講演情報

[P-16-04]重度感覚鈍麻を呈した被殻出血患者に対して段階的な歩行・走行練習を実施し、走行獲得までに至った、1症例

*永山 雲琉1、黒木 祐亮1、中原 寿志1、田上 茂雄1、柚木 直也1 (1. 医療法人魁成会宮永病院)
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キーワード:

重度感覚鈍麻、歩行・走行獲得、BWSTT

今回の介入にあたり、症例の個人情報とプライバシーの保護に配慮し、十分な説明を行ったあとに口頭および書面で同意を得た。

【目的】
Time to Walking Independently After Stroke(TWIST)スコア3点と歩行獲得可能性が低い状態であった被殻出血後重度感覚鈍麻症例に対し、Body Weight-Supported TreadmillTraining(以下:BWSTT)を含め、身体機能や歩行能力に応じて段階的かつ戦略的に介入内容や負荷量を調節しながら歩行練習から走行練習へ発展させた。その結果、走行獲得に至ったため歩行困難期、歩行獲得期、走行獲得期に分けて経過を報告する。
【症例紹介】
症例は右被殻出血により左片麻痺を呈した50歳代男性。第20病日に当院回復期病棟へ入院となった。病前はADL自立しており、趣味としてフルマラソンに参加するなど活動性は高かった。初期評価では、Brunnstrom Recovery Stage(以下:BRS)は上肢Ⅳ、手指Ⅳ、下肢Ⅳで、協調性や運動制御に乏く、左下肢中心とした表在感覚および深部感覚は重度鈍麻を認めた。歩行は平行棒内歩行見守りレベルであり、左下肢の振り出し位置にばらつきを認めていた。TWISTスコアは3点であった。
【経過】
〈歩行困難期:第20病日~第30病日〉ステップ練習、ニーリング平行棒内歩行練習を反復して実施した。その際、視覚的フィードバックを用いて足部接位置を修正しながら歩行パターンの再学習を図った。その結果、第30病日に平行棒内歩行自立レベルとなった。〈歩行獲得期:第30病日~第45病日〉時速1.5㎞/hで5分間のBWSTTを開始し、最終的には時速7.0km/hで17分間まで段階的に負荷量を増加させた。第45病日にはBRSは上肢Ⅵ、手指Ⅵ、下肢Ⅵにまで改善しフリーハンド歩行自立となった。〈走行獲得期:第45病日~第 66病日〉素早い重心移動や下肢支持切り替えの練習に加え、BWSTTでの走行練習を実施した。開始時は時速1.5㎞/hで5分間から実施し、最終的には時速7.0㎞/hで10分間と5分間の2セットまで段階的に速度や距離を増加させた。さらに最終段階では、フロントランジ、サイドランジ、ジャンプスクワットなど高強度トレーニングも実施し10m移動は3.15秒、9歩となり、両脚支持期の消失および平均0.07秒の両脚浮遊期を認めたことから、走行獲得に至ったと判断した。
【考察】
本症例は、視覚的フィードバックの活用や、足底感覚・位置覚入力を意識した介入、BWSSTを段階的に実施した。これにより、Central Pattern Generator(CPG)が賦活され歩行パターンの再学習が促され、歩行獲得に至った可能性があると考える。また走行のような高速かつ連続的な運動では、感覚フィードバックに依存した制御よりも、予測的なフィードフォワード制御が重要になると報告されている。トレッドミルでの段階的な走行練習により予測的運動制御の再学習が促され、走行獲得につながった可能性があると考える。一方、感覚障害の改善は限定的で、視覚情報や反復運動学習を活用した代償的戦略が移動能力改善に重要であったと考える。
【まとめ】
重度感覚鈍磨を呈した症例に対し、視覚的フィードバックやBWSTTを用いた段階的な歩行・走行練習を実施した結果、歩行獲得から走行獲得に至った。反復的運動学習およびフィードフォワード制御の再学習が、移動能力改善に寄与した可能性が示唆された。

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