講演情報
[S-2-04]局所振動刺激は歩行時の外部膝関節内転モーメントを減少させるか?
*羽田 清貴1、羽田 見奈2、奥村 晃司1、尾崎 悠人1、大平 高正3、岡本 雄嗣4、枝村 和也5、片岡 維新6、甲下 修士7、穴見 圭汰朗8、阿部 稔9、川嶌 眞之10、川嶌 眞人10 (1. 社会医療法人玄真堂 かわしまクリニック リハビリテーション科、2. 社会医療法人玄真堂 川嶌整形外科病院 回復期リハビリテーション科、3. 訪問看護リハステーション大分駅南、4. 医療法人源算会 猿渡整形外科スポーツリハクリニック リハビリテーション科、5. 医療法人平成会 サンライズ酒井病院 リハビリテーション科、6. 医療法人平成会 介護老人保健施設サンライズビュー リハビリテーション部、7. 独立行政法人 国立病院機構 大分医療センター リハビリテーション科、8. 国立大学法人 大分大学医学部附属病院 リハビリテーション部、9. 特定医療法人社団春日会 黒木記念病院 リハビリテーション部、10. 社会医療法人玄真堂 川嶌整形外科病院 整形外科)
キーワード:
局所振動刺激、腸腰筋、外部膝関節内転モーメント
本研究の実施に先立ち当院の倫理審査委員会(承認番号:20260430-02)にて承認を得た。本研究はヘルシンキ宣言に則った研究であり,すべての参加者に研究の意義と目的について説明し,同意を得て実施した.
【目的】変形性膝関節症患者の病態や症状の増悪因子として,歩行時の外部膝関節内転モーメント(External knee adduction moment;以下,KAM)の増大が着目されている.KAMは膝関節内側関節面における圧縮応力を反映したパラメータであるため,KAMの減少に有効な理学療法が求められているが,現状では有効とされる運動療法のエビデンスはない.そこで,本研究では体幹や腸腰筋へのLVSが片脚立位の安定性やKAMに及ぼす影響について検討することを目的とした.
【方法】参加者は健常成人16人で,片脚立位が不安定な側を対象とした.まず,マーカーレス動作分析システム GaitForceを用いて歩行分析を2回実施し,安定した3歩行周期の立脚相を抽出し,KAM第1ピーク値(以下,KAM1)と第2ピーク値(以下,KAM2)の平均値を算出した.次に,片脚立位の安定性の定量的評価には,ハンドヘルドダイナモメータ(以下,HHD)を用いて非支持側上肢に下向きに抵抗を加え片脚立位保持が困難となる値を算出し,2回計測した平均値を採用した.さらに,端坐位にて東大式ゴニオメータを用いて体幹側屈角度,HHDを用いて最大股関節屈曲等尺性運動を計測した.その後,支持脚側の体幹側面にLVSを実施(体幹LVS条件)と,支持脚側の腸腰筋にLVSを実施(腸腰筋LVS条件)後に,上記と同様に歩行分析,片脚立位安定性,体幹側屈可動域,腸腰筋筋力を計測した.LVSを実施する前を対照条件とし,体幹LVS条件と腸腰筋LVS条件は数日以上空けて実施した. 統計学的解析はR4.5.3を用いて,正規性の有無を確認し対照条件と体幹LVS条件および腸腰筋LVS条件の片脚立位安定性、歩行時のKAM1,KAM2について反復測定分散分析を行った後,多重比較法を実施した.有意水準は5%とした.
【結果】片脚立位安定性について,体幹LVS条件,腸腰筋LVS条件は対照条件よりも有意に高値を示した(それぞれ,p < 0.01).KAM1について,腸腰筋LVS条件は対照条件よりも有意に低値を示した(p < 0.05).KAM2について,腸腰筋LVS条件は,対照条件および体幹LVS条件よりも有意に低値を示した(それぞれ,p < 0.01,p < 0.05).腸腰筋筋力について,腸腰筋LVS条件は対照条件よりも有意に高値を示した(p < 0.01).
【考察】本研究結果より,腸腰筋へのLVSは腸腰筋の筋出力や片脚立位の安定性を向上させ,歩行時のKAMを減少させた.LVSの筋出力の向上に関する詳細なメカニズムはまだ不明なことが多い.現状では,我々はLVSにより筋や軟部組織間の滑走性や局所循環動態等が改善することで,本来発揮しうる筋出力が発揮できるようになったと考えている.KAMを決定する要因は,床反力の大きさと膝関節中心から床反力作用線までの垂線の距離である.また,腸腰筋の中でも大腰筋は腰椎に起始を持つため腰椎の同側側屈作用が大きいと報告されている.そのため,腸腰筋へのLVSにより腸腰筋の筋出力が向上するとともに歩行時の腰椎の同側側屈作用により身体重心が立脚側へ移動し,膝関節中心から床反力作用線までの垂線の距離が短くなったためKAMの減少に寄与した可能性が考えられた.
【目的】変形性膝関節症患者の病態や症状の増悪因子として,歩行時の外部膝関節内転モーメント(External knee adduction moment;以下,KAM)の増大が着目されている.KAMは膝関節内側関節面における圧縮応力を反映したパラメータであるため,KAMの減少に有効な理学療法が求められているが,現状では有効とされる運動療法のエビデンスはない.そこで,本研究では体幹や腸腰筋へのLVSが片脚立位の安定性やKAMに及ぼす影響について検討することを目的とした.
【方法】参加者は健常成人16人で,片脚立位が不安定な側を対象とした.まず,マーカーレス動作分析システム GaitForceを用いて歩行分析を2回実施し,安定した3歩行周期の立脚相を抽出し,KAM第1ピーク値(以下,KAM1)と第2ピーク値(以下,KAM2)の平均値を算出した.次に,片脚立位の安定性の定量的評価には,ハンドヘルドダイナモメータ(以下,HHD)を用いて非支持側上肢に下向きに抵抗を加え片脚立位保持が困難となる値を算出し,2回計測した平均値を採用した.さらに,端坐位にて東大式ゴニオメータを用いて体幹側屈角度,HHDを用いて最大股関節屈曲等尺性運動を計測した.その後,支持脚側の体幹側面にLVSを実施(体幹LVS条件)と,支持脚側の腸腰筋にLVSを実施(腸腰筋LVS条件)後に,上記と同様に歩行分析,片脚立位安定性,体幹側屈可動域,腸腰筋筋力を計測した.LVSを実施する前を対照条件とし,体幹LVS条件と腸腰筋LVS条件は数日以上空けて実施した. 統計学的解析はR4.5.3を用いて,正規性の有無を確認し対照条件と体幹LVS条件および腸腰筋LVS条件の片脚立位安定性、歩行時のKAM1,KAM2について反復測定分散分析を行った後,多重比較法を実施した.有意水準は5%とした.
【結果】片脚立位安定性について,体幹LVS条件,腸腰筋LVS条件は対照条件よりも有意に高値を示した(それぞれ,p < 0.01).KAM1について,腸腰筋LVS条件は対照条件よりも有意に低値を示した(p < 0.05).KAM2について,腸腰筋LVS条件は,対照条件および体幹LVS条件よりも有意に低値を示した(それぞれ,p < 0.01,p < 0.05).腸腰筋筋力について,腸腰筋LVS条件は対照条件よりも有意に高値を示した(p < 0.01).
【考察】本研究結果より,腸腰筋へのLVSは腸腰筋の筋出力や片脚立位の安定性を向上させ,歩行時のKAMを減少させた.LVSの筋出力の向上に関する詳細なメカニズムはまだ不明なことが多い.現状では,我々はLVSにより筋や軟部組織間の滑走性や局所循環動態等が改善することで,本来発揮しうる筋出力が発揮できるようになったと考えている.KAMを決定する要因は,床反力の大きさと膝関節中心から床反力作用線までの垂線の距離である.また,腸腰筋の中でも大腰筋は腰椎に起始を持つため腰椎の同側側屈作用が大きいと報告されている.そのため,腸腰筋へのLVSにより腸腰筋の筋出力が向上するとともに歩行時の腰椎の同側側屈作用により身体重心が立脚側へ移動し,膝関節中心から床反力作用線までの垂線の距離が短くなったためKAMの減少に寄与した可能性が考えられた.
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