講演情報

[P-8-01]末期首下がり症に対する徒手理学療法の即時的・一時的効果

*井ノ上 修一1、若松 康子1、柿田 謙三1 (1. ともなが内科クリニック 生活習慣病予防センター)
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キーワード:

首下がり症、パーキンソニズム、徒手的理学療法

ヘルシンキ宣言に基づき、症例本人に本報告の意義と目的を説明し、同意を得た。また、個人情報が特定できないよう十分に配慮した。

【はじめに】首下がり症(drop head syndrome:以下,DHS)は、頚椎が前方に過屈曲し、首が垂れて前を向くことができない病態(水平注視障害)を主症状とする症候群である。早期に診断され治療することが重要であり、進行すればするほど予後が不良である。今回、末期のDHSに対し、徒手的理学療法(manual physical therapy)を取り入れた介入を実施したところ、一時的ではあるものの、即時的な効果を得ることができたので報告する。【症例紹介】80代女性。主病因は脳血管性パーキンソニズム。[経過]当施設を利用される2年半ほど前、近医の神経内科クリニック(リハビリ施設なし)でパーキンソニズムの診断を受け、内服薬治療を開始、現在に至る。と同時に総合病院整形外科の外来リハビリを開始される。総合病院のリハ終了後、当施設を利用されていたが、パーキンソニズム症状が悪化したため、神経内科専門病院へ入院となった。[パーキンソニズムについて] Hoehn-Yahrの重症度分類stageⅣ。障害高齢者の日常生活自立度はA1。 [DHSについて] 当施設を利用される10か月ほど前から特にひどくなり、総合病院の整形外科で、DHSに対する手術やネックカラーを提案されている。【理学療法】当施設を利用されている間、DHSについては、日によって若干の変動はあるものの大きな変化は見られず、介入効果も一時的で次回利用時には元に戻っていたため、終了間近の状態を提示する。[評価] 立位・座位で chin on chest deformityを呈している。進行度は末期。上嶋の分類はgrade4。頭部を挙上しての前方注視は甚だ困難で、体幹後屈に左斜頸(頚椎左側屈・右回旋)で代償している。頚椎他動可動域は、屈曲60°、伸展-35°、回旋:右45°/左30°、側屈:右0°/左30°。頚椎モビリティーテストは、C3~C7の側方移動と椎間関節すべり運動に制限がみられた。筋のインバランスは、斜角筋群と後頭下筋群、胸鎖乳突筋に硬化・短縮を、頭部屈筋群と頸部伸展筋群に弱化(MMT1~MMT2)がみられた。[介入]頚椎に対する徒手的理学療法:始めと終わりに、頭頚胸椎のアライメントを整える目的で鉛直方向への徒手的頚椎牽引を行い、頚椎側方モビライゼーション、椎間関節モビライゼーション、斜角筋群と後頭下筋群、胸鎖乳突筋のリリース&ストレッチを実施。弱化筋を賦活する目的で頭部屈曲運動(うなずき運動;chin nod exercise)、頚椎伸展運動(顔面を天井に向けたままベッドに頭を押し付ける)を実施した。頚椎以外に対しても、骨盤を含めた脊柱全体のアライメント調整やパーキンソニズムに対し介入した。【結果】立位における上部胸椎を含めた施行前後の頚椎伸展角度については、静止位:前-85°/後-45°、努力伸展時:前-60°/後-35°と。右側屈角度は、静止位:前-20°/後0°、努力伸展時:前-20°/後0°と、それぞれ即時的な改善がみられた。【考察・まとめ】わずかな時間の理学療法介入で筋力が強化されたとは考えにくいため、関節モビライゼーションによる関節面の適合化や副運動の改善、ストレッチや筋賦活による筋インバランスの改善により、筋力が出力されやすい状態が一時的にでも作り出されたのではないかと考える。徒手的理学療法は、DHSの即時効果に寄与しうることが示唆された。

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