講演情報

[P-18-04]多職種連携による重度低栄養患者の栄養状態およびADL改善の一例

*大草 舞衣1 (1. 済生会八幡総合病院リハビリテーション技術科)
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キーワード:

リハビリテーション栄養、位相角、重度低栄養

済生会八幡総合病院倫理委員会の承認を得た。(承認番号:227)

【目的】重度低栄養患者への積極的な栄養・運動療法は有効と報告されている.しかし実践的な報告数は限りがあり,急性期市中病院での報告は少ない.そこで今回急性期市中病院での重度低栄養患者に対し,多職種と協同し介入を行った結果,早期にADLが改善されたため報告する.
【症例紹介】70歳代女性,155㎝32㎏.白血病治療過程でるい痩が進行.嚥下機能が著しく低下し,誤嚥性肺炎を繰り返しADL全介助となり,リハビリ目的に当院転院となった.併存疾患にはバセドウ病があり,Demandは自宅退院であった.握力(右/左)3/4㎏,MMT(右/左)上下肢3/3,HHD(右/左)は測定困難, SMM2.49㎏,ASMI2.79㎏,下腿周径(右/左)22.0/22.0㎝,基本動作は軽介助~中等度介助,歩行形態は歩行器軽介助,BI 20点,FIM 70点,6MWTは連続歩行約30m.位相角2.0°であった.
【経過】
本症例は嚥下機能低下のため経鼻栄養にて管理されていた.管理栄養士や看護師と協同し,摂取カロリー・たんぱく質量の決定,経鼻栄養の時間決定によるリハビリ時間の確保及びB-SESの導入を行った.重度低栄養,バセドウ病であったため,低負荷・高頻度運動から開始した.経過に伴い病室内ADLが向上し身体活動量が増加したため,再度管理栄養士に摂取カロリーの増加や栄養補助食品の追加を依頼した.介入6週後に最終評価を実施した.体重33.6㎏,握力(右/左)3/3㎏,MMT(右/左)上下肢4/4,HHD(右/左)9.1/8.6㎏,SMM2.29㎏,ASMI2.53㎏,下腿周径(右/左)23.5/23.5㎝,基本動作は見守り~軽介助,歩行形態は歩行器見守り,BI 55点,FIM 94点,6MWTは連続歩行約186m,位相角2.5°であった.なお部位別骨格筋量評価では総骨格筋量の低下は主に体幹筋量の著明な減少に起因したが,四肢では増加傾向が認められた.
【考察】
リハ栄養の効果が得られる期間として3ヶ月要すと報告されている.体重・骨格筋量の増加量が乏しかった原因として,本症例はバセドウ病の既往により通常より多い基礎代謝量,介入期間の不足が推測された.総骨格筋量は体幹筋量の著明な減少に起因したが,骨格筋量の増加量が乏しい中でADLの改善が見られた要因として,位相角の改善があったためと考える.栄養状態の改善及び運動療法を実施したことにより,筋細胞内のミトコンドリアの増加や筋繊維の肥大が起こり,細胞膜の機能が向上したことが考えられる.細胞膜機能向上により筋繊維自体の興奮性が高まり,筋出力が向上し身体機能・ADLの向上に繋がったと考える.今後は急性期における重度低栄養患者に対し,筋肥大を目的とするよりも,神経筋機能の回復に焦点を当てた低負荷・高頻度運動プロトコールの標準化が臨床的有用性を高める上で望まれる.
【まとめ】
バセドウ病併存の重度低栄養患者に対し,多職種連携による栄養管理と低負荷・高頻度運動を6週間実施した.結果,体重や骨格筋量の増加は僅かであったが,BIは20から55点,6MWTは30から186mへ著明に改善した.位相角の向上(2.0°→2.5°)より,細胞膜機能の改善が筋出力向上に寄与したと示唆された.急性期の重度低栄養患者では,筋肥大より神経筋機能の回復に焦点を当てた介入が臨床的に有用であることが示唆された.

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