講演情報

[P-16-02]共生型サービスから就労移行において多施設間の役割明確化が有効であった右被殻出血後の事例

*堀田 一希1、丸中 公貴1、久木﨑 航1、金子 茂稔1 (1. 株式会社未来図Labo)
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キーワード:

脳血管障害、就労支援、多職種連携

本事例には報告の趣旨を口頭で説明し,書面にて同意を得ている.

【はじめに】脳血管疾患患者の就労支援において,医療や福祉から職業リハビリテーションへの移行は,支援機関ごとの役割分担が不明確になりやすく,対象者の不安や目標の曖昧さを招くことがある.今回,右被殻出血後に就労移行支援事業所への移行を目指した事例に対し,移行先事業所との相互見学や役割の明確化を行った.その結果,円滑な移行と主体的な機能訓練の実践につながったため報告する.【事例紹介】41歳男性.右被殻出血を受傷し左片麻痺を呈している.2024年7月より日常生活動作(以下,ADL)の改善および入浴動作獲得を目的にA通所介護事業所を利用し,2025年1月より手段的日常生活動作(以下,IADL)訓練および屋外歩行耐久性向上や移行準備を目的に当事業所へ異動となった.2026年1月よりB就労移行支援事業所への実移行が内定していた.【初回評価】2025年1月の当事業所利用開始時において基本動作は自立していたが,就労を見据えた屋外移動能力や耐久性に課題を認めた.身体機能は握力右41.5kgおよび左0kgで測定不可であり,タンデム立位は10.0秒,Timed Up and Go Test(以下,TUG)は16.7秒,4m歩行テストは10.0秒,体重は85.0kgであった.本人は就労移行に対して具体的なイメージができておらず就労移行に対する意欲は高くなかった.加えて当事業所においても就労移行支援に関する知見が乏しく具体的な当事業所で取り組むべき課題の明確化が不十分であった.【介入・経過】担当相談員の了承を得て,当事業所スタッフと移行先スタッフによる相互事業所見学を実施した.さらに地域運営推進会議にて共生型サービスや就労移行支援について知見を共有する場を作った.その結果,当事業所では基礎的な身体機能や屋外歩行耐久性の向上を担い,移行先では具体的な就労タスクや職業準備訓練を担うという役割分担を共有し明確化することができた.この内容を基に本人とも協議し,当事業所で完結すべき課題と移行先で取り組む内容を具体化した.これにより就労移行までに自宅から就労移行支援事業所までに渡る必要がある横断歩道を安全に渡ることができる歩行速度1m/秒にする等の具体的な目標設定が可能となり,日々の訓練への動機づけが強化された.月1回実施する握力やタンデム立位,TUG,4m歩行,体重の評価をフィードバックしながら,目標指向的なアプローチを継続した.【結果】2025年12月時点の再評価において,握力右44.7kgおよび左0kgで測定不可であり,タンデム立位10.0秒,TUG11.7秒,4m歩行4.6秒と各指標の向上を認めた.事例からは,「(移行先で)取り組むべき内容が明確になったことで当事業所では身体機能の向上に集中できた」との発言が聞かれた.2026年1月より予定通りB就労移行支援事業所へ移行し,トラブルなく訓練を開始できていた.【考察】本事例では,多施設や多職種間で早期から役割を共有し,それを事例へ具体的に提示したことが奏功したと考える.役割の明確化は,事例自身が現在の訓練の意味と将来の生活を関連づける助けとなり,主体性を引き出す要因となった.共生型サービスから就労支援への移行において,相互理解に基づく具体的な目標設定と移行プロセスの可視化が重要であることが示唆された.

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