講演情報

[ED1]能登半島地震の経験より

原 将充 (株式会社ニイザ 穴水あおば薬局 代表取締役)
PDFダウンロードPDFダウンロード
2024年能登半島地震では、地域薬局が「医療・生活・心の支え」の拠点として機能した。本講演では、発災直後から復興期まで、地元薬局および地域薬剤師会として対応した実例をもとに、災害時に薬剤師が果たすべき役割と今後の課題を報告する。
発災直後は建物被害、停電・断水、通信断絶が同時に発生し、住民は情報不足と薬不足に直面した。医療機関の機能停止や道路寸断が重なり、地域薬局は安否確認、薬局被害の把握、薬の確保、避難所巡回を行い、「薬がない」「何を飲んでいたか分からない」といった相談に対応した。外部支援が到着するまで、地域薬剤師会および地域薬局はDMAT・JMAT・行政との“つなぎ役”として機能し、住民の顔・病歴・生活背景を理解している薬局ならではの継続フォローを実施した。
災害時の処方箋は、①通常の保険調剤、②災害処方せん(JSPEED)、③手帳・残薬・問診による緊急対応の3種類に分類される。情報不足下では代替薬の提案や慢性疾患患者の治療継続が重要であり、特にステロイド、甲状腺ホルモン、喘息・アレルギー、糖尿病、精神疾患などの患者は中断リスクが高いことから、平時から緊急時の薬の確保や備えについて薬剤師が啓発しておく必要性が明らかとなった。
復興期には、仮設住宅8か所でのサロン活動、健康相談、薬の整理、生活不活発病予防、孤立防止など、生活再建に寄り添う支援を継続している。薬局は地域情報の集約拠点としての役割も担い、「薬局は復興のインフラ」であることを強く実感した。
本講演では、支援隊到着前の地元薬局の対応、支援隊への業務移行、地域への復帰プロセス、災害処方箋の運用、継続服薬患者の管理、子どもの心理的支援、復興期の薬局の役割について、現場で得られた知見を共有する。


【略歴】
1997年 城西大学薬学部製薬科 卒業
1997年 帝国臓器製薬(株)現 あすか製薬(株) 入社
2006年 (株)ニイザ 設立、代表取締役就任
2006年 穴水あおば薬局 管理薬剤師
2015年 第48回日本薬剤師会学術大会ポスターセッション優秀賞 受賞
2017年 公益社団法人石川県薬剤師会 能登北部支部長

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン