齢16.4歳,全員右投げ)とした.投球動作では,ウォーミングアップ後に18.44m先の的(FIELDFORCE社製ストライクゾーンネット)に対し全力投球を20球実施し,的内投球数を記録した.なお的の大きさは高さ約107㎝,横幅約66㎝で,的の最下端が地面より約36㎝の位置に接地した.CMJは,上前腸骨棘間距離に基づく足部基準位置から8回実施し,前方および左右側方よりスマートフォンカメラ(Google Pixel)を用いて着地時の足部位置を計測した.足部位置の偏位量は,基準位置からの前後方向および左右方向の変位量を合成した値として左右下肢それぞれで算出し,各試行の平均値を代表値とした.統計解析は,小サンプルによる探索的検討であることを踏まえ,CMJ着地時の足部位置の偏位量と的内投球数との関連について,スピアマンの順位相関係数を用いて行った.
【結果】
CMJ着地時の足部位置の偏位量と的内投球数との関係を検討した結果,左右下肢ともに負の相関を認めた.特に左下肢では,右下肢(r=-0.80)と比較してより強い負の相関を認めた(r=-0.95).
【考察】
本研究では,CMJ着地時の足部位置の偏位量と投球コントロールとの関連が認められ,特に左下肢で強い関係性が示された.本研究で用いた足部位置の偏位量は,着地位置のばらつきを表す指標であり,動作の正確性や再現性,および安定性といった運動制御の一側面を反映する可能性がある.右投げ投手における左下肢はステップ脚として機能し,股関節運動は骨盤回旋や体幹・上肢動作を支持に関与することが報告されている(内田ら,2018).また股関節筋力はボールリリース時の肩関節角度とも関連することが示されている(内田ら,2019).これらを踏まえると,左下肢の足部位置の偏位量は,ステップ脚における動作の安定性を反映し,投球時の姿勢や上肢動作の安定性を介して投球コントロールと関連した可能性が考えられる.一方で,本研究は少数例を対象とした探索的検討であり,因果関係や機序を明らかにするためには,今後サンプル数を増やした検討が必要であると考えられた.
【まとめ】
CMJ着地時の足部位置偏位は投球コントロールと関連し,特に左下肢において強い関係性が示された.足部位置制御は支持脚機能を介して投球コントロールに関与する可能性が示唆された.
【目的】
投球障害に対するリハビリテーションでは,運動連鎖の観点から上肢運動に影響を及ぼす下肢機能の特徴を把握することが重要である.投球動作においては,フットコンタクト以降のステップ脚股関節運動が骨盤回旋や体幹・上肢動作の支持に重要な役割を果たすことが報告されている(内田ら,2018).一方,ジャンプ課題は運動能力の指標として広く用いられ,その中でもカウンタームーブメントジャンプ(CMJ)は代表的な評価方法の一つとして用いられる(笹代ら,2014).CMJにおける下肢の運動制御は投球動作の正確性や再現性,および安定性などに影響を及ぼす可能性が考えられるが,このような観点で検討した報告は我々が渉猟した範囲では確認できなかった.そこで本研究は,CMJ着地時の足部位置変化と投球コントロールとの関連性を探索的に検討し,今後の検証的研究につながる基礎的知見を得ることを目的とした.
【方法】
対象は高校野球投手7名(平均年齢16.4歳,全員右投げ)とした.投球動作では,ウォーミングアップ後に18.44m先の的(FIELDFORCE社製ストライクゾーンネット)に対し全力投球を20球実施し,的内投球数を記録した.なお的の大きさは高さ約107㎝,横幅約66㎝で,的の最下端が地面より約36㎝の位置に接地した.CMJは,上前腸骨棘間距離に基づく足部基準位置から8回実施し,前方および左右側方よりスマートフォンカメラ(Google Pixel)を用いて着地時の足部位置を計測した.足部位置の偏位量は,基準位置からの前後方向および左右方向の変位量を合成した値として左右下肢それぞれで算出し,各試行の平均値を代表値とした.統計解析は,小サンプルによる探索的検討であることを踏まえ,CMJ着地時の足部位置の偏位量と的内投球数との関連について,スピアマンの順位相関係数を用いて行った.
【結果】
CMJ着地時の足部位置の偏位量と的内投球数との関係を検討した結果,左右下肢ともに負の相関を認めた.特に左下肢では,右下肢(r=-0.80)と比較してより強い負の相関を認めた(r=-0.95).
【考察】
本研究では,CMJ着地時の足部位置の偏位量と投球コントロールとの関連が認められ,特に左下肢で強い関係性が示された.本研究で用いた足部位置の偏位量は,着地位置のばらつきを表す指標であり,動作の正確性や再現性,および安定性といった運動制御の一側面を反映する可能性がある.右投げ投手における左下肢はステップ脚として機能し,股関節運動は骨盤回旋や体幹・上肢動作を支持に関与することが報告されている(内田ら,2018).また股関節筋力はボールリリース時の肩関節角度とも関連することが示されている(内田ら,2019).これらを踏まえると,左下肢の足部位置の偏位量は,ステップ脚における動作の安定性を反映し,投球時の姿勢や上肢動作の安定性を介して投球コントロールと関連した可能性が考えられる.一方で,本研究は少数例を対象とした探索的検討であり,因果関係や機序を明らかにするためには,今後サンプル数を増やした検討が必要であると考えられた.
【まとめ】
CMJ着地時の足部位置偏位は投球コントロールと関連し,特に左下肢において強い関係性が示された.足部位置制御は支持脚機能を介して投球コントロールに関与する可能性が示唆された.
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