講演情報
[P-9-02]外来パーキンソン病(PD)患者の首下がり(DHS)に対する超音波療法を併用した段階的な運動療法の介入戦略
*山口 滉大1、山田 麻和2、山川 紘子1、大瀬 拓海1、萩原 駿一1 (1. 社会医療法人春回会 長崎北病院 総合リハビリテーション部 理学療法士、2. 社会医療法人春回会 長崎北病院 総合リハビリテーション部 作業療法士)
キーワード:
パーキンソン病、首下がり、超音波療法
本症例への介入は,事前にヘルシンキ宣言の勧告に従い,文書による十分な説明と同意のもとで実施した.
【はじめに】PDにおけるDHSの発症率は0.4~6%とされ,装具療法やリドカイン注射,手術療法の他,理学療法介入が重要とされている.今回,ドパミンアゴニスト(DA)の増量を契機にDHSを呈したPD患者に対し,外来リハにおいて超音波療法と段階的な運動療法を行い一定の効果を認めたため報告する.
【症例紹介】70代後半男性,BMI:23.2kg/m2,独居でIADLまで自立.Hoehn-Yahrの重症度分類:Ⅲ,罹病期間:5年,Lドパ換算用量相当量:915mg/日(期間中1000mg/日に増量あり),Demands:頭があがるようになりたい.長く歩けない.
【介入前評価】MDS-UPDRS PartⅢは16/132点で,動作の狭小化や首下がりが目立った.頭部前方位角(CV角)は12度,首下がり症の臨床分類は中等度であった.NRS 8/10と持続的な頸部痛と,胸鎖乳突筋および僧帽筋の過緊張を認めた.静的立位・歩行時の視線は下方偏位,頭部前屈位に伴う胸椎後弯,骨盤後傾位姿勢,膝関節軽度屈曲位を呈し,立脚後期の股関節伸展角度の減少,歩幅の狭小化,腕振り減少がみられた.体幹筋力(徒手筋力計)は屈曲8.0 lbf/伸展9.7 lbf,10 m歩行時間は13.9秒(24歩),6分間歩行距離は263.3 mであった.
【統合と解釈】本症例のDHSは,DA増量を契機とした頸部筋の筋緊張異常に加え,元々の体幹筋,頸部伸展筋の筋力低下が助長因子と推察した.さらに,頭頸部前屈位の持続や頸部痛により頸部伸展筋群の不使用が生じ,代償として胸椎後弯や骨盤後傾姿勢が持続した結果,頸部伸展筋,体幹筋力が二次的に低下したと考えた.
【介入】介入は週2回,1回60分実施し,約2か月ごとに定期評価を行った(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期に区分).全期で筋緊張異常へのコンディショニングとして,僧帽筋へ超音波療法(周波数3 MHz,連続モード,強度1.5 W/cm²,15分/回照射)を実施した.Ⅰ期ではティルトリクライニング型車いすを使用し,頸部筋群の過緊張を軽減しつつ,正常なアライメントにおける体幹筋のインナーマッスルを強化した.Ⅱ期では四つ這いや骨盤前傾位を保持した端座位などの抗重力位での運動を導入した.Ⅲ期では静的立位時のアライメント改善に伴い,動的立位など段階的な動作移行を行った.
【Ⅲ期後評価】MDS-UPDRS PartⅢは17/132点,CV角は30度に改善し,胸鎖乳突筋および僧帽筋の過緊張が軽減した.首下がり症の臨床分類は正常域となり,NRS 2/10と頸部痛なく頭頚部の保持が可能となった.静的立位・歩行時では頭頸部前屈および前方突出の改善,膝関節屈曲角度の軽減と,立脚後期の股関節伸展増大かつ腕振りが出現した.体幹筋力は屈曲25 lbf/伸展44 lbfに向上,10 m歩行時間は9.2秒(18歩),6分間歩行距離は 440.7mとなった.本人から「友人に姿勢が良くなったと言われる」との内省が得られた.
【考察】PDによるDHSでは,僧帽筋をはじめ頸部伸筋群の二次的な変化が生じるとされるが,超音波を用いたコンディショニングにより筋緊張の調整を図ることができた.DHSは従重力位からの運動開始が推奨されており,適切な頸部位置での体幹筋の賦活との複合的介入が改善に寄与したと推察した.また,姿勢改善と筋出力向上の結果,歩幅や歩行速度の改善に繋がったと考えられた.
【はじめに】PDにおけるDHSの発症率は0.4~6%とされ,装具療法やリドカイン注射,手術療法の他,理学療法介入が重要とされている.今回,ドパミンアゴニスト(DA)の増量を契機にDHSを呈したPD患者に対し,外来リハにおいて超音波療法と段階的な運動療法を行い一定の効果を認めたため報告する.
【症例紹介】70代後半男性,BMI:23.2kg/m2,独居でIADLまで自立.Hoehn-Yahrの重症度分類:Ⅲ,罹病期間:5年,Lドパ換算用量相当量:915mg/日(期間中1000mg/日に増量あり),Demands:頭があがるようになりたい.長く歩けない.
【介入前評価】MDS-UPDRS PartⅢは16/132点で,動作の狭小化や首下がりが目立った.頭部前方位角(CV角)は12度,首下がり症の臨床分類は中等度であった.NRS 8/10と持続的な頸部痛と,胸鎖乳突筋および僧帽筋の過緊張を認めた.静的立位・歩行時の視線は下方偏位,頭部前屈位に伴う胸椎後弯,骨盤後傾位姿勢,膝関節軽度屈曲位を呈し,立脚後期の股関節伸展角度の減少,歩幅の狭小化,腕振り減少がみられた.体幹筋力(徒手筋力計)は屈曲8.0 lbf/伸展9.7 lbf,10 m歩行時間は13.9秒(24歩),6分間歩行距離は263.3 mであった.
【統合と解釈】本症例のDHSは,DA増量を契機とした頸部筋の筋緊張異常に加え,元々の体幹筋,頸部伸展筋の筋力低下が助長因子と推察した.さらに,頭頸部前屈位の持続や頸部痛により頸部伸展筋群の不使用が生じ,代償として胸椎後弯や骨盤後傾姿勢が持続した結果,頸部伸展筋,体幹筋力が二次的に低下したと考えた.
【介入】介入は週2回,1回60分実施し,約2か月ごとに定期評価を行った(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期に区分).全期で筋緊張異常へのコンディショニングとして,僧帽筋へ超音波療法(周波数3 MHz,連続モード,強度1.5 W/cm²,15分/回照射)を実施した.Ⅰ期ではティルトリクライニング型車いすを使用し,頸部筋群の過緊張を軽減しつつ,正常なアライメントにおける体幹筋のインナーマッスルを強化した.Ⅱ期では四つ這いや骨盤前傾位を保持した端座位などの抗重力位での運動を導入した.Ⅲ期では静的立位時のアライメント改善に伴い,動的立位など段階的な動作移行を行った.
【Ⅲ期後評価】MDS-UPDRS PartⅢは17/132点,CV角は30度に改善し,胸鎖乳突筋および僧帽筋の過緊張が軽減した.首下がり症の臨床分類は正常域となり,NRS 2/10と頸部痛なく頭頚部の保持が可能となった.静的立位・歩行時では頭頸部前屈および前方突出の改善,膝関節屈曲角度の軽減と,立脚後期の股関節伸展増大かつ腕振りが出現した.体幹筋力は屈曲25 lbf/伸展44 lbfに向上,10 m歩行時間は9.2秒(18歩),6分間歩行距離は 440.7mとなった.本人から「友人に姿勢が良くなったと言われる」との内省が得られた.
【考察】PDによるDHSでは,僧帽筋をはじめ頸部伸筋群の二次的な変化が生じるとされるが,超音波を用いたコンディショニングにより筋緊張の調整を図ることができた.DHSは従重力位からの運動開始が推奨されており,適切な頸部位置での体幹筋の賦活との複合的介入が改善に寄与したと推察した.また,姿勢改善と筋出力向上の結果,歩幅や歩行速度の改善に繋がったと考えられた.
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