第15回奈良県作業療法学会

大会長挨拶

 

 

 

 

 

 この度,奈良県作業療法士会よりご推挙頂き,第15回奈良県作業療法士学会の大会長を拝命いたしました奈良学園大学保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻の飯塚照史と申します.紙面をお借りして,このような光栄な機会を与えていただいた奈良県作業療法士会 西井正樹理事長ならびに理事の皆様に厚く御礼申し上げます.併せて,会員の皆様におかれましては,平素より士会活動にご理解ご協力を頂き大会長の立場より重ねて厚く御礼申し上げます.

 さて,本会のテーマは「つなぐ・つながる」としました.皆様もご承知の通りこの数年間はCovid-19の感染拡大あるいは予防により人とのつながりが分断された時期でもありました.しかし一方では,新たな発想と技術も生まれ,今やNew normalともなっています.具体的に示すならば,オンライン会議や非接触式の支払い等は最たるところで,日常生活は便利かつスマートになりました.これを辿れば,患難を打破するためには英知を結集することが重要で,その一連の過程はベースラインより大きな飛躍をもたらすものと捉えられます.

 転ずれば,我々作業療法士も定説となった学術的知識・技術をさらに飛躍させ,真に国民の健康増進に資する作業療法へと発展させる責務を負っています.この際必要なことは前述した如く「英知を結集すること」であり,これはすなわち現状を踏まえ自身にない知識,技術を,そして背景の異なる人やモノと「つなぐ・つながる」ことです.そしてそこに,「洗練された答え」が見えてきます.

 本学会では以上のコンセプトを基に「つなぐ・つながる」ことを前提として,対面開催をデフォルトとした“トランスレーショナル”な企画を多く盛り込みました.

 基調講演においては西川隆先生(奈良学園大学 教授 精神科専門医)に「大脳の機能的分化とその障害様態の見取り図」と題して,作業療法に資する脳機能について医師の立場から種々のエッセンスをご教授頂きます.医学的根拠を洗練された作業療法に「つなぐ」ことで,まさに有用な知見が得られることと思います.

 特別講演においては今や作業療法士界のインフルエンサーであられる澤田辰徳先生(東京工科大学 教授 作業療法士)に「作業療法士としての足跡 〜変化し続ける今時の働き方〜 」と題して,作業療法士として古くて新しい視点をご教示いただきます.今後の作業療法を考えるうえで必聴の講演であり,未来へ「つながる」示唆が得られることと思います.

 実践レクチャーにおいては超音波診断装置を用いた体表解剖や,スプリント作製を企画し,明日からの臨床実践に活かすことが出来ます.加えて,病期(急性期~維持期・終末期)や分野(身障・精神・小児等)をまたぐ12個の実践セミナーも,明日からの臨床実践に「つなぐ」ことが可能です.本会ではさらにNew normalとして子供同伴の参加を全面的に可能としました.学会はパパだけ,ママだけのものではなく,お子さんも楽しめるように趣向を凝らしています.来場されるお子さんは数に限りはありますが素敵なプレゼントもあります.当日,晴れれば外に出てキッチンカーでご飯を買い,普段とは違うパパとママを見て,お子さんも誇らしく思われることでしょう.家族もより一層「つなぐ・つながる」ような学会としています.

 まさにダイバーシティを具現化する新しい奈良学会に是非気軽にお越しください!