講演情報

[G-29]本土で採集された南方系寄生バチMelittobia sosuiの侵入経路

◯安部 淳1、土田 浩治2 (1. 神奈川大学、2. 岐阜大学)
地球温暖化の影響で、生物の分布が高緯度地域に拡大していることが、多くの種で報告されている。単独性の狩りバチやハナバチに対する寄生バチであるMelittobia sosuiは、これまで南西諸島と台湾でのみ記録があるが、最近は静岡や神奈川でも定期的に採集されるようになった。これらの本州産のM. sosuiが南西諸島などから分布を拡大したのか、その起源を探るため、分子遺伝マーカーを用いて解析した。
 2008年以降に、西表島、石垣島、沖縄本島、静岡、神奈川で採集した個体を用いた。マイクロサテライトDNAマーカーを開発し解析したところ、西表島、石垣島、沖縄本島の琉球グループと静岡、神奈川の本州グループで、2つのクラスターに明確に分かれた。しかし、琉球グループと本州グループではそれぞれ異なる複数の固有対立遺伝子を有し、本州グループが琉球グループから派生したとは考え難いことわかった。本州グループは本属の調査がほとんど行われてこなかった地域から分布拡大した可能性が考えられ、南方系の種が新たに採集されても温暖化に結び付けるには詳細な検討が必要であることを示している。さらに、ミトコンドリアDNAの解析や交雑実験を行い、両グループ間の分岐の程度についても検討する。