講演情報

[P-20-02]脳卒中急性期の多面的評価と在宅復帰時歩行能力の関連

*彌永 毅哉1、山口 雄介1 (1. 福岡和白病院リハビリテーション科)
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キーワード:

脳卒中急性期、歩行、予後予測

本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得た(承認番号:00258)。解析には匿名化したデータを使用し、個人情報の保護に十分配慮した。なお、本研究は後ろ向き研究であり、対象者への侵襲や不利益が生じないように配慮して実施した。

【目的】脳卒中発症後の歩行能力の回復は在宅復帰や生活の質を左右する重要な要因である。脳卒中急性期時期の評価における歩行の予後に関連する因子としては麻痺側下肢機能や体幹機能および座位保持能力などが関連すると報告されている。当院でも発症早期にStroke Impairment Assessment Set(以下、SIAS)や、Motricity Index(以下、MI)、Trunk Impairment Scale(以下、TIS)を実施しているが、意識障害の影響などで正確な評価が困難な例もある。そこで本研究は、急性期における脳卒中発症早期の意識障害を含む機能評価と在宅復帰時の歩行能力との関連を検討することを目的とした。
【方法】対象は2023年1月から2025年12月に入院した初発脳卒中患者の内、発症10日目の下肢運動麻痺がBrunnstrom Recovery Stage(以下、BRS)がⅤ以下であり、かつ転院先からの返書において自宅退院時の歩行能力を確認できた31名とした。評価は発症後10日目にSIAS、TIS、MI、BRS、Japan Coma Scale(以下、JCS)、Mini Mental State Examinationを実施した。また、当院または転院先から自宅へ退院した患者の歩行能力を診療録および返書からFunctional Independent Measure(以下、FIM)移動項目を調査した。解析は、R(ver4.5.2)を使用し、各評価項目と退院時のFIM移動項目におけるSpearmanの順位相関係数を算出した。その後、歩行自立の可否(FIM移動項目1-5:0、6or7:1)を目的変数、事前の相関分析により多重共線性を排除して選定したBRSおよびJCS(0=0、1以上=1)を説明変数とし、Firthのペナルティ付きロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%とした。予測モデルの判別能を示すArea Under the Curve(以下、AUC)を算出し、さらに交差検証を行った。
【結果】SIAS、MI、TIS、BRS、歩行可否はいずれも互いに中等度から強度の有意な相関を示した(p<0.05)。Firthのペナルティ付きロジスティック回帰分析の結果、予測モデル全体の有意性が確認された(p=0.006)。各変数のオッズ比(以下、OR)および95%信頼区間(以下、CI)は、BRSがOR:2.50、95%CI:1.27-6.33、p=0.006、JCSがOR:0.24、95%CI:0.002-3.10、p=0.308であった。意識障害(JCS1以上)による負の影響をモデル内で調整した結果、発症10日目のBRSは退院時の歩行自立を予測する独立した強力な有意因子として抽出された。また、予測モデルの判別能を示すAUCは0.864、交差検証後のAUCは0.794であった。
【考察】SIASやMI、TISは運動機能を評価する指標であり相互に相関し、多重共線性を認めやすく、独立した予測因子に挙げることは困難であった。また、急性期脳卒中患者では認知障害や意識障害の合併が高頻度にみられ、せん妄を含む意識障害は約15%~30%に出現し、急性期における認知機能評価に関して約29.5%の症例で評価困難と報告されている。したがって、急性期でも簡便に評価が可能なBRSとJCSから自宅退院時の歩行能力の可否を判断できることは、理学療法のプログラム立案の一助となると考える。

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