講演情報
[P-15-01]歩行自立イベントにおける課題遂行能力の変化の検討:整形外科疾患を有する高齢者15例のパイロットスタディ
*松田 健志1,2、中原 雅美2、斉藤 直人1、田村 裕昭3、川嶌 眞之3 (1. 川嶌整形外科病院リハビリテーション科、2. 国際医療福祉大学保健医療学専攻理学療法学分野、3. 川嶌整形外科病院整形外科)
キーワード:
歩行自立、課題遂行能力、縦断研究
本研究は、社会医療法人玄真堂倫理委員会の承認を得た(承認番号20260423-02)。また、ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に十分な説明と同意を得て実施した。
【目的】脆弱性骨折を受傷した高齢者は,生命予後・機能的予後が良好であるとの先行研究を根拠に,早期離床が推奨される.しかし,その一要素である歩行自立が,どのような能力の変化に影響を与えるかについては十分に検討されていない.
本研究は,歩行自立をイベントとした解析(イベントスタディ:以下ES)において,どのようなアウトカム指標が適しているか,どの評価指標が変化する傾向があるかを探索するパイロットスタディである.主にイベント発生前のトレンド検証とイベント前後でアウトカム指標の平均変化量の比較を実施した.
【方法】大分県の整形外科病院,回復期リハビリテーション病棟に入院した患者15名を対象とした.各対象者に週2回の頻度で10m歩行,5回立ち座りテスト(以下5STS),セミタンデム立位保持時間(ST立位),2分間ステップテスト(2minT)を測定した.測定期間は2026年2月15日~4月15日とした.イベント定義は「補助具使用の有無に関わらず,病院内の移動が自立した時点」とした.イベントを達成した対象者群に各測定項目について単変量回帰分析を用いてプレトレンドの検証およびイベント前後の平均の差,効果量を比較した.有意水準は5%とした.
【結果】対象者のうち8例(平均年齢86.3±4.2歳,女性8例,脊椎・骨盤骨折4例,大腿骨近位部骨折4例)が入院中に歩行自立となった.7例(平均年齢90±6.8歳,女性6例,脊椎・骨盤骨折5例,大腿骨近位部骨折2例)は歩行自立に至らなかった.歩行自立例のうち,イベント発生前の傾きβはそれぞれ10m歩行(β:-3.7,p=0.1),5STS(β:0.65,p=0.80),ST立位(β=-4.1,p=0.52),2minT(β=7.1,p=0.27)で有意なトレンドはみられなかった.またイベント週を基準とした(イベント前1週)-(後1週)の差の差分の変化量Δ(平均±SD)と効果量dはそれぞれ,10m歩行(Δ=-2.6s±4.0,d=-0.65),5STS(Δ=-4.7s±10,d=-0.45),ST立位(Δ=20s±21,d=0.97),2minT(Δ=8.9回±15,d=0.58)であった.
【考察】本研究では,いずれの指標もイベント前に有意なトレンドはなく,ESの前提条件は満たしていると考えられた.また先行研究によると10m歩行の最小可検変化量は0.08~0.16s/m,5STSは2.0~2.8秒(健常者)であり(ST立位と2minTは参考値なし),10m歩行と5STSは少なくとも参考値より大きな変化量と中程度の効果量であった.ST立位,2minTは参考値がないため明確ではないが,比較的大きな変化量と効果量を示した.いずれの指標においてもばらつきが大きく,サンプルサイズも小さいので,慎重な解釈が必要であると考えられる.本研究の結果から,歩行自立後には複数の課題遂行能力が改善する傾向が示唆された.しかし,その変化の大きさや一貫性はアウトカムによって異なる可能性がある.今後は個人因子や時間因子などの交絡を考慮した解析により,より精度の高い検証が必要である.
【目的】脆弱性骨折を受傷した高齢者は,生命予後・機能的予後が良好であるとの先行研究を根拠に,早期離床が推奨される.しかし,その一要素である歩行自立が,どのような能力の変化に影響を与えるかについては十分に検討されていない.
本研究は,歩行自立をイベントとした解析(イベントスタディ:以下ES)において,どのようなアウトカム指標が適しているか,どの評価指標が変化する傾向があるかを探索するパイロットスタディである.主にイベント発生前のトレンド検証とイベント前後でアウトカム指標の平均変化量の比較を実施した.
【方法】大分県の整形外科病院,回復期リハビリテーション病棟に入院した患者15名を対象とした.各対象者に週2回の頻度で10m歩行,5回立ち座りテスト(以下5STS),セミタンデム立位保持時間(ST立位),2分間ステップテスト(2minT)を測定した.測定期間は2026年2月15日~4月15日とした.イベント定義は「補助具使用の有無に関わらず,病院内の移動が自立した時点」とした.イベントを達成した対象者群に各測定項目について単変量回帰分析を用いてプレトレンドの検証およびイベント前後の平均の差,効果量を比較した.有意水準は5%とした.
【結果】対象者のうち8例(平均年齢86.3±4.2歳,女性8例,脊椎・骨盤骨折4例,大腿骨近位部骨折4例)が入院中に歩行自立となった.7例(平均年齢90±6.8歳,女性6例,脊椎・骨盤骨折5例,大腿骨近位部骨折2例)は歩行自立に至らなかった.歩行自立例のうち,イベント発生前の傾きβはそれぞれ10m歩行(β:-3.7,p=0.1),5STS(β:0.65,p=0.80),ST立位(β=-4.1,p=0.52),2minT(β=7.1,p=0.27)で有意なトレンドはみられなかった.またイベント週を基準とした(イベント前1週)-(後1週)の差の差分の変化量Δ(平均±SD)と効果量dはそれぞれ,10m歩行(Δ=-2.6s±4.0,d=-0.65),5STS(Δ=-4.7s±10,d=-0.45),ST立位(Δ=20s±21,d=0.97),2minT(Δ=8.9回±15,d=0.58)であった.
【考察】本研究では,いずれの指標もイベント前に有意なトレンドはなく,ESの前提条件は満たしていると考えられた.また先行研究によると10m歩行の最小可検変化量は0.08~0.16s/m,5STSは2.0~2.8秒(健常者)であり(ST立位と2minTは参考値なし),10m歩行と5STSは少なくとも参考値より大きな変化量と中程度の効果量であった.ST立位,2minTは参考値がないため明確ではないが,比較的大きな変化量と効果量を示した.いずれの指標においてもばらつきが大きく,サンプルサイズも小さいので,慎重な解釈が必要であると考えられる.本研究の結果から,歩行自立後には複数の課題遂行能力が改善する傾向が示唆された.しかし,その変化の大きさや一貫性はアウトカムによって異なる可能性がある.今後は個人因子や時間因子などの交絡を考慮した解析により,より精度の高い検証が必要である.
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