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[記念講演]医学のレジリエンス~みらいへの挑戦と貢献~

澤 芳樹 (大阪大学 名誉教授/大阪けいさつ病院 総長/第32回日本医学会総会 会頭)
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先進諸国の死因の第1位である心臓病は、日本で今後ますます増加すると考えられる。心臓病は生活習慣病であり、規則正しい生活習慣の予防と、診断後の適切な治療介入が重要である。心臓病治療の究極は心不全の克服であり、最終的に重症化した重症心不全は、補助人工心臓のブリッジによる心臓移植が、世界の標準的治療である。31年遅れてスタートした我が国の心臓移植はいまだ標準治療に至っておらず、世界的にも新たな治療法の開発が急務とされてきた。
 我々は心筋再生治療開発に20年間近く取り組み、自己筋芽細胞シートによる前臨床試験を行って心機能の回復を認め、2007年にFirst in manとしてLVAS補助下に1年間心臓移植待機していたDCM患者の世界初のLVAS離脱に成功した。一方、iPS細胞由来拍動心筋細胞を用いた心筋再生治療の開発も15年以上を経過しPOCの証明や規制科学研究等の成果は得たのち、京都大学CiRAから出荷される臨床用iPSから拍動する治療用ヒト心筋細胞様細胞の高率な分化誘導と大量培養および未分化iPS細胞の除去法とそのレギュラトリーサイエンスを確立した。そして、2020年より大阪大学を中心に多施設で医師主導治験が実施され、8例の治験が終了し、全例順調に経過している。すでにこれらの臨床データーをPMDAに薬事承認申請を行っており、世界初iPS細胞由来心筋再生治療製品の市販が開始されようとしている。
 Unmet Needsである難病克服に向けて、日本の高いレベルのサイエンスの社会実装期待される中、大阪の中心部中之島において、iPS細胞等の再生医療を中心とした未来医療社会実装国際拠点及びスタートアップ育成加速拠点であるのNakanoshima Qross(NQ)が始動した。一つ屋根の下に企業/研究所/スタートアップと病院/クリニック等を有することは世界的にも珍しく、成果が臨床応用に直結する。NQに医療産業・スタートアップエコシステムを確立し、大阪から未来医療の社会実装が進んでいくことが期待される。
 いままさに人類はコロナパンデミックの克服を経験し、新たな視座を与えられた。今後も医学者医療者の叡智の結集が地球を救い、再び人類が未来に向かって歩みだすことが重要であり、医学のしなやかさや復元力、すなわち「医学のレジリエンス」が今後も常に人類を襲う種々のパンデミックへの医学の戦いとして、みらいへの挑戦と貢献が期待される。


【学歴・職歴】
1980年 3月 大阪大学医学部卒業
     4月 大阪大学医学部第一外科入局
1989年10月 フンボルト財団奨学生としてドイツMax- Planck研究所心臓生理学部門、心臓外科部門に留学
2006年 1月 大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科(第1外科)主任教授
2015年 3月 一般社団法人日本再生医療学会 理事長
     4月 大阪大学大学院医学系研究科 研究科長・医学部長(~平成29年3月末)
2016年 4月 日本外科学会学術集会 会頭
2018年 3月 日本循環器学会学術集会 会長
2019年11月 特定非営利活動法人日本胸部外科学会 理事長
2020年10月 日本学術会議 会員
2021年 3月 大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科 教授 退官
     4月 医学系研究科保健学専攻未来医療学寄附講座 寄附講座教授
     8月 医学系研究科保健学専攻未来医療学寄附講座 特任教授
     9月 大阪警察病院 院長
2023年 4月 社会医療法人警和会理事長、第二大阪警察病院院長、大阪警察病院看護専門学校学校 学校長
2024年 7月 (法人名変更)社会医療法人大阪国際メディカル&サイエンスセンター 理事長
2025年 1月 新病院完成 (名称変更)大阪けいさつ病院 院長
2026年 4月 大阪けいさつ病院 総長
2027年 4月 第32回日本医学会総会 会頭
【受賞歴】
1989年 フンボルト財団奨学金
1979年 日本医師会研究助成費
2000年 テルモ科学振興財団助成金
2006年 日本バイオマテリアル学会賞
2009年 文部科学大臣科学技術賞
2015年 日本再生医療学会賞/日本循環器学会Circulation Journal Awards
2016年 厚生労働大臣賞/日本医師会医学賞
2019年 日本学術会議会長賞/日本医師会優功賞
2020年 紫綬褒章
2021年 日本再生医療学会功績賞

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