講演情報
[教育講演(診療報酬)]“仕組み”を知ることが,未来を変える
若手理学療法士のための診療報酬と制度の読み解き方
~臨床力に“政策力”を加える視点とは~
野崎 展史 (日本理学療法士協会)
[略歴]
1987年,富山県富山市生まれ.富山県立富山高等学校を卒業後,茨城県立医療大学に進学し,理学療法士免許を取得.その後,筑波大学および産業技術総合研究所における研究活動,有床診療所およびデイケアでの臨床勤務を経て,日本理学療法士協会に入職.同協会では政策企画部門の立ち上げに携わるとともに,医療・介護・障害福祉およびヘルスケアサービスに関する厚生労働省・経済産業省等との対外交渉実務および業務統括を担う.2017~2018年に厚生労働省保険局,2020~2021年に同医政局へ出向し中央行政を経験.その後,神奈川県庁医療危機対策本部および厚木保健福祉事務所への業務支援派遣を通じて地方行政にも従事する.現在は,日本理学療法士協会の報酬改定担当課長および理事を務めるとともに,東京都理学療法士会ならびに川崎市子ども・子育て会議の委員として社会活動に従事している.
[主な資格]
理学療法士,認定理学療法士,修士
[業績]
・医療機関における退院支援の取り組みと循環器および関節症疾患の在院日数との関連に関する地域相関研究.野崎展史, 山下真司, 田城孝雄.厚生の指標 73(6) 20-27 2026年6月
・診療報酬改定の変遷にみる理学療法士の制度的環境の変化.野崎展史.理学療法福岡 第39号7-9 2026年3月
・理学療法士の多様なキャリアと後進の育成.野崎展史.秋田理学療法 33(1) 3-4 2026年3月
・医療機関における退院支援の取り組みと一般病床在院日数との関連に関する地域相関研究.野崎展史, 山下真司, 田城孝雄.厚生の指標 72(5) 14-19 2025年5月
[主な社会活動]
川崎市子ども・子育て会議 委員
公益社団法人東京都理学療法士協会 エスカレーターマナーアップ推進委員会委員
同委員会 こどもプロジェクト 統括リーダー
1987年,富山県富山市生まれ.富山県立富山高等学校を卒業後,茨城県立医療大学に進学し,理学療法士免許を取得.その後,筑波大学および産業技術総合研究所における研究活動,有床診療所およびデイケアでの臨床勤務を経て,日本理学療法士協会に入職.同協会では政策企画部門の立ち上げに携わるとともに,医療・介護・障害福祉およびヘルスケアサービスに関する厚生労働省・経済産業省等との対外交渉実務および業務統括を担う.2017~2018年に厚生労働省保険局,2020~2021年に同医政局へ出向し中央行政を経験.その後,神奈川県庁医療危機対策本部および厚木保健福祉事務所への業務支援派遣を通じて地方行政にも従事する.現在は,日本理学療法士協会の報酬改定担当課長および理事を務めるとともに,東京都理学療法士会ならびに川崎市子ども・子育て会議の委員として社会活動に従事している.
[主な資格]
理学療法士,認定理学療法士,修士
[業績]
・医療機関における退院支援の取り組みと循環器および関節症疾患の在院日数との関連に関する地域相関研究.野崎展史, 山下真司, 田城孝雄.厚生の指標 73(6) 20-27 2026年6月
・診療報酬改定の変遷にみる理学療法士の制度的環境の変化.野崎展史.理学療法福岡 第39号7-9 2026年3月
・理学療法士の多様なキャリアと後進の育成.野崎展史.秋田理学療法 33(1) 3-4 2026年3月
・医療機関における退院支援の取り組みと一般病床在院日数との関連に関する地域相関研究.野崎展史, 山下真司, 田城孝雄.厚生の指標 72(5) 14-19 2025年5月
[主な社会活動]
川崎市子ども・子育て会議 委員
公益社団法人東京都理学療法士協会 エスカレーターマナーアップ推進委員会委員
同委員会 こどもプロジェクト 統括リーダー
[抄録]
本講演では,「仕組み」を理解することが臨床実践の質をどのように変え得るのかという視点から,若手理学療法士に向けて診療報酬および関連制度の読み解き方を提示する.
理学療法士の専門性は,個々の臨床技術や評価能力にとどまらず,それが提供される制度的枠組みと不可分である.診療報酬や介護報酬は単なる「収益の仕組み」ではなく,医療・介護サービスの提供内容や質,さらには患者のアウトカムにまで影響を及ぼす強力な政策ツールである.しかしながら,これらの制度を「与えられた条件」として受動的に捉え,その構造や意図を十分に理解しないまま日常業務に従事している現状も少なくない.
診療報酬制度は,エビデンス,財政制約,政策目標といった複数の要素が交錯する中で設計されており,その改定過程は医療政策の方向性そのものを反映している.例えば,早期リハビリテーションやチーム医療の推進,地域包括ケアシステムの深化,アウトカム評価の導入などは,いずれも報酬改定を通じて現場に具体化されてきた.すなわち,制度の「読み解き」は,その背後にある政策意図を理解し,自らの専門職としての役割を再定義する営みにほかならない.
本講演ではまず,医療保険および介護保険を中心とした社会保障制度の基本構造と改定プロセスについて概説する.その上で,リハビリテーション専門職に関連する主要な評価体系や算定要件を題材に,「なぜこのような要件が設定されているのか」という視点から制度の意味づけを行う.また,近年の改定動向を踏まえ,アウトカム評価,データ活用,多職種連携,地域移行支援といったキーワードが,今後の臨床にどのような変化をもたらすのかを整理する.
さらに,制度理解を単なる知識習得にとどめず,「政策力」として臨床に接続する視点を提示する.ここでいう政策力とは,制度を批判的に読み解き,自施設や地域の実情に応じて最適な実践を構築するとともに,必要に応じて制度改善に資する発信を行う力である.例えば,現場での課題をエビデンスとして蓄積し,学術的・社会的に発信することは,将来的な制度改定に影響を及ぼし得る重要な営みである.
若手理学療法士にとって,制度は決して遠い存在ではない.むしろ日々の臨床判断やサービス提供のあり方に直結する「もう一つの臨床」である.本講演を通じて,制度を理解し主体的に関わることの意義を共有し,臨床力に政策的視点を加えることが,より質の高いリハビリテーションの実現につながることを提起したい.
本講演では,「仕組み」を理解することが臨床実践の質をどのように変え得るのかという視点から,若手理学療法士に向けて診療報酬および関連制度の読み解き方を提示する.
理学療法士の専門性は,個々の臨床技術や評価能力にとどまらず,それが提供される制度的枠組みと不可分である.診療報酬や介護報酬は単なる「収益の仕組み」ではなく,医療・介護サービスの提供内容や質,さらには患者のアウトカムにまで影響を及ぼす強力な政策ツールである.しかしながら,これらの制度を「与えられた条件」として受動的に捉え,その構造や意図を十分に理解しないまま日常業務に従事している現状も少なくない.
診療報酬制度は,エビデンス,財政制約,政策目標といった複数の要素が交錯する中で設計されており,その改定過程は医療政策の方向性そのものを反映している.例えば,早期リハビリテーションやチーム医療の推進,地域包括ケアシステムの深化,アウトカム評価の導入などは,いずれも報酬改定を通じて現場に具体化されてきた.すなわち,制度の「読み解き」は,その背後にある政策意図を理解し,自らの専門職としての役割を再定義する営みにほかならない.
本講演ではまず,医療保険および介護保険を中心とした社会保障制度の基本構造と改定プロセスについて概説する.その上で,リハビリテーション専門職に関連する主要な評価体系や算定要件を題材に,「なぜこのような要件が設定されているのか」という視点から制度の意味づけを行う.また,近年の改定動向を踏まえ,アウトカム評価,データ活用,多職種連携,地域移行支援といったキーワードが,今後の臨床にどのような変化をもたらすのかを整理する.
さらに,制度理解を単なる知識習得にとどめず,「政策力」として臨床に接続する視点を提示する.ここでいう政策力とは,制度を批判的に読み解き,自施設や地域の実情に応じて最適な実践を構築するとともに,必要に応じて制度改善に資する発信を行う力である.例えば,現場での課題をエビデンスとして蓄積し,学術的・社会的に発信することは,将来的な制度改定に影響を及ぼし得る重要な営みである.
若手理学療法士にとって,制度は決して遠い存在ではない.むしろ日々の臨床判断やサービス提供のあり方に直結する「もう一つの臨床」である.本講演を通じて,制度を理解し主体的に関わることの意義を共有し,臨床力に政策的視点を加えることが,より質の高いリハビリテーションの実現につながることを提起したい.
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