講演情報

[P067C]伊達鉱山酸性坑廃水中の鉄酸化細菌が廃水処理に与える影響

○伊藤 裕基1[修士課程]、中村 碧1、加藤 聖也1、小原 義之2、川原 里紗2、淵田 茂司1、牧田 寛子1 (1. 東京海洋大学、2. (株)日本海水)

キーワード:

酸性坑廃水、坑廃水処理、鉄酸化細菌

酸性坑廃水は硫化鉱物の溶解により発生する硫酸酸性の水で,鉄などの重金属が高濃度で溶存している。現在国内では薬品添加など化学的な処理が行われているが,現場環境中の鉄酸化細菌を用いることで中和剤の要求量を減らし,コスト削減を達成できる可能性がある。本研究では北海道の伊達鉱山廃水処理施設にて現地試験中の曝気槽での鉄酸化細菌の働きと処理効果の検証を目指し,微生物叢解析や水質分析などを実施した。その結果,廃水中では3つの鉄酸化細菌グループが微生物叢の大部分を占めていると判明した。曝気処理前の廃水中ではGallionellaceae科鉄酸化細菌の割合に季節変化が見られ,坑廃水中のFe2+濃度に影響を及ぼしていることが示唆された。一方,曝気処理後は鉄酸化に酸素を利用するFerrovum属が増加し,曝気槽内には同属が産生したと考えられる細胞外高分子物質の凝集体(バイオマット)が形成されていた。さらにバイオマットと廃水の撹拌試験を実施したところ,実際にバイオマット中の細菌による迅速な鉄酸化を確認した。以上より,曝気槽はFerrovum属の生育とバイオマット形成を促し,内部に高密度で含まれる細菌の迅速な鉄酸化が中和処理前でのFe2+の除去に非常に有用であると結論付けた。