講演情報
[P-18-03]短期的な吸気筋トレーニングを実施した閉塞性細気管支炎の一症例
*池山 諒1、中尾 周平1 (1. 鹿児島大学病院 リハビリテーション部)
キーワード:
閉塞性細気管支炎、吸気筋トレーニング、呼吸筋力低下
ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行い、個人情報の保護に十分留意した上で、本人に対して研究内容を説明し、同意を得た。
【目的】閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans; BO)は、末梢気道である細気管支の不可逆的閉塞をきたすことにより呼吸不全を呈する指定難病で、確立された治療法がなく予後は不良である。BOに対する理学療法の報告は少なく、その有用性について一定の見解は得られていない。今回、吸気筋筋力低下が顕著なBOの症例に対して、短期的な吸気筋トレーニング(inspiratory muscle training; IMT)を取り入れた理学療法を行い、呼吸筋筋出力や歩行耐久性の向上が得られたため報告する。
【症例紹介】40代女性。X-1年6カ月、濾胞性リンパ腫と診断され、その後一年間かけて化学療法が行われ部分寛解となった。X-6カ月頃より労作時呼吸困難の自覚あり、X-1カ月頃より呼吸困難の増悪および食欲不振が出現。前院でステロイドや抗生物質、抗菌薬にて治療され、一時状態が改善するも労作時呼吸困難、低酸素血症が再燃し、X-8日精査目的に当院へ転院。X日BOの診断となる。
【経過】X-4日より廃用予防、ADL改善目的にリハビリテーション科紹介となり、下肢筋力増強、胸郭ストレッチ、歩行訓練を中心に理学療法を開始した。X+1日初期評価時は、最大呼気圧(maximal expiratory pressure; MEP)65.0cmH₂O(95.5%)、最大吸気圧(maximal inspiratory pressure; MIP)39.6cmH₂O(62.6%)と吸気筋力は予測値より大幅に下回り、快適に行える連続歩行距離は20mと耐久性低下を認めた。また、大半のADLは休息を挟まないと困難であり、動作時も息切れを認めていた。X+10日よりIMTとしてPOWER breathe® メディクを導入。30呼吸を1日2回、最大吸気圧の30%の負荷で実施した。更にX+14日より排痰・呼吸介助、エルゴメーターをプログラムに取り入れた。X+21日最終評価時、MEP74.1cmH₂O(109.0%)、MIP43.0cmH₂O(68.0%)と呼吸筋筋出力の向上を認め、連続歩行距離は50mと延伸した。また、食事はスムーズに可能、更衣、病棟内移動はゆっくりであれば休まずに可能となり、食事、排泄、整容、病室内移動時の息切れは軽減、入浴時の酸素流量は1~2L/minから1L/min以下へ減少した。
【考察】BOの症例に対してIMTを取り入れた理学療法を行い、呼吸筋筋出力向上、歩行距離延伸、一部のADLにおいて動作速度の向上、息切れの軽減を認めた。慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息は経過により、エアトラッピングが生じ、肺過膨張の進行および換気量低下から横隔膜の可動性低下を来し、吸気筋力が低下する。IMTは横隔膜をはじめとする吸気筋筋活動を改善し、呼吸仕事量が減少することで呼吸困難を減少させる。閉塞性換気障害であるBOも類似した機序で吸気筋力が低下し、IMTにより呼吸筋筋出力が向上したと考える。また、今回は短期的なIMTであったが呼吸筋筋出力の向上を得られた。しかし、ADLの改善は一部であり大幅な身体活動量向上には至らなかった。先行研究では通常のリハビリテーションに2週間のIMTを併用すると、MIPの有意な改善、および6分間歩行試験直後の呼吸困難感の有意な低下を認めたが、運動耐容能の改善には至らなかったと報告されている。今後、より長期的なIMT、理学療法により、更なる呼吸筋力や肺機能の改善、身体活動量向上に繋がるか検証が必要である。
【目的】閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans; BO)は、末梢気道である細気管支の不可逆的閉塞をきたすことにより呼吸不全を呈する指定難病で、確立された治療法がなく予後は不良である。BOに対する理学療法の報告は少なく、その有用性について一定の見解は得られていない。今回、吸気筋筋力低下が顕著なBOの症例に対して、短期的な吸気筋トレーニング(inspiratory muscle training; IMT)を取り入れた理学療法を行い、呼吸筋筋出力や歩行耐久性の向上が得られたため報告する。
【症例紹介】40代女性。X-1年6カ月、濾胞性リンパ腫と診断され、その後一年間かけて化学療法が行われ部分寛解となった。X-6カ月頃より労作時呼吸困難の自覚あり、X-1カ月頃より呼吸困難の増悪および食欲不振が出現。前院でステロイドや抗生物質、抗菌薬にて治療され、一時状態が改善するも労作時呼吸困難、低酸素血症が再燃し、X-8日精査目的に当院へ転院。X日BOの診断となる。
【経過】X-4日より廃用予防、ADL改善目的にリハビリテーション科紹介となり、下肢筋力増強、胸郭ストレッチ、歩行訓練を中心に理学療法を開始した。X+1日初期評価時は、最大呼気圧(maximal expiratory pressure; MEP)65.0cmH₂O(95.5%)、最大吸気圧(maximal inspiratory pressure; MIP)39.6cmH₂O(62.6%)と吸気筋力は予測値より大幅に下回り、快適に行える連続歩行距離は20mと耐久性低下を認めた。また、大半のADLは休息を挟まないと困難であり、動作時も息切れを認めていた。X+10日よりIMTとしてPOWER breathe® メディクを導入。30呼吸を1日2回、最大吸気圧の30%の負荷で実施した。更にX+14日より排痰・呼吸介助、エルゴメーターをプログラムに取り入れた。X+21日最終評価時、MEP74.1cmH₂O(109.0%)、MIP43.0cmH₂O(68.0%)と呼吸筋筋出力の向上を認め、連続歩行距離は50mと延伸した。また、食事はスムーズに可能、更衣、病棟内移動はゆっくりであれば休まずに可能となり、食事、排泄、整容、病室内移動時の息切れは軽減、入浴時の酸素流量は1~2L/minから1L/min以下へ減少した。
【考察】BOの症例に対してIMTを取り入れた理学療法を行い、呼吸筋筋出力向上、歩行距離延伸、一部のADLにおいて動作速度の向上、息切れの軽減を認めた。慢性閉塞性肺疾患や気管支喘息は経過により、エアトラッピングが生じ、肺過膨張の進行および換気量低下から横隔膜の可動性低下を来し、吸気筋力が低下する。IMTは横隔膜をはじめとする吸気筋筋活動を改善し、呼吸仕事量が減少することで呼吸困難を減少させる。閉塞性換気障害であるBOも類似した機序で吸気筋力が低下し、IMTにより呼吸筋筋出力が向上したと考える。また、今回は短期的なIMTであったが呼吸筋筋出力の向上を得られた。しかし、ADLの改善は一部であり大幅な身体活動量向上には至らなかった。先行研究では通常のリハビリテーションに2週間のIMTを併用すると、MIPの有意な改善、および6分間歩行試験直後の呼吸困難感の有意な低下を認めたが、運動耐容能の改善には至らなかったと報告されている。今後、より長期的なIMT、理学療法により、更なる呼吸筋力や肺機能の改善、身体活動量向上に繋がるか検証が必要である。
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