講演情報

[S-2-03]当院NICUにおける哺乳支援の標準化とその予備的検討

*安藤 駿太郎1、白木 剛志1、廣重 愼一1 (1. 長崎みなとメディカルセンターリハビリテーション部)
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キーワード:

NICU、哺乳支援、小児理学療法

【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言に基づき行った.データの解析にあたっては匿名化を行い,取り扱いの際には漏洩がないよう十分配慮して実施した.また,当院倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:NIRB No.R07-031)

【はじめに】新生児集中治療室(以下NICU)に入室している患児における哺乳障害は,経口哺乳獲得の遅延や在院日数延長の一因となることが報告されている.哺乳は吸啜・嚥下・呼吸の協調を基盤とした全身運動であり,姿勢制御や呼吸調整を含めた理学療法的介入の重要性が指摘されている.一方,臨床では評価や支援方法が個々の経験に依存する場面も多く,統一された支援方法の標準化が課題となっている.このことから当院NICUにおける,安全かつ早期の経口哺乳獲得を目的として,先行研究を参考に哺乳支援シート及び標準化プロトコルを新規作成し,多職種で評価視点や支援方法を共有する体制を導入した.本研究の目的は,導入前後における哺乳関連指標を比較し,本取り組みの臨床的意義と課題を検討することである.【方法】対象は2025年4月から2026年3月までの間に,当院NICUで理学療法を実施した在胎週数34週未満・出生体重2500g未満で,経口哺乳練習を35週から開始した早産児10例とした.除外基準は染色体及び器質的異常を認めた児,転院例,データ欠損例とした.調査項目は基本的情報として性別,在胎週数,出生体重.医学的情報としてHFNC使用の有無,経管栄養の有無,NICU入室から哺乳開始までの日数,経口哺乳開始から獲得までの日数,哺乳中の酸素化低下日数,哺乳獲得後から退院までの日数とした.対象を哺乳支援シート及び標準化プロトコル導入前後で2群に分類し,各項目を診療録より後方視的に調査した.統計解析はMann–WhitneyのU検定,Fisherの正確確率検定を用い,有意水準は5%とした.【結果】対象は導入前5例,導入後5例であった.2群間比較では性別,在胎週数,出生体重,HFNC使用の有無,経管栄養の有無に有意差は認めなかった.また,哺乳関連指標では,NICU入室から哺乳開始までの日数(中央値)は導入前14日,導入後12日.経口哺乳開始から獲得までの日数は導入前21日,導入後15日.哺乳中の酸素化低下日数は導入前23日,導入後15日であり,いずれも有意差は認めなかった.一方,哺乳獲得後から退院日までの日数は導入前14日,導入後21日と導入後群で有意な延長を認めた.【考察】本研究では,統計学的有意差は認めなかったものの,経口哺乳獲得までの日数や哺乳中の酸素化低下日数において中央値の短縮を認めた.これは哺乳支援シート導入により,吸啜・嚥下・呼吸状態に関する観察項目が明確化され,多職種間で評価視点や支援方法を共有しやすくなったことや,標準化プロトコルに基づく段階的支援を統一して実施したことが哺乳場面での協調性運動の確保や呼吸調整の一貫性に寄与した可能性が考えられた.一方,哺乳獲得後から退院までの日数延長については,長期的な医学的管理を要した症例の影響が考えられ,哺乳機能のみならず,全身状態や家族背景等の要因も含めた検証が今後は必要と考える.これらのことから本研究は単施設・小数例での後方視的検討であり,統計学的検出力には限界を有するものの,NICUにおける哺乳支援の標準化に向けた取り組みとして一定の臨床的意義が示唆された.今後は症例数を蓄積し,対象の医学的背景を考慮した継続的検討や要因分析を課題として取り組んでいきたい.

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