講演情報
[P-15-03]臨床所見と研究結果を吟味したことで, 良好な結果が得られた一症例
*福本 周市1、伊波 大1、岩切 友那1、太田 愛月1 (1. 医療法人青葉会 のざきクリニック)
キーワード:
クリニカルリーズニング、仙腸関節、バレーボール選手
ヘルシンキ宣言に基づき, 患者に十分説明し書面にて同意を得て実施した
【目的】これまで多くの研究報告がなされ, 理学療法の発展に寄与してきた. しかし, 研究結果をどのように臨床へ応用するかは, 各セラピストのクリニカルリーズニング能力に依存する部分が大きい. 臨床では研究結果を批判的に吟味し, 個々の症例へ適切に反映させる必要がある. 今回, 研究知見を参考に統合的な評価を行い, 良好な結果が得られた症例を経験したため報告する.
【症例紹介】症例は16歳女性, 高校バレーボール部所属. ポジションはレフト. 主訴は「腰が痛くてバレーができない」であった. 疼痛は左Posterior Superior Iliac Spine (以下; PSIS)周囲に限局し, NRS7/10. 安静時痛はなく, 体幹屈曲, 伸展, 車への乗降, 靴下やズボンの着脱, 起き上がり動作で疼痛が出現した. 一方, 自転車走行やジョギングでは疼痛を認めなかった. 既往として左足関節捻挫があった. 発症は10日前の練習中であり, アタック後に左下肢で着地した際に腰痛が出現した. 大会を20日後に控えており, 競技復帰を希望していた. Functional testでは, しゃがみ込み時に左股関節内旋がみられ, 最終域付近で疼痛が出現した. Gillet testは左陽性, 立位アライメントでは左PSIS上方偏位を認め, 左PSISに圧痛を認めた. 自動運動では体幹屈曲・伸展ともに約30°で疼痛が出現したが, 側屈・回旋では疼痛なく全可動域可能であった. 左腸骨を後傾位に保持した状態で体幹屈曲を行うと, 可動域は約90°まで改善した. 他動運動では左股関節屈曲最終域で疼痛を認めたが, 著明な硬さは見られなかった. また, 腰椎の他動運動では可動域制限や疼痛はなかった. 以上より, 左PSIS部圧痛, 左PSIS上方偏位, Gillet test左陽性, 腰椎由来所見の乏しさから左仙腸関節機能障害を疑った. 仙腸関節疼痛誘発テストではGaenslen test, Thigh thrust testが陽性であった.
【介入】左腸骨後傾位で症状軽減を認めたため, 左股関節伸筋群を利用した左腸骨後傾誘導を行なった. 左股関節伸展方向への等尺性収縮を6回×3セット実施した. また, 効果維持を目的にセルフエクササイズを指導した.【経過】
Day1介入後, 体幹屈曲は最終域まで可能となったが, 最終域で痛みが残存した. 体幹伸展は疼痛なく可能となった. Day2介入前には靴下・ズボン着脱時の痛みは消失し, 体幹屈曲最終域と起床時のみ痛みが残存していた. Day2介入後には体幹屈曲最終域の痛みも消失したため, 段階的に競技参加を促した. Day3では疼痛なくバレーボール競技復帰となり理学療法終了となった.
【考察】Laslettらは, 仙腸関節疼痛誘発テストが3項目以上陽性の場合, 感度91%, 特異度78%で仙腸関節由来疼痛を示唆すると報告している. 本症例では陽性所見は2項目であったが, 左PSIS部圧痛, Gillet test陽性, 腰椎機能障害所見の乏しさを統合し, 仙腸関節機能障害の可能性が高いと判断した. 研究結果は臨床意思決定における一因子であり, 患者の問題が何なのか探索することが重要だと考える.
【目的】これまで多くの研究報告がなされ, 理学療法の発展に寄与してきた. しかし, 研究結果をどのように臨床へ応用するかは, 各セラピストのクリニカルリーズニング能力に依存する部分が大きい. 臨床では研究結果を批判的に吟味し, 個々の症例へ適切に反映させる必要がある. 今回, 研究知見を参考に統合的な評価を行い, 良好な結果が得られた症例を経験したため報告する.
【症例紹介】症例は16歳女性, 高校バレーボール部所属. ポジションはレフト. 主訴は「腰が痛くてバレーができない」であった. 疼痛は左Posterior Superior Iliac Spine (以下; PSIS)周囲に限局し, NRS7/10. 安静時痛はなく, 体幹屈曲, 伸展, 車への乗降, 靴下やズボンの着脱, 起き上がり動作で疼痛が出現した. 一方, 自転車走行やジョギングでは疼痛を認めなかった. 既往として左足関節捻挫があった. 発症は10日前の練習中であり, アタック後に左下肢で着地した際に腰痛が出現した. 大会を20日後に控えており, 競技復帰を希望していた. Functional testでは, しゃがみ込み時に左股関節内旋がみられ, 最終域付近で疼痛が出現した. Gillet testは左陽性, 立位アライメントでは左PSIS上方偏位を認め, 左PSISに圧痛を認めた. 自動運動では体幹屈曲・伸展ともに約30°で疼痛が出現したが, 側屈・回旋では疼痛なく全可動域可能であった. 左腸骨を後傾位に保持した状態で体幹屈曲を行うと, 可動域は約90°まで改善した. 他動運動では左股関節屈曲最終域で疼痛を認めたが, 著明な硬さは見られなかった. また, 腰椎の他動運動では可動域制限や疼痛はなかった. 以上より, 左PSIS部圧痛, 左PSIS上方偏位, Gillet test左陽性, 腰椎由来所見の乏しさから左仙腸関節機能障害を疑った. 仙腸関節疼痛誘発テストではGaenslen test, Thigh thrust testが陽性であった.
【介入】左腸骨後傾位で症状軽減を認めたため, 左股関節伸筋群を利用した左腸骨後傾誘導を行なった. 左股関節伸展方向への等尺性収縮を6回×3セット実施した. また, 効果維持を目的にセルフエクササイズを指導した.【経過】
Day1介入後, 体幹屈曲は最終域まで可能となったが, 最終域で痛みが残存した. 体幹伸展は疼痛なく可能となった. Day2介入前には靴下・ズボン着脱時の痛みは消失し, 体幹屈曲最終域と起床時のみ痛みが残存していた. Day2介入後には体幹屈曲最終域の痛みも消失したため, 段階的に競技参加を促した. Day3では疼痛なくバレーボール競技復帰となり理学療法終了となった.
【考察】Laslettらは, 仙腸関節疼痛誘発テストが3項目以上陽性の場合, 感度91%, 特異度78%で仙腸関節由来疼痛を示唆すると報告している. 本症例では陽性所見は2項目であったが, 左PSIS部圧痛, Gillet test陽性, 腰椎機能障害所見の乏しさを統合し, 仙腸関節機能障害の可能性が高いと判断した. 研究結果は臨床意思決定における一因子であり, 患者の問題が何なのか探索することが重要だと考える.
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