講演情報

[P-8-04]非スポーツ者の胸郭出口症候群に対する第一肋骨切除術後1年の患者満足度-3例-

*田中 勇輝1、水上 健太1、居石 李菜1、表迫 樹1、小泉 慎二1、小窪 雄介1、秋吉 寿1、下河邉 久雄2 (1. 秋吉整形外科、2. 戸畑共立病院)
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キーワード:

胸郭出口症候群、患者満足度、第一肋骨切除術

【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に則り,患者に本研究の主旨やリスクを書面で説明し,同意を得た上で行った.

【目的】胸郭出口症候群(TOS)術後の長期経過に関する報告は散見されるが,リハビリテーションの視点から患者満足度を評価した報告は散見されない.今回,術後1年時の患者満足度を評価した3症例を報告する. 【症例紹介】<症例1>30代男性.左上肢の痺れに対し他院および当院で約1年間の保存療法を行うも改善なく,血管造影にて鎖骨下動脈狭窄を認めたため第一肋骨切除術を施行した.理学所見はRoos test 30s,Wright test陽性,Adson test陽性,上肢牽引テスト陽性であった.姿勢はスウェイバック姿勢を呈し,肩甲帯は下制・内旋・下方回旋・翼状肩甲を認めた.MMTは前鋸筋および僧帽筋中部・下部が4であり,DASH scoreは30点であった.<症例2>30代女性.他院にて頚肋切除術後も症状改善に乏しかったため,第一肋骨切除術を施行した.理学所見はRoos test 5s,Morley test陽性,Wright test陽性,Adson test陽性,上肢牽引テスト陽性であった.肩甲骨は下制・内旋・下方回旋・翼状肩甲を認め,MMTは前鋸筋および僧帽筋中部・下部が4,母指球筋・小指球筋が4−であり筋萎縮を認めた.DASH scoreは30点であった.<症例3>30代女性.右上肢のだるさと痺れを主訴に,当院で1年半の保存療法を行うも改善なく,血管造影にて鎖骨下動脈狭窄を認めたため第一肋骨切除術を施行した.理学所見はRoos test 15s,Morley test陽性,Wright test陽性,Adson test陽性,Eden test陽性,上肢牽引テスト陽性であった.肩甲骨は下制・下方回旋・翼状肩甲を認め,MMTは前鋸筋および僧帽筋中部・下部が4であり,DASH scoreは32点であった. 【経過】<症例1>術後1か月までは筋緊張緩和を目的にリラクゼーション,ストレッチを中心に実施し,術後2か月から肩甲帯,体幹筋力トレーニングを実施した.術後3か月で骨盤,肩甲帯アライメントの改善,術後6か月でTOS所見の消失,肩甲帯MMT5,DASH score5まで改善しリハビリ終了.術後1年でのDASH score5であった.<症例2>術後2か月までは症例1と同様で実施.術後3か月でTOS所見はほぼ消失.術後5か月で肩甲帯MMT5,DASH score8.3まで改善しリハビリ終了.術後1年でのDASH score11.6であった.<症例3>症例1・2と同様,筋緊張緩和を優先的に図ったが術後5か月まで変化が乏しく,右前腕の痺れや疼痛が残存した.術後6か月より疼痛と筋緊張が緩和したため,肩甲帯筋力トレーニング,ストレッチを中心に実施した.術後8か月で痺れ,TOS所見は消失し,肩甲帯アライメントの改善,肩甲帯MMT5,DASH score8.3まで改善しリハビリ終了.術後1年でのDASH score15であった. 【考察】上肢疾患におけるDASH scoreの臨床的に意味のある最小変化量(MICD)は約10〜15点とされておりリハビリ介入6か月時は臨床的に有意な改善と考えられる.今回の3症例はいずれも約1年間と長期の保存療法を経て手術に至った症例であることもあり術後1年時も軽度の機能障害が残存し,DASH scoreの改善は術後半年と比較しても大きな変化は認めなかった.神経圧迫による変化は圧迫強度および持続時間に依存し,強く長く圧迫されるほど神経障害は重症化するため,これに伴う神経の構造変化による症状が長期間持続することが報告されている.本症のように保存療法期間が長く手術に至った症状は完全には消失せず,回復遅延をきたし軽度ながら残存する可能性が考えられた.

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