講演情報

[S-2-02]慢性足関節不安定症者における複数方向へのジャンプ着地およびドロップ着地時の姿勢安定性と動作戦略の違い

*内海 悠人1,2、有田 吏久仁2,3、石川 心優2、柏田 そら2、河内山 紗己2,4、鈴木 雄太2 (1. 甘木中央病院 リハビリテーション科、2. 九州栄養福祉大学 リハビリテーション学部、3. 小波瀬病院 診療技術部 リハビリテーション科、4. 宗像水光会総合病院 リハビリテーション科)
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キーワード:

慢性足関節不安定症、姿勢安定時間、着地動作

対象者には本研究の目的および方法について説明し、書面による同意を得た。本研究は九州栄養福祉大学・東筑紫短期大学倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:2527)。

【目的】足関節捻挫は最も多く発生するスポーツ外傷であり、繰り返し受傷することで慢性足関節不安定症(Chronic Ankle Instability:CAI)へ移行する。CAI者では、動的バランス能力の低下はおおむね一致して報告されているが、着地時の下肢運動学については、股関節屈曲の増大を示す報告や減少を示す報告があり、結果は一貫していない(Chan et al., 2022)。これには対象者の選択あるいは動作課題の違いが関与すると考えられるが、これまで同一被験者に対して複数の着地課題を多方向で実施した研究はなく、その要因は明らかでない。本研究はCAI者と非CAI者を対象に、複数課題および複数の着地方向における着地時の姿勢安定性と下肢運動学を比較し、着地動作戦略の差異について明らかにすることを目的とした。

【方法】対象はInternational Ankle Consortiumの基準を満たしたCAI群17名(男性10名、女性7名)と、捻挫の既往がない非CAI群17名(男性10名、女性7名)とした。課題動作は前方・側方ジャンプ着地、前方・側方ドロップ着地の4条件とした。前方ジャンプ着地では、ジャンプ距離を身長の40%、高さを30cmとし、側方ジャンプ着地では、ジャンプ距離を身長の33%、高さを15cmとした。前方・側方ドロップ着地では、30cm台を使用した。全ての課題において、両足で踏み切り、片脚で着地し、着地姿勢を10秒間保持させ、5回の成功試技を採用した。課題動作中の姿勢安定時間(Time to stabilization:TTS)は床反力計AccuGait(AMTI 社)を用いて記録し、前後・左右・垂直の3方向のTTSを算出した。着地動作は4台のiPhone SE(Apple社)およびOpenCap(スタンフォード大学)を使用して撮影・解析し、下肢および体幹の関節角度を算出した。TTSは、群と課題動作を要因とした二元配置混合分散分析を実施し、事後検定にはHolm法を用いた。関節角度は統計的パラメトリックマッピングを用いて、群と課題動作の二元配置混合モデル分散分析を使用し、多重比較補正にはFDR(False Discovery Rate)法を用いた。有意水準は5%とした。

【結果】TTSでは、有意な交互作用および群の主効果は認められなかった。一方、前後および左右方向のTTSでは、課題動作の主効果がみられた(いずれもp<0.01)。関節角度についても、有意な交互作用および群の主効果はみられなかった。一方、すべての関節角度で課題動作の主効果がみられた(いずれもp<0.01)。

【考察】本研究では、同一被験者に対して複数の着地課題・方向の測定を実施することで、課題間のばらつきを被験者内で統制した。その結果、着地時の姿勢安定性や下肢運動学は、CAIという対象特性よりも、着地方向や動作様式といった課題特性に影響を受けることが示された。先行研究でも、CAI者のバランス応答や代償戦略は一様ではなく、課題条件によって変化する可能性が示されており(Simpson et al., 2019)、本研究結果はこれを支持する。CAI者の着地戦略は、CAI者に特有の異常パターンを呈するものではなく、動作課題に応じて調整された動作パターンを示していると考えられた。

【まとめ】CAI者の着地時の姿勢安定性および下肢運動学は、CAIの有無そのものよりも課題特性の影響を強く受けることが示唆された。

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