講演情報

[P-9-01]抗重力位での運動療法により歩行能力の改善が得られた自己免疫性脊髄症の一例

*坂田 果也1、本田 祐一1、安藤 信次1 (1. 臼杵市医師会立コスモス病院 リハビリテーション部)
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キーワード:

坑重力位、歩行能力、神経筋活動

【倫理的配慮】本報告の発表に際し、症例本人に対して目的・内容・個人情報の取り扱いについて十分な説明を行い、書面による同意を得た。なお、本報告はヘルシンキ宣言の倫理的原則に基づき作成した。

【はじめに】
自己免疫性脊髄症による両下肢筋力低下を呈し、歩行介助を要した症例を経験した。抗重力位での筋出力訓練および姿勢制御アプローチを意識して実施した結果、歩行機能の改善が得られたので報告する。
【症例紹介および初期評価】
60歳代後半女性。自己免疫性脊髄症(第12胸椎〜第1腰椎レベルの馬尾神経障害)と診断され、発症後70日目に当院へ転入。転入時のMMTは体幹筋3、腸腰筋3/4、大殿筋2/3、中殿筋3/3、下腿三頭筋2/2。感覚は両足部外側に表在感覚鈍麻。BBSは31点、TUGは24.3秒、最大歩行距離は歩行器使用にて20m。歩行分析では両立脚中期での骨盤前傾・腰椎過前弯、トレンデレンブルグ徴候の動揺を認め、立脚中期から後期にかけての支持性低下および前方推進力の著明な不足を認めた。
【アプローチ内容】
筋活動を効率的に引き出す抗重力位での運動療法に着目し、立位保持および膝立ち位での側方移動課題を実施し股関節周囲筋の収縮を促通した。また、大腿部から下腿にかけて螺旋状に弾性緊張帯を装着した状態で歩行練習を実施し体性感覚を通じた感覚フィードバックを増強させ、抗重力位での運動と組み合わせることで歩行に必要な筋の出力向上を促した。さらに、バランスマットやステップ台を利用し体幹筋と股関節周囲筋の連動や足関節底屈筋の収縮を促した。
【結果】
発症後144日目(退院時)の最終評価にてMMTは体幹筋4、腸腰筋4/4、大殿筋4/4、中殿筋4/4へと改善した。下腿三頭筋は2/2まであったが両脚での踵骨挙上が可能となった。BBSは47点、TUGは18.8秒、最大歩行距離は杖歩行にて127mとバランス・歩行能力ともに著明に改善した。歩容は骨盤帯の動的安定性が向上し、前方推進力の改善が見られた。室内歩行器歩行、屋外杖歩行見守りレベルでの歩行が可能となった。
【考察】
本症例の歩行改善に向けたアプローチとして、筋出力および神経筋活動に対しては、歩行と類似した筋活動を効率的に引き出すために、抗重力位での運動療法を積極的に行ったことで歩行時の神経筋活動の改善につながったと考える。また、歩行中の姿勢制御に対しては、立位・膝立ちでの運動療法を行ったことで股関節周囲筋と体幹筋の協調性が向上した。さらに歩行時に弾性緊張帯による皮膚・皮下組織への持続的な圧迫刺激による体性感覚への入力を強化した状態での歩行練習を行ったことで歩行時の姿勢制御の改善が得られたのではないかと考える。本症例のような自己免疫性脊髄症による歩行障害に対し、坑重力位での運動療法や弾性緊張帯を用いた介入は、姿勢制御能力を向上させ歩行能力改善に寄与することが示唆された。

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