講演情報
[P-6-03]歩行支援装置を用いた歩行波形フィードバックとSTEP 練習が THA術後患者の歩行に与えた効果
*近廣 若奈1、中原 浩喜1、川井 康平1 (1. 大分リハビリテーション病院 リハビリテーション部)
キーワード:
変形性股関節症、PhysiboGait、股関節伸展角度
本研究はヘルシンキ宜言の趣旨に基づき、倫理的配慮のもとで実施した。対象者には研究の目的および内容、得られたデータの取扱い、個人情報の保護について十分に説明を行い、理解を得たうえで参加の同意を得た。研究参加は自由意思に基づき、いつでも撤回できることを口頭で伝え、同意を確認した。
【はじめに】
THA 術後(以下、THA 後)患者は歩行速度低下や非対称歩行を呈することが報告されている。PhysiboGaitはTHA後の有用性が示されている歩行補助ロボットであるが、アシストトルクの調整のみでは十分な股関節伸展が得られなかった症例に対し、歩行波形情報を評価・フィードバックとして活用し訓練内容を適宜調整した介入が、THA後の歩行速度および股関節伸展角度向上に寄与したため報告する。
【対象】
左変形性股関節症にてTHAを施行した60代男性。PhysiboGait使用前の身体評価は、左股関節屈曲 100°・伸展 10°、MMT 左股関節屈曲・伸展・外転3~4、左足関節底屈 4、FBS:54/56点であった。歩行評価は10m歩行速度1.05m/s、歩幅 59cmであり、左立脚後期の股関節伸展不足および体幹前領による跛行を認め、立脚後期の股関節伸展を意識していたにもかかわらず、実際の歩行波形では不十分であった。左股関節ピーク角度:屈曲 23°・伸展 1°、右股関節ピーク角度:屈曲31°・伸展8°、可動角対称度:0.62であった。
【方法】
術後41日目よりPhysiboGaitを用いた歩行練習を週6日・1回40分程度、約2週間行った。毎回の歩行波形を確認しながらアシストトルクおよび訓練内容を適宜調整し、アシスト歩行後に患者へのフィードバックを行った。また立脚後期の股関節伸展拡大を図るようアシストトルクを調整したが、十分な伸展が得られにくかったため、術後46日目から右ステップモードでのステップ練習を追加した。
【結果】
左股関節可動域は屈曲 105°・伸展15°に拡大し、筋力はMMT:左股関節屈曲・伸展・外転 4、左足関節底屈4~5に向上した。PhysiboGait波形(トルクなし条件)では、左屈曲ピーク角度23°→25°、伸展ピーク角度 1°→8°、右屈曲ピーク角度31°→30°、伸展ピーク角度 8°→18°、歩幅59→76cmとなり可動角対称度 0.62→0.68となった。また10m歩行速度1.05→1.56m/s、FBS:54→56点となった。ステップ練習を通じて「思ったより後ろに残す」という股関節伸展に関する内省が得られた。
【考察】
本症例は股関節の既往から長期的に疼痛・機能低下が継続しており、術後も「伸展しているつもり」でも実際には伸展が発揮できない状態が認められた。長期的な疼痛回避による運動パターンの習慣化から、運動イメージと実際の動作の乖離が生じていた可能性がある。
PhysiboGaitによる歩行波形の可視化が客観的フィードバックとして機能し、主観と客観のズレの修正に有用であったと考える。またアシストトルクの調整のみでは改善が得られなかった左立脚後期の股関節伸展に対しては、PhysiboGaitの右ステップモードを反復して行い、この部分練習が「思ったより後ろに残す」という内省を促し、正常歩行のボディイメージ再構築につながったと考えられる。この介入により、歩行速度・股関節伸展角度向上に寄与したと考える。
【まとめ】
アシストトルクの調整のみでは改善が得られなかった本症例に対し、波形フィードバックとステップ練習を組み合わせた訓練内容の検討がTHA 後の歩行速度・股関節伸展角度向上に寄与した可能性が示唆された。今後は症例を積み重ね検討する必要がある。
【はじめに】
THA 術後(以下、THA 後)患者は歩行速度低下や非対称歩行を呈することが報告されている。PhysiboGaitはTHA後の有用性が示されている歩行補助ロボットであるが、アシストトルクの調整のみでは十分な股関節伸展が得られなかった症例に対し、歩行波形情報を評価・フィードバックとして活用し訓練内容を適宜調整した介入が、THA後の歩行速度および股関節伸展角度向上に寄与したため報告する。
【対象】
左変形性股関節症にてTHAを施行した60代男性。PhysiboGait使用前の身体評価は、左股関節屈曲 100°・伸展 10°、MMT 左股関節屈曲・伸展・外転3~4、左足関節底屈 4、FBS:54/56点であった。歩行評価は10m歩行速度1.05m/s、歩幅 59cmであり、左立脚後期の股関節伸展不足および体幹前領による跛行を認め、立脚後期の股関節伸展を意識していたにもかかわらず、実際の歩行波形では不十分であった。左股関節ピーク角度:屈曲 23°・伸展 1°、右股関節ピーク角度:屈曲31°・伸展8°、可動角対称度:0.62であった。
【方法】
術後41日目よりPhysiboGaitを用いた歩行練習を週6日・1回40分程度、約2週間行った。毎回の歩行波形を確認しながらアシストトルクおよび訓練内容を適宜調整し、アシスト歩行後に患者へのフィードバックを行った。また立脚後期の股関節伸展拡大を図るようアシストトルクを調整したが、十分な伸展が得られにくかったため、術後46日目から右ステップモードでのステップ練習を追加した。
【結果】
左股関節可動域は屈曲 105°・伸展15°に拡大し、筋力はMMT:左股関節屈曲・伸展・外転 4、左足関節底屈4~5に向上した。PhysiboGait波形(トルクなし条件)では、左屈曲ピーク角度23°→25°、伸展ピーク角度 1°→8°、右屈曲ピーク角度31°→30°、伸展ピーク角度 8°→18°、歩幅59→76cmとなり可動角対称度 0.62→0.68となった。また10m歩行速度1.05→1.56m/s、FBS:54→56点となった。ステップ練習を通じて「思ったより後ろに残す」という股関節伸展に関する内省が得られた。
【考察】
本症例は股関節の既往から長期的に疼痛・機能低下が継続しており、術後も「伸展しているつもり」でも実際には伸展が発揮できない状態が認められた。長期的な疼痛回避による運動パターンの習慣化から、運動イメージと実際の動作の乖離が生じていた可能性がある。
PhysiboGaitによる歩行波形の可視化が客観的フィードバックとして機能し、主観と客観のズレの修正に有用であったと考える。またアシストトルクの調整のみでは改善が得られなかった左立脚後期の股関節伸展に対しては、PhysiboGaitの右ステップモードを反復して行い、この部分練習が「思ったより後ろに残す」という内省を促し、正常歩行のボディイメージ再構築につながったと考えられる。この介入により、歩行速度・股関節伸展角度向上に寄与したと考える。
【まとめ】
アシストトルクの調整のみでは改善が得られなかった本症例に対し、波形フィードバックとステップ練習を組み合わせた訓練内容の検討がTHA 後の歩行速度・股関節伸展角度向上に寄与した可能性が示唆された。今後は症例を積み重ね検討する必要がある。
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