講演情報
[P-18-01]慢性閉塞性肺疾患における栄養状態とADL回復との関連の検討
*吉藤 卓也1、平山 徹1、大角 崇史2、安藤 博彰3、岡本 啓太郎4 (1. 医療法人秀明会 だいかく病院リハビリテーション科、2. 医療法人秀明会 だいかく病院 理事長 整形外科、3. 医療法人秀明会 だいかく病院 院長 呼吸器内科 、4. 医療法人秀明会 だいかく病院 循環器科・心臓外科)
キーワード:
COPD、栄養、離床
本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施し、当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者にはオプトアウト方式により研究内容を公開し、研究参加を拒否する機会を保障した。収集したデータは匿名化し、個人が特定されないよう十分配慮した。
【目的】
慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は慢性炎症やエネルギー代謝異常を背景に低栄養や骨格筋機能低下を伴う全身性疾患であり、これらが身体機能や予後に影響を及ぼすことが知られている。しかし、臨床現場において栄養状態とADL回復との関連を直接的に検討した報告は十分ではない。本研究の目的は、COPD患者における栄養状態とADL回復との関連を明らかにすることである。【方法】
当院に呼吸器疾患を原疾患として入院し既往にCOPDを有している患者66例(平均年齢83.8±8.0歳、男性50例、女性14例)を対象とした後方視的観察研究とした。ADLはBarthel Index(以下、BI)を用い、入院時および退院時の差をBI変化量として評価した。栄養状態の指標として入院時の血清アルブミン値(以下、Alb)およびBMIを用いた。離床タイミング、在院日数、肺気腫重症度(Goddardスコア)を収集した。肺気腫重症度は当院呼吸器内科医がCT画像に基づくGoddardスコアを用いて評価した。Spearmanの順位相関係数を用い、重回帰分析により独立関連因子を検討した。
【結果】
AlbはBI変化量と有意な正の相関を示した(ρ=0.23,p=0.03)。一方、肺気腫重症度とBI変化量との間には有意な相関は認められなかった(ρ=−0.03,p=0.84)。離床タイミングは在院日数と有意な正の相関を示した(ρ=0.45,p<0.01)。重回帰分析の結果、AlbはBI変化量の独立した関連因子として抽出された(β=0.28,p=0.02)。
【考察】
COPDは慢性炎症やエネルギー消費の亢進を背景に低栄養が進行し、骨格筋量および筋力低下を介して身体機能の低下を引き起こすとされている。Landboらは低栄養はCOPD患者の死亡率や身体機能低下と関連することが報告しており、本研究においてもAlbがBI変化量と有意な正の相関を示したことから、同様に関与している可能性が示唆された。本研究では、重回帰分析においてAlbがBI変化量の独立した関連因子として抽出されたことから、栄養状態は他の因子の影響を考慮しても機能回復に関与する可能性が示された。これは栄養状態が単なる背景因子ではなく、機能回復に対して独立した影響を有する可能性を示す結果である。また、離床タイミングは在院日数と有意な正の相関を示しており、離床遅延は入院期間の延長に関連する可能性が示唆された。離床遅延は廃用性変化や全身持久力低下を招き、回復過程を遅延させると考えられることから、早期離床は重要な介入可能因子であると考えられる。肺気腫重症度がBI変化量と優位な相関を示さず、機能回復は肺構造よりも全身状態に依存する可能性が示唆された。低栄養は呼吸筋機能低下や免疫機能低下を介して増悪リスクを高めることが報告されており、単なる身体機能低下にとどまらず疾患経過そのものにも影響を及ぼす可能性がある。栄養状態はリハビリテーションの効果にも関与し、十分な栄養基盤がなければ運動療法による機能回復は限定的となると考えられる。
【結論】
COPD患者のADL回復は肺構造異常のみではなく、栄養状態および身体活動を含む全身状態に強く依存する可能性が示唆された。したがって、COPD患者の機能回復を最大化するためには、運動療法と並行した栄養管理の最適化を行うことが重要であると考えられる。
【目的】
慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は慢性炎症やエネルギー代謝異常を背景に低栄養や骨格筋機能低下を伴う全身性疾患であり、これらが身体機能や予後に影響を及ぼすことが知られている。しかし、臨床現場において栄養状態とADL回復との関連を直接的に検討した報告は十分ではない。本研究の目的は、COPD患者における栄養状態とADL回復との関連を明らかにすることである。【方法】
当院に呼吸器疾患を原疾患として入院し既往にCOPDを有している患者66例(平均年齢83.8±8.0歳、男性50例、女性14例)を対象とした後方視的観察研究とした。ADLはBarthel Index(以下、BI)を用い、入院時および退院時の差をBI変化量として評価した。栄養状態の指標として入院時の血清アルブミン値(以下、Alb)およびBMIを用いた。離床タイミング、在院日数、肺気腫重症度(Goddardスコア)を収集した。肺気腫重症度は当院呼吸器内科医がCT画像に基づくGoddardスコアを用いて評価した。Spearmanの順位相関係数を用い、重回帰分析により独立関連因子を検討した。
【結果】
AlbはBI変化量と有意な正の相関を示した(ρ=0.23,p=0.03)。一方、肺気腫重症度とBI変化量との間には有意な相関は認められなかった(ρ=−0.03,p=0.84)。離床タイミングは在院日数と有意な正の相関を示した(ρ=0.45,p<0.01)。重回帰分析の結果、AlbはBI変化量の独立した関連因子として抽出された(β=0.28,p=0.02)。
【考察】
COPDは慢性炎症やエネルギー消費の亢進を背景に低栄養が進行し、骨格筋量および筋力低下を介して身体機能の低下を引き起こすとされている。Landboらは低栄養はCOPD患者の死亡率や身体機能低下と関連することが報告しており、本研究においてもAlbがBI変化量と有意な正の相関を示したことから、同様に関与している可能性が示唆された。本研究では、重回帰分析においてAlbがBI変化量の独立した関連因子として抽出されたことから、栄養状態は他の因子の影響を考慮しても機能回復に関与する可能性が示された。これは栄養状態が単なる背景因子ではなく、機能回復に対して独立した影響を有する可能性を示す結果である。また、離床タイミングは在院日数と有意な正の相関を示しており、離床遅延は入院期間の延長に関連する可能性が示唆された。離床遅延は廃用性変化や全身持久力低下を招き、回復過程を遅延させると考えられることから、早期離床は重要な介入可能因子であると考えられる。肺気腫重症度がBI変化量と優位な相関を示さず、機能回復は肺構造よりも全身状態に依存する可能性が示唆された。低栄養は呼吸筋機能低下や免疫機能低下を介して増悪リスクを高めることが報告されており、単なる身体機能低下にとどまらず疾患経過そのものにも影響を及ぼす可能性がある。栄養状態はリハビリテーションの効果にも関与し、十分な栄養基盤がなければ運動療法による機能回復は限定的となると考えられる。
【結論】
COPD患者のADL回復は肺構造異常のみではなく、栄養状態および身体活動を含む全身状態に強く依存する可能性が示唆された。したがって、COPD患者の機能回復を最大化するためには、運動療法と並行した栄養管理の最適化を行うことが重要であると考えられる。
コメント
コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン
