講演情報
[P-6-02]再骨折を契機とした右大腿骨近位部骨折術後症例の一例
~自宅退院に向けた理学療法介入と歩行形態の再構築~
*仲村 明夏1、井上 貴恵1、奥 崇詞1、土井 篤2 (1. 社会医療法人 青洲会 福岡青洲会病院 リハビリテーション部、2. (株)レクタス訪問看護ステーション ラピレス)
キーワード:
右大腿骨近位部骨折術後、疼痛、大腿四頭筋筋力低下
本報告はヘルシンキ宣言に基づき実施し、対象者には十分な説明行い同意を得た。また、個人情報の保護に配慮した。
【目的】本症例は再骨折後、元の歩行レベルまで向上が見込めない中、自宅退院を目標とした独居・支援未導入に対し、理学療法介入および歩行補助具の選定を行った経過と課題について報告することを目的とした。
【症例紹介】80代女性。X日に自宅屋外にて転倒し、右大腿骨頸部骨折(Garden Ⅰ)に対して翌日、骨接合術施行。X+9日に再転倒し同側大腿部転子下骨折。翌日、同一部位への反復した手術侵襲を伴う右インプラント周囲骨折骨接合術施行。X+43日に回復期病棟へ転棟。既往歴に右外反型変形性膝関節症(以下、膝OA)あり。独居で屋内外に段差あり。介護保険未申請。受傷前は屋内独歩・屋外杖歩行自立していた。Demandは杖で家に帰りたいとの訴えあり。
【経過】介入開始時では、鵞足部安静時疼痛(NRS):3、荷重時NRS:5、膝伸展MMT:右3-/左4、股関節外転MMT:右2/左3、FTA:右155°/左170°、歩行器歩行時にLR~MStにかけて股関節内旋し膝関節外反が過度に見られた。以上の評価から、外転筋群・大腿四頭筋に対する筋力増強訓練を実施するも、不安定性が残存し歩行距離延長は困難な状態であった。そこで、大腿四頭筋にターゲットを絞り、電気刺激(NMF-1・EMS・IVES)を使用した起立訓練やフロントランジによる運動を行うと共に、歩行による筋収縮促進を図った。その結果、鵞足部安静時NRS:1と改善したが、荷重時NRS:3~5と改善がなかった。膝の疼痛に対して膝サポーター作製や膝周囲軟部組織に対するリリースを実施した。X+71日に家屋調査。家屋状況を把握した上で、屋内は固定式歩行器、屋外はフレンド型歩行器を選定した。家族・多職種が同伴のもとX+107日に外出訓練実施。最終評価では、鵞足部安静時NRS:0、荷重時NRS:1~2、膝伸展MMT:右3+/左4+、股関節外転MMT右3/左3+となり、再度課題修正した上で家族支援や介護保険サービスを併用し、X+125日に退院時同行後自宅退院となった。
【考察】本症例は鵞足部痛により防御性収縮が生じ、大腿四頭筋の筋出力低下が生じたと考えた。先行研究では、鵞足部疼痛は股関節機能や歩行動作と関連が示されており、下肢運動連鎖の破綻が疼痛の発生に影響する。加えて、股関節機能低下は膝関節動的外反を助長すると報告されている。本症例は膝OAと反復侵襲により外側筋群の筋出力低下をきたしていたことで歩行時に骨盤の不安定性が増し、より膝関節外反を誘発し疼痛が出現したと考えた。また、大腿四頭筋は膝関節伸展機構の中核を担い、膝関節の前額面安定性にも関与し、大腿骨近位部骨折術後症例には膝伸展筋力が独立して歩行自立度に影響を与えると報告がある。今回、外転筋群に加え、大腿四頭筋に対するアプローチを強化したことにより、大腿四頭筋の筋出力向上、膝関節安定性および鵞足部痛の軽減効果をもたらした可能性ある。しかし、杖歩行では膝関節痛が増強し不安定性が残存するため生活範囲の狭小化が懸念され、実用的ではなく自宅退院には歩行補助の再選定が必要と考えた。歩行補助具の選定には身体機能に加え、疼痛や環境因子を踏まえた総合的判断が必要とされており、今回家屋調査の内容と身体機能を考慮することで、自宅退院できるまでに改善したと考える。
【目的】本症例は再骨折後、元の歩行レベルまで向上が見込めない中、自宅退院を目標とした独居・支援未導入に対し、理学療法介入および歩行補助具の選定を行った経過と課題について報告することを目的とした。
【症例紹介】80代女性。X日に自宅屋外にて転倒し、右大腿骨頸部骨折(Garden Ⅰ)に対して翌日、骨接合術施行。X+9日に再転倒し同側大腿部転子下骨折。翌日、同一部位への反復した手術侵襲を伴う右インプラント周囲骨折骨接合術施行。X+43日に回復期病棟へ転棟。既往歴に右外反型変形性膝関節症(以下、膝OA)あり。独居で屋内外に段差あり。介護保険未申請。受傷前は屋内独歩・屋外杖歩行自立していた。Demandは杖で家に帰りたいとの訴えあり。
【経過】介入開始時では、鵞足部安静時疼痛(NRS):3、荷重時NRS:5、膝伸展MMT:右3-/左4、股関節外転MMT:右2/左3、FTA:右155°/左170°、歩行器歩行時にLR~MStにかけて股関節内旋し膝関節外反が過度に見られた。以上の評価から、外転筋群・大腿四頭筋に対する筋力増強訓練を実施するも、不安定性が残存し歩行距離延長は困難な状態であった。そこで、大腿四頭筋にターゲットを絞り、電気刺激(NMF-1・EMS・IVES)を使用した起立訓練やフロントランジによる運動を行うと共に、歩行による筋収縮促進を図った。その結果、鵞足部安静時NRS:1と改善したが、荷重時NRS:3~5と改善がなかった。膝の疼痛に対して膝サポーター作製や膝周囲軟部組織に対するリリースを実施した。X+71日に家屋調査。家屋状況を把握した上で、屋内は固定式歩行器、屋外はフレンド型歩行器を選定した。家族・多職種が同伴のもとX+107日に外出訓練実施。最終評価では、鵞足部安静時NRS:0、荷重時NRS:1~2、膝伸展MMT:右3+/左4+、股関節外転MMT右3/左3+となり、再度課題修正した上で家族支援や介護保険サービスを併用し、X+125日に退院時同行後自宅退院となった。
【考察】本症例は鵞足部痛により防御性収縮が生じ、大腿四頭筋の筋出力低下が生じたと考えた。先行研究では、鵞足部疼痛は股関節機能や歩行動作と関連が示されており、下肢運動連鎖の破綻が疼痛の発生に影響する。加えて、股関節機能低下は膝関節動的外反を助長すると報告されている。本症例は膝OAと反復侵襲により外側筋群の筋出力低下をきたしていたことで歩行時に骨盤の不安定性が増し、より膝関節外反を誘発し疼痛が出現したと考えた。また、大腿四頭筋は膝関節伸展機構の中核を担い、膝関節の前額面安定性にも関与し、大腿骨近位部骨折術後症例には膝伸展筋力が独立して歩行自立度に影響を与えると報告がある。今回、外転筋群に加え、大腿四頭筋に対するアプローチを強化したことにより、大腿四頭筋の筋出力向上、膝関節安定性および鵞足部痛の軽減効果をもたらした可能性ある。しかし、杖歩行では膝関節痛が増強し不安定性が残存するため生活範囲の狭小化が懸念され、実用的ではなく自宅退院には歩行補助の再選定が必要と考えた。歩行補助具の選定には身体機能に加え、疼痛や環境因子を踏まえた総合的判断が必要とされており、今回家屋調査の内容と身体機能を考慮することで、自宅退院できるまでに改善したと考える。
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