講演情報
[P-19-04]テキストマイニング手法を用いたリハビリテーション科における過去3年間のインシデント分析
*江郷 功起1、冨松 高司2、竹嶋 順平3 (1. 地方独立行政法人大牟田市立病院リハビリテーション科、2. 地方独立行政法人大牟田市立病院医療安全対策室、3. 帝京大学福岡医療技術学部)
キーワード:
テキストマイニング、インシデント分析、医療安全
本研究は当院研究倫理審査委員会の承認(承認番号2547)を得て実施した。対象となった当院スタッフには研究目的を文章及び口頭で説明し同意を得た。解析対象データは匿名化し、個人情報保護に十分配慮した。
【目的】
医療安全とリハビリテーションに関する報告を検索すると日本医療機能評価機構の医療事故データベースを用いた大規模の報告が散見されるが、単一施設での報告は見られない。またヒヤリハットの報告の多くはレベル別集計にとどまり、事象や原因に焦点をあてた分析や自由記述データを体系的に解析した報告は少ない。そこで本研究では単一施設での一次集計を行い、その後インシデント報告書の自由記述をテキストマイニング(情報発掘)手法を用いて分析し、発生要因の特徴を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
過去3年間に当科スタッフ(PT・OT・ST、最大23名)から報告されたインシデント報告236件を対象とした。電子カルテ内のインシデント報告データを用い、年度別・レベル別に一次集計した。次に文章として記載された「事例の具体的内容」(以下具体的内容と略す)と「事例の背景要因の概要」(以下背景要因と略す)を選定しそれぞれを解析した。解析にはテキストマイニングソフトKH Coder(Ver.3)を用い、特徴語の出現回数を抽出し、語同士の関連を共起ネットワーク分析で検討した。
【結果】
年度別では令和4年度33件、5年度71件、6年度132件と増加傾向を示した。レベル別ではレベル0が126件、レベル1が83件、レベル2が15件、レベル3aが11件、レベル3bが1件であった。具体的内容の特徴語の出現回数では「患者」が抽出284回と最も多く、「リハビリ」168回、「ベッド」154回、「行う」130回、「車椅子」96回、「確認」91回、「歩行」69回、「練習」67回と上位を占めた。共起ネットワーク分析では「ベッドサイドや車椅子移乗」「点滴」「病棟内と多職種」「終了時の忘れ」の4群に分類され、「ベッドサイドや車椅子移乗」が最大であり、「患者」「リハビリ」「ベッド」「行う」は同一群に含まれていた。背景要因では同様に「患者」が抽出118回と最も多く、「確認」92回、「考える」54回、「行う」49回、「ベッド」39回、「不足」34回、「状態」34回、「転倒」33回と上位を占めた。共起ネットワーク分析では「転倒転落リスク」「ベッド周囲の確認」「点滴やチューブ対応」の3群に分類され、「転倒転落リスク」が最大であり、「患者」「行う」「転倒」が同一群に含まれていた。
【考察】
報告件数の増加は重大事象の増加ではなく、レベル0〜1が大半を占めたことから、報告意識の向上と安全文化の醸成を反映した結果と考えられる。具体的内容では「患者」「ベッド」「車椅子」などリハビリ場面の語が多く、移乗やベッドサイド動作が主要場面であった。背景要因では転倒転落リスクや確認不足、患者状態把握の不足が抽出され、リハビリ特有の移乗や歩行練習などの動的環境におけるリスク認識と標準化された確認行動の徹底、教育的介入が重要であることが示された。今後は標準化された確認手順と教育介入により、リスク認識と対応力の向上が必要である。
【結語】
本手法は自由記述データから特徴語とクラスターの関連を可視化し、単なる単語検索や分類整理とは異なり複数の文章データ内容を総合的に捉えることでインシデントの特徴把握に有用であり、医療安全対策の質向上に寄与する可能性が示唆された。
【目的】
医療安全とリハビリテーションに関する報告を検索すると日本医療機能評価機構の医療事故データベースを用いた大規模の報告が散見されるが、単一施設での報告は見られない。またヒヤリハットの報告の多くはレベル別集計にとどまり、事象や原因に焦点をあてた分析や自由記述データを体系的に解析した報告は少ない。そこで本研究では単一施設での一次集計を行い、その後インシデント報告書の自由記述をテキストマイニング(情報発掘)手法を用いて分析し、発生要因の特徴を明らかにすることを目的とした。
【対象と方法】
過去3年間に当科スタッフ(PT・OT・ST、最大23名)から報告されたインシデント報告236件を対象とした。電子カルテ内のインシデント報告データを用い、年度別・レベル別に一次集計した。次に文章として記載された「事例の具体的内容」(以下具体的内容と略す)と「事例の背景要因の概要」(以下背景要因と略す)を選定しそれぞれを解析した。解析にはテキストマイニングソフトKH Coder(Ver.3)を用い、特徴語の出現回数を抽出し、語同士の関連を共起ネットワーク分析で検討した。
【結果】
年度別では令和4年度33件、5年度71件、6年度132件と増加傾向を示した。レベル別ではレベル0が126件、レベル1が83件、レベル2が15件、レベル3aが11件、レベル3bが1件であった。具体的内容の特徴語の出現回数では「患者」が抽出284回と最も多く、「リハビリ」168回、「ベッド」154回、「行う」130回、「車椅子」96回、「確認」91回、「歩行」69回、「練習」67回と上位を占めた。共起ネットワーク分析では「ベッドサイドや車椅子移乗」「点滴」「病棟内と多職種」「終了時の忘れ」の4群に分類され、「ベッドサイドや車椅子移乗」が最大であり、「患者」「リハビリ」「ベッド」「行う」は同一群に含まれていた。背景要因では同様に「患者」が抽出118回と最も多く、「確認」92回、「考える」54回、「行う」49回、「ベッド」39回、「不足」34回、「状態」34回、「転倒」33回と上位を占めた。共起ネットワーク分析では「転倒転落リスク」「ベッド周囲の確認」「点滴やチューブ対応」の3群に分類され、「転倒転落リスク」が最大であり、「患者」「行う」「転倒」が同一群に含まれていた。
【考察】
報告件数の増加は重大事象の増加ではなく、レベル0〜1が大半を占めたことから、報告意識の向上と安全文化の醸成を反映した結果と考えられる。具体的内容では「患者」「ベッド」「車椅子」などリハビリ場面の語が多く、移乗やベッドサイド動作が主要場面であった。背景要因では転倒転落リスクや確認不足、患者状態把握の不足が抽出され、リハビリ特有の移乗や歩行練習などの動的環境におけるリスク認識と標準化された確認行動の徹底、教育的介入が重要であることが示された。今後は標準化された確認手順と教育介入により、リスク認識と対応力の向上が必要である。
【結語】
本手法は自由記述データから特徴語とクラスターの関連を可視化し、単なる単語検索や分類整理とは異なり複数の文章データ内容を総合的に捉えることでインシデントの特徴把握に有用であり、医療安全対策の質向上に寄与する可能性が示唆された。
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