講演情報
[3310]北海道十勝川上流然別峡にあった水銀鉱山史
○桂博史1 (1.日本鉱業史研究会)
司会:中西哲也(九州大学)
キーワード:
水銀鉱山、ユーヤンベツ、然別峡
北海道十勝平野を貫流する十勝川の支流然別川、その源流のひとつにユー(湯)ヤン(湧く)ベツ(川)がある。大雪山中を南流するユーヤンベツにはその名の通り、温泉が広範囲にわたって河岸や河中に湧き出している一帯がある。この温泉のケースヒストリーを調査していく中で、この中に戦時中と戦後にそれぞれ短期間開かれた水銀鉱山があり、それが温泉とも関りがあるのではないかと考えるに至った。水銀鉱山は戦時下の一時期華々しい出鉱を見たというが、戦時中鉱山作業に関わった地元民が多数いたにもかかわらず、この鉱山の鉱業主体すら不明、そればかりか鉱山名すらはっきりしないのである。戦前・戦時中の記録は少なく戦後操業時には地元民は関心を寄せなかった。しかし鉱山創業時から存在した温泉湧出地唯一の施設であったかんの温泉のもと経営陣であり、しかも水銀鉱山とも若干のかかわりがあった菅野祐勝氏が高齢ながら健在である。氏の記憶や記録を起点に、現在通行している誤謬の鉱業史の系譜を明らかにし、証言や新発見資料によりこの鉱山史を構築し、イトムカや上士幌十勝鉱山との関係をも推測せんとする本論の中間報告である。
