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[P-5-04]鏡視下腱板修復術患者におけるPain trajectoryを用いた慢性術後疼痛予測に関する探索的検討

*河口 滉1、馬場 功時1、稲吉 直哉1、須崎 裕一1 (1. 済生会大牟田病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

鏡視下腱板修復術、疼痛、Pain trajectory

本研究は所属施設の倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には研究内容について十分に説明し、書面にて同意を得た。また、個人情報の保護に十分配慮した。

【目的】
腱板断裂は高齢者の機能障害の主因であり、鏡視下腱板修復術(Arthroscopic Rotator Cuff Repair 以下ARCR)の適応となる症例は増加傾向にある。ARCRは腱板の解剖学的修復により、痛みの軽減と機能回復において多くの症例で良好な成績をもたらしている。一方でARCRの術後研究では6ヶ月時点で24%が慢性術後疼痛(Chronic PostSurgical Pain:以下CPSP)が残存したと報告されている。CPSPの原因として、疼痛が繰り返されることで、二次ニューロンの興奮性の変化や大脳皮質機能障害による中枢神経感作が生じるためと言われている。また、CPSPは改善が困難であり、痛みが慢性化する前に早期発見・対策することが必要であるとされている。 また、先行研究にて今井らは、術後1日、3日、5日、7日における安静時疼痛の強度を用いて、疼痛曲線の傾き(疼痛解消率)と切片(術後初期疼痛レベル)を算出するPain trajectoryが予後予測として有用であるとしているが、肩関節術後に関しての報告は少ない。そこで本研究では、ARCR術後患者においての安静時痛・夜間時痛でも同様に術後1週間のPain trajectoryを用いてCPSPが予測できるかどうかを調査した。
【方法】
対象者は同一執刀医のARCRを施行した9例9肩とした。痛みの強度はVASシートを使用して評価し、手術後1日、3日、5日、7日、150日で痛みの強さを測定。安静時痛は午前中のリハビリ介入前に評価し、夜間時痛は夜間睡眠時に出現した疼痛と定義し翌日に聴取した。検証方法は、術後150日時点で疼痛が残存したCPSP群4名と疼痛が消失した軽快群5名に分類した。術後1週間のデータからPain trajectory(切片および傾き)を算出し両群間で比較した。統計解析はEZRを使用しMann-Whitney U検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
安静時痛のPain trajectoryにおいて切片が高く傾きが大きい群と切片が低く傾きが小さい群の2群に分かれる傾向が認められた。前者では軽快群が多く、後者ではCPSP群が多かった。中央値は、軽快群の切片が63.9で傾き-9.6、CPSP群は切片27.2で傾き-2.9であった。一方夜間時痛では明確な傾向は認められなかった。Mann-Whitney U検定では、いずれの指標においても優位差は認めなかった。
【考察】
 今回の検証にて、術後1週間における安静時痛のPain trajectoryで切片が高く傾きが大きい症例が慢性痛に移行しにくく、切片が低く傾きが小さい症例は慢性痛に移行しやすい傾向が見られた。術後疼痛は、主に手術侵襲による炎症が起因となっており、その疼痛が繰り返されることで、二次ニューロンの興奮性の変化や大脳皮質機能障害による中枢神経感作が生じCPSPに移行する。そのため、術後初期疼痛レベルを示す切片が高くても疼痛曲線の傾きが大きく疼痛解消率が高ければ、中枢神経感作が生じにくくCPSPへ移行しにくかったと考えられる。しかし、今回Mann-Whitney U検定では、優位な差は認めていない。要因として対象者が9名であり、サンプルサイズが小さいことが挙げられる。
【まとめ】
術後1週間の疼痛曲線の傾きの変化はCPSP予測の指標となる可能性があると考えられた。今後はサンプル数を増やしてPain trajectoryとCPSP関連性の精査を再検証していく必要があると考える。

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