講演情報
[P-19-03]地域包括医療病棟における転倒転落予測に基づく実用的評価基準の検討
*髙橋 博愛1、柴﨑 千佳子1、甲斐 有希2、田中 勇樹2、石松 元太郎3、稲富 久人4,5 (1. 宗像水光会総合病院 医療安全管理室、2. 宗像水光会総合病院 リハビリテーション室、3. 宗像水光会総合病院 医事課、4. 宗像水光会総合病院 泌尿器科、5. 宗像水光会総合病院 内科)
キーワード:
地域包括医療病棟、転倒転落、転倒転落リスクアセスメントシート
本研究は後方視的観察研究として実施し、個人情報の保護に十分配慮した。研究実施にあたっては所属施設の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:26014)。
【目的】 地域包括医療病棟は高齢者救急患者の受け入れを担う重要な役割を有しており、入院患者は転倒転落のハイリスク群である。転倒転落の予測と予防は臨床現場における重要課題であるが、簡便かつ実用的な評価指標の確立には課題が残る。本研究では、入院中の転倒転落の有無と各種臨床指標との関連を検討し、特に院内で使用している転倒転落リスクアセスメントシート(以下アセスメントシート)の有用性を評価することを目的とした。
【方法】地域包括医療病棟に入院し退院した患者を対象とし、調査項目は入院時あるいはリハビリテーション介入時の年齢、性別、Barthel Index(以下B.I)、握力、在院日数、アセスメントシートとした。なお、アセスメントシートは、武蔵野赤十字病院で作成された院内評価指標を用いた。対象を入院中の転倒転落の有無で非転倒群と転倒群の2群に分類し、有意差を認めた転倒転落予測に有効な項目についてROC曲線を用いてカットオフ値を算出した。
【結果】対象は584例(非転倒群561例、転倒群23例)であった。性別および入院時診療科に有意差は認めなかった。変数の比較(非転倒群vs転倒群)では、アセスメントシート(17.4±8.0vs24.9±7.1点、p<0.001)および在院日数(22.1±15.7vs 29.3±18.9日、p=0.035)に有意差を認めた。一方、B.I(24.1±27.9vs15.9±24.5点、p=0.401)、BMI(20.7±4.3vs20.5±4.3kg/m2、p=0.816)、握力(19.6±10.7vs16.4±8.3kgf、p=0.209)、年齢(81.9±12.9vs84.9±9.3歳、p=0.266)には有意差を認めなかった。転倒転落予測に有効なアセスメントシートについてROC曲線解析の結果、カットオフ値は22点以上であった。また、曲線下面積は0.777(95%信頼区間0.680–0.875)、感度0.672、特異度0.826であり、中等度の判別能を示した。
【考察】本研究において、院内で使用しているアセスメントシートは転倒発生と有意に関連し、一定の予測能を有することが示された。特に特異度が高く、低リスク患者の識別に有用である可能性が示唆された。地域包括医療病棟では多職種による迅速なリスク評価と介入が求められることから、本アセスメントシートのような簡便で実用的な指標は臨床現場において有用と考えられる。一方で感度は十分とは言えず、単独指標としての限界もあるため、今後は他の臨床指標との併用や運用方法の工夫により、より精度の高い転倒予測の構築が必要である。本カットオフ値は臨床現場におけるスクリーニング指標として活用可能であると考えられる。
【まとめ】本研究により、院内で使用している転倒転落アセスメントシートは転倒転落予測に有用であり、カットオフ値を用いた実用的な評価基準を提示することができた。地域包括医療病棟における転倒転落予防の一助となることが期待される。
【目的】 地域包括医療病棟は高齢者救急患者の受け入れを担う重要な役割を有しており、入院患者は転倒転落のハイリスク群である。転倒転落の予測と予防は臨床現場における重要課題であるが、簡便かつ実用的な評価指標の確立には課題が残る。本研究では、入院中の転倒転落の有無と各種臨床指標との関連を検討し、特に院内で使用している転倒転落リスクアセスメントシート(以下アセスメントシート)の有用性を評価することを目的とした。
【方法】地域包括医療病棟に入院し退院した患者を対象とし、調査項目は入院時あるいはリハビリテーション介入時の年齢、性別、Barthel Index(以下B.I)、握力、在院日数、アセスメントシートとした。なお、アセスメントシートは、武蔵野赤十字病院で作成された院内評価指標を用いた。対象を入院中の転倒転落の有無で非転倒群と転倒群の2群に分類し、有意差を認めた転倒転落予測に有効な項目についてROC曲線を用いてカットオフ値を算出した。
【結果】対象は584例(非転倒群561例、転倒群23例)であった。性別および入院時診療科に有意差は認めなかった。変数の比較(非転倒群vs転倒群)では、アセスメントシート(17.4±8.0vs24.9±7.1点、p<0.001)および在院日数(22.1±15.7vs 29.3±18.9日、p=0.035)に有意差を認めた。一方、B.I(24.1±27.9vs15.9±24.5点、p=0.401)、BMI(20.7±4.3vs20.5±4.3kg/m2、p=0.816)、握力(19.6±10.7vs16.4±8.3kgf、p=0.209)、年齢(81.9±12.9vs84.9±9.3歳、p=0.266)には有意差を認めなかった。転倒転落予測に有効なアセスメントシートについてROC曲線解析の結果、カットオフ値は22点以上であった。また、曲線下面積は0.777(95%信頼区間0.680–0.875)、感度0.672、特異度0.826であり、中等度の判別能を示した。
【考察】本研究において、院内で使用しているアセスメントシートは転倒発生と有意に関連し、一定の予測能を有することが示された。特に特異度が高く、低リスク患者の識別に有用である可能性が示唆された。地域包括医療病棟では多職種による迅速なリスク評価と介入が求められることから、本アセスメントシートのような簡便で実用的な指標は臨床現場において有用と考えられる。一方で感度は十分とは言えず、単独指標としての限界もあるため、今後は他の臨床指標との併用や運用方法の工夫により、より精度の高い転倒予測の構築が必要である。本カットオフ値は臨床現場におけるスクリーニング指標として活用可能であると考えられる。
【まとめ】本研究により、院内で使用している転倒転落アセスメントシートは転倒転落予測に有用であり、カットオフ値を用いた実用的な評価基準を提示することができた。地域包括医療病棟における転倒転落予防の一助となることが期待される。
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