講演情報
[S-2-01]腱板断裂術後早期における関節可動域と疼痛(種類別評価)との関連性の探索的検証
*馬場 功時1、松田 友秋2,3、河口 滉1、稲吉 直哉1、須崎 裕一1 (1. 福岡県済生会大牟田病院リハビリテーション部、2. 獅子目整形外科病院、3. 山形県立保健医療大学大学院)
キーワード:
鏡視下腱板修復術、疼痛、ROM
本研究はヘルシンキ宣言に基づき実施した。また、当院倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者には、研究の目的および方法、個人情報の取り扱いについて十分に説明し、理解を得て書面にて同意を得た。
【目的】
腱板断裂術後のリハビリテーションにおいて、関節可動域の改善と疼痛管理は重要である。先行研究では、術後リハビリテーションの介入によりROMの回復が促進されることや、肩関節の可動域制限が疼痛や機能障害に関連することが報告されている。しかし、これらの多くは中長期的な成績を検討したものであり、また疼痛を単一指標として評価しているものが多い。さらに、疼痛の種類ごとの影響を術後早期から縦断的に検討した報告は限定的である。そこで本研究では、術後12週までのROMと疼痛(安静時痛・ROM時痛・夜間時痛)の相互関係を探索的に検討した。
【方法】
対象は、当院同一執刀医にて鏡視下腱板修復術を行った21例。ROMに関しては、術後3日目および1週目は疼痛ならびに修復腱板へのストレスを考慮し肩甲骨面挙上を他動で評価し、術後2週以降12週までは肩関節屈曲角度を週1回、いずれも他動で評価した。疼痛は、術後1日目および3日目、ならびに術後1〜12週において週1回、安静時痛、ROM時痛、夜間時痛をNRSを用いて評価した。統計解析は、同一症例における縦断データの相関を考慮するため、線形混合モデルを用いて検討した。従属変数は肩関節のROMとし、夜間痛、安静時痛、ROM時痛および時間を固定効果、症例IDをランダム効果として解析した。これにより、時間経過の影響を調整した上で、各疼痛指標がROMに及ぼす独立した影響を検討した。
【結果】
複合モデルにおいて、夜間痛(β=-2.055, 95%CI:-3.45~-0.65, p<0.01)、安静時痛(β=-2.58, 95%CI:-4.80~-0.36, p=0.02)、ROM時痛(β=-5.18, 95%CI:-6.87~-3.48, p<0.01)はいずれもROMと有意な負の関連を示した。また、時間はROMと有意な正の関連を示した(β=0.48, 95%CI: 0.43~0.54, p<0.01)。さらに、ランダム効果としての個人差も有意であった(分散=0.65, 95%CI: 0.18~1.12, p<0.01)。つまり、時間経過(1日)ごとにROMは約0.5°改善する傾向が認められた。また、各疼痛指標は他の変数を調整した上でもROMと負の関連を示し、NRSが1増加すると夜間時痛で約2.0°、安静時痛で約2.6°、ROM時痛で約5.2°のROMの低下が認められた。
【考察】
ROMは時間経過に伴い改善する一方で、夜間痛、安静時痛、ROM時痛はいずれも時間経過とは独立してROM制限に関連することが示された。特にROM時痛の影響が最も大きかったことから、ROM時痛が可動域制限により強く関連している可能性が示唆された。一方で、夜間痛および安静時痛も独立した影響を有しており、疼痛の種類ごとに異なる機序でROMに影響している可能性が考えられる。また、個人差(ランダム効果)が有意であったことから、術後経過には症例間でのばらつきが存在することが示され、縦断データ解析において線形混合モデルを用いる有用性が示唆された。
【まとめ】
腱板断裂術後における術後12週までのROMと疼痛(安静時痛・ROM時痛・夜間時痛)の相互関係を探索的に検討した。その結果、肩関節屈曲ROMには時間経過に伴う自然回復に加え、各疼痛が独立して関連することが明らかとなった。ROM改善には自然回復のみならず、疼痛の種類に応じた管理が重要である可能性が示唆された。しかし、本研究は症例数が少なく探索的検討であるため、今後は症例数を増やした検証的研究が必要であると考える。
【目的】
腱板断裂術後のリハビリテーションにおいて、関節可動域の改善と疼痛管理は重要である。先行研究では、術後リハビリテーションの介入によりROMの回復が促進されることや、肩関節の可動域制限が疼痛や機能障害に関連することが報告されている。しかし、これらの多くは中長期的な成績を検討したものであり、また疼痛を単一指標として評価しているものが多い。さらに、疼痛の種類ごとの影響を術後早期から縦断的に検討した報告は限定的である。そこで本研究では、術後12週までのROMと疼痛(安静時痛・ROM時痛・夜間時痛)の相互関係を探索的に検討した。
【方法】
対象は、当院同一執刀医にて鏡視下腱板修復術を行った21例。ROMに関しては、術後3日目および1週目は疼痛ならびに修復腱板へのストレスを考慮し肩甲骨面挙上を他動で評価し、術後2週以降12週までは肩関節屈曲角度を週1回、いずれも他動で評価した。疼痛は、術後1日目および3日目、ならびに術後1〜12週において週1回、安静時痛、ROM時痛、夜間時痛をNRSを用いて評価した。統計解析は、同一症例における縦断データの相関を考慮するため、線形混合モデルを用いて検討した。従属変数は肩関節のROMとし、夜間痛、安静時痛、ROM時痛および時間を固定効果、症例IDをランダム効果として解析した。これにより、時間経過の影響を調整した上で、各疼痛指標がROMに及ぼす独立した影響を検討した。
【結果】
複合モデルにおいて、夜間痛(β=-2.055, 95%CI:-3.45~-0.65, p<0.01)、安静時痛(β=-2.58, 95%CI:-4.80~-0.36, p=0.02)、ROM時痛(β=-5.18, 95%CI:-6.87~-3.48, p<0.01)はいずれもROMと有意な負の関連を示した。また、時間はROMと有意な正の関連を示した(β=0.48, 95%CI: 0.43~0.54, p<0.01)。さらに、ランダム効果としての個人差も有意であった(分散=0.65, 95%CI: 0.18~1.12, p<0.01)。つまり、時間経過(1日)ごとにROMは約0.5°改善する傾向が認められた。また、各疼痛指標は他の変数を調整した上でもROMと負の関連を示し、NRSが1増加すると夜間時痛で約2.0°、安静時痛で約2.6°、ROM時痛で約5.2°のROMの低下が認められた。
【考察】
ROMは時間経過に伴い改善する一方で、夜間痛、安静時痛、ROM時痛はいずれも時間経過とは独立してROM制限に関連することが示された。特にROM時痛の影響が最も大きかったことから、ROM時痛が可動域制限により強く関連している可能性が示唆された。一方で、夜間痛および安静時痛も独立した影響を有しており、疼痛の種類ごとに異なる機序でROMに影響している可能性が考えられる。また、個人差(ランダム効果)が有意であったことから、術後経過には症例間でのばらつきが存在することが示され、縦断データ解析において線形混合モデルを用いる有用性が示唆された。
【まとめ】
腱板断裂術後における術後12週までのROMと疼痛(安静時痛・ROM時痛・夜間時痛)の相互関係を探索的に検討した。その結果、肩関節屈曲ROMには時間経過に伴う自然回復に加え、各疼痛が独立して関連することが明らかとなった。ROM改善には自然回復のみならず、疼痛の種類に応じた管理が重要である可能性が示唆された。しかし、本研究は症例数が少なく探索的検討であるため、今後は症例数を増やした検証的研究が必要であると考える。
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