開催趣旨
第58回 内藤コンファレンス
「微小管・分子モーター研究の最前線 構造からメカニクス、機能、疾患まで」
「微小管・分子モーター研究の最前線 構造からメカニクス、機能、疾患まで」
“Frontiers of microtubule and its related motors: structures, mechanics, functions and diseases”
第58回内藤コンファレンス組織委員長
吉川 雅英
東京大学 大学院医学系研究科 教授
吉川 雅英
東京大学 大学院医学系研究科 教授
細胞骨格の中核をなす微小管と、その上を移動するキネシンやダイニンといったモータータンパク質は、細胞内の物質輸送、細胞分裂、繊毛・鞭毛の運動、さらには神経突起の伸長や極性形成など、生命の極めて多様かつ根幹的なプロセスを支えています。
近年の計測技術および生命科学の目覚ましい進歩は、本分野に数々のブレイクスルーをもたらしました。例えば、クライオ電子顕微鏡やクライオ電子線トモグラフィー法の飛躍的進歩は、微小管やモータータンパク質の生体内に近い状態での高解像度構造解析を可能にしました。また、一分子計測技術や高速AFMの発展により、モータータンパク質が力学的な負荷を受けながらどのようにステップを踏み、エネルギーを運動に変換するのかというメカニックス(力学機能)の詳細が、分子レベルで極めて精緻に明かされつつあります。
さらに、近年では単一の分子挙動にとどまらず、微小管結合タンパク質(MAPs)やチューブリンの翻訳後修飾が微小管のダイナミクスやモーターの選択的走行性をどのように統合的に制御しているかという、高次な「ネットワークと制御メカニズム」の解明へと研究の潮流がシフトしています。そしてこれらの知見は、神経変性疾患(ALSやアルツハイマー病など)、繊毛病、がん、発達障害といった多様なヒト疾患の病態解明や、それらをターゲットとした新規治療薬の創出にも直結しています。
第58回内藤コンファレンスでは、この微小管・分子モーターの分野を先導する国内外の研究者が集まり、3日間にわたり深く濃厚な議論を展開できる場を提供します。本コンファレンスが、基礎生物学から病態生化学・生物物理学に至る学際的な領域融合を加速させ、微小管・モータータンパク質研究の新たな地平を切り拓く契機となることを願っております。
