講演情報

[P-15-04]体幹伸展筋持久力運動による重心動揺の変化について:腰痛を有する患者のシングルケーススタディ

*若松 早姫1、松田 健志1、斉藤 直人1、川嶌 眞人2、川嶌 眞之2 (1. 川嶌整形外科病院 回復期リハビリテーション科、2. 川嶌整形外科病院 整形外科)
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キーワード:

筋持久力、重心動揺、腰痛症

【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に基づき当院倫理委員会の承認を得て実施した。(承認番号:20260514-01)対象者には研究容について説明し口頭にて了承を得た。

【はじめに】
腰痛症は非特異的腰痛ともいわれ、原因は様々である。腰痛患者は屈筋、側腹筋と比較し、伸筋の持久力が典型的に減少しているといわれている。体幹伸展筋は、バランス課題において重要な役割を果たしていると考えられる。そこで腰痛を有する患者に体幹伸展筋の疲労を誘発するため反復出力負荷を行い、その前後でバランス課題のパフォーマンスがどのように変化するかを観察した。
【対象と方法】
対象者は腰部伸展時に上位腰椎棘突起に疼痛があり、左右側屈時に両肋骨外側部に伸張感がある20代の男性である。立位アライメントは、やや前方重心で、胸椎後弯増強し頭部前方位傾向、骨盤は軽度後傾し膝軽度屈曲位、右肩が左に比べ軽度高く高低差がある状態であった。筋持久力テストは屈曲48.2秒、伸展100.2秒、側腹筋右35.4秒、左50.6秒であった。被験者に重心動揺計(アニマ社製 GRAVICORDER G-620)で、開眼にて30秒間静止立位の足圧中心の変化を記録した。重心動揺計のサンプリング周期は20Hz、サンプリング時間は開眼30秒とした。腰背部を筋疲労状態にするための負荷試行として先行研究の方法を参考に、被検者にベッド端から上半身を外に出し、大腿部を検者によって固定したBiering-Sorensen肢位で、上肢は胸の前で交差させ、手を反対側の肩に置くように指示する。上半身が水平位から落ちたらベッド上で30秒間休憩を入れ、同様の方法を6回繰り返し行った。重心動揺計での測定は、負荷前後、負荷から24時間後に行った。
【結果】
負荷前後で比較した結果、単位軌跡長が負荷前は1.24㎝/sであったのに対し負荷後は1.22㎝/s(変化率2%)、24時間後の単位軌跡長は0.96㎝/s(38%)であった。Y方向単位軌跡長は、負荷前後で0.77㎝/sであったが、24時間後は0.61㎝/s(21%)であった。Y方向動揺平均中心変位は、負荷前が-2.79㎝、負荷後が-1.70cm(39%)、24時間後が-1.26cm(55%)であった。Y方向最大振幅、Y方向実効値においても、負荷前と比較し、負荷後、24時間後ともに減少しており、値は負荷前>負荷後>24時間後となっていた。このように重心移動の前後方向に関わるY方向の解析項目において負荷前後、24時間後の値が減少傾向にあった。
【考察】
先行研究では重心動揺計の各種パラメーターのMCIDは変化率20~25%という報告がある。本研究の対象者では、負荷試行直後は大きな変化はなく、24時間後で特に前後方向の軌跡長の減少および後方への中心偏移減少がみられた。体幹伸展時に腰部の疼痛があり、側腹筋の筋持久力テストにおいて左側に対する右の割合が69.8%と左右差がある状態であったため、体幹筋を賦活する方法として負荷を加えたところ、腰方形筋、姿勢保持筋である脊柱起立筋が働き、重心制御の変化が、疲労の回復に伴って表れた可能性が考えられる。本研究はシングルケースであり、体幹伸展筋力と重心の動揺については慎重な解釈が必要ではあるが、今後検討を重ねて関係を明らかにしていきたい。

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