講演情報

[P-3-02]地域在住高齢者に対する高負荷運動を軸とした地域介護予防活動「ぴしゃトレ」の試み

*丸中 公貴1、清水 洋行1,3、堀田 一希1、久木崎 航2,3、金子 茂稔3 (1. 株式会社未来図Labo、2. 熊本保健科学大学、3. 株式会社WONDER未来図)
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キーワード:

地域介護予防、地域包括支援、高負荷運動

本報告は所属施設の倫理委員会にて承認を得て実施した(承認番号:M2026-1).三股町社会福祉協議会および全ての対象者に対し,実施内容と個人情報の取り扱い,評価データの学術利用について事前に口頭にて詳細な説明を行い,十分な理解を得た上で同意を得て実施した.

【活動目的】本邦では健康寿命の延伸が強く推奨され,全国でフレイル対策を主眼とした介護予防事業が展開されているが,効果的なプログラムの開発は依然として重要な課題である。宮崎県三股町では,既存の通いの場において参加者の高齢化や運動負荷の低下が進み,新規参加者が入りにくい状況が生じていた.また,リハビリ専門職の不足により,町全体の介護予防を支える体制が十分に整っていなかった.これらの課題を背景に,町民が気軽に参加でき,運動・口腔・栄養・社会参加を包括的に支援する介護予防活動として,2022年10月に「ぴしゃトレ」を開始した.本活動は,先行研究で有効性が示唆されている低強度運動に留まらず ,高負荷運動を軸としたプログラム設計,多職種連携,および評価データの活用を特徴としている.本報告の目的は,三股町における「ぴしゃトレ」の活動内容を報告するとともに,その実践から得られた知見に基づき,地域における新たな介護予防モデルとしての汎用性と今後の課題を整理することである.
【活動内容】対象は宮崎県三股町で週1回開催される介護予防活動「ぴしゃトレ」の参加者とした.本活動は理学療法士・作業療法士が指導を担い,既存の体操より高い運動負荷を設定した立位中心の第1部と,機能に応じて選択可能な座位中心の第2部で構成される二層構造とした.運動に加え,弁当販売を通じた栄養支援,看護師による口腔評価・指導を統合した包括的介入を実施した.さらに,地域包括支援センターとの間で身体評価データ等の情報共有体制を構築した.【方法】対象は活動参加者から今回は2023年7月~8月の同時期に参加した30名を対象に主要測定項目(身体機能評価+QOL評価)の評価を実施した.主要測定項目として,身長,体重,BMI,握力,タンデム立位,4メートル通常歩行速度,2ステップテスト,5回立ち上がりテスト(以下,SS-5), QOL評価(以下,SF-8)を実施した.統計的解析は,Shapiro-Wilk検定および対応のあるt検定を用いた(有意水準5%未満).
【結果】解析対象者の平均年齢は70.7±8.1歳であった.2023年度の登録者は427名,延べ参加者数は8,247名(1日平均160名)に達した.身体機能評価では,SS-5が初回平均9.76秒から2回目7.78秒へと有意な短縮を認め(p=0.044).その他の項目も概ね維持傾向であった.QOL評価では,3ヶ月後のGeneral Health(全体的健康感)が有意に向上した(p=0.041).
【考察】本研究の結果,SS-5の有意な短縮が認められたことは,既存の地域体操より高い負荷設定であっても,地域在住高齢者が安全に実施可能であり,かつ下肢機能の向上に寄与したことを示唆している.また,全体的健康感の有意な向上は,身体機能の改善が参加者の心理面にも肯定的な影響を与えた可能性を示している.1日平均160名という高い参加者数は,身体・心理的実感が住民の満足度や継続意欲に繋がった結果と考えられ,専門職が関与し効果と充足感を両立させたことが,本活動の受容性を高めた要因と推察される.
【結語】「ぴしゃトレ」は,高負荷運動と多職種連携を軸とした新たな介護予防モデルとして,住民の身体機能および全体的健康感の向上に寄与した.

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