講演情報

[P-5-01]AI姿勢推定を用いた簡易動作解析の臨床応用可能性
―起立・着座動作を対象として―

*嶋村 剛史1,2 (1. 熊本保健科学大学 保健科学部リハビリテーション学科、2. 熊本保健科学大学 健康・スポーツ教育研究センター)
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キーワード:

動画解析、三次元動作解析装置、Bland–Altman解析

本研究は,所属施設の倫理委員会の承認を受けて実施した(承認番号:24032).書面を用いて対象者に研究の内容および意義の説明を実施した.ヘルシンキ宣言に基づき倫理的配慮を行い,同意を得た.

【目的】
 近年,客観的データの重要性が高まっており,簡易的に取得可能なデータの活用・蓄積が進んでいる.簡便に計測・評価が可能なデバイスを用いた報告が増加しており,カメラ映像から骨格検出機能を利用して動作評価を行う研究も散見される.そこで本研究は,動画解析から算出される関節角度の妥当性を検討し,臨床における客観的データ活用の可能性を明らかにすることを目的とした.

【方法】
 対象は健常成人男性 15名,計測は三次元動作解析装置(MAC3D: Motion Analysis社製)とWebカメラ(C922n: logicool社製)2台を正面と右側方90°の位置に設置して実施した.計測動作は座面高40cmの椅子から5回の連続した起立・着座動作とした.動画解析はVPAnalyzer(ネクストシステム社製)にて動画ファイルを解析し,取得した骨格情報から体幹・股・膝関節の角度(°)を算出した.また,三次元動作解析装置より取得した座標情報から同様に算出した.解析対象は5回動作の内,最初と最後を除いた3回の起立・着座動作の平均角度における各関節角度の最大値と最小値とした.統計解析はBland–Altman解析を実施した.解析ソフトはMATLAB2025b(MothWorks社製)を用いた.

【結果】
 最大屈曲角度の平均値は,動画解析 / 三次元動作解析でそれぞれ,体幹前傾33.3 ± 7.7° / 39.4 ± 4.7°,股関節98.0 ± 3.5° / 108.1 ± 4.3°,膝関節89.3 ± 3.5° / 83.3 ± 4.7°であった.
 最大伸展角度の平均値は,股関節0.3 ± 3.1° / 12.8 ± 6.9°,膝関節1.2 ± 4.5° / 5.3 ± 6.1°であった.
 Bland–Altman解析の結果,平均差は体幹前傾6.1°(95%CI: 3.5 – 8.7°),股関節屈曲10.0°(95%CI: 7.5 – 12.6°), 股関節伸展12.5°(95%CI: 8.5 – 16.5°), 膝関節屈曲−5.9°(95%CI: −8.4 – −3.4°),膝関節伸展4.1°(95%CI: 0.1 – 8.2°)ですべての項目で固定誤差を認めた.また,体幹最大前傾角度(r=−0.67,p<0.01,回帰直線の傾き=−0.52)および股関節最大伸展角度(r=0.67,p<0.01,回帰直線の傾き=1.21)では,平均値と測定差との間に有意な相関を認め,比例誤差を認めた.

【考察】
 本研究では,動画解析と三次元動作解析の間ですべての項目に固定誤差を認め,解析方法の違いによる一定の系統差が確認された.また,体幹前傾最大角度および股関節伸展最大角度では比例誤差を認め,大きい角度域において誤差が増大する可能性が示された.しかし,各関節角度の推移や動作全体の特徴は概ね一致しており,動画解析を用いた簡易評価でも起立・着座動作の特徴把握に活用できる可能性が示唆された.臨床応用に向けては,解析条件の標準化や測定環境の最適化を図るとともに,解析方法に起因する系統差や測定誤差を考慮した上でデータを解釈することが重要である.

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